NO.594
「冬雷」著者:遠田潤子

読了日:2020年11月3日

「暗い・切ない・辛い」がセットで波しぶきのように、絶え間なく読者の心を冷やしていく
「どうかこの物語の主人公にハッピーエンドをください」と心の中で願いながら読み進めた

ストーリーは現在、過去、現在という構成で、過去に何かあり十代を過ごした土地を離れなければならなかったが、弟の訃報を聞きその場所に返ってくる

読者が序盤に考える疑問点①、主人公はなぜ育った土地を離れなければならなかったか?
主人公は高校時代の同級生の「龍」という男に恨みを持たれている、彼曰く彼の妹「愛美」の死の責任は主人公にあるという
「愛美」は幼いころから亡くなる直前まで日記をつけていた、その日記には主人公との交際についても細かく生々しく記されていたが、主人公は「愛美」との交際について否定している

読者が序盤に考える疑問点②、「愛美」の自殺の原因とは?
弟の死体の第一発見者が主人公の高校の時の恋人「真琴」だとわかり、「真琴」は警察に疑われている、ここで弟が他殺体だということがわかる、ここで主人公は12年前の苦痛をよみがえらせるのだが......

読者が序盤に考える疑問点③、主人公の弟「翔一朗」はいつ死んだのか?
12年ぶりに返ってきた主人公は、町の人々から無視や、明らかな嫌がらせを受ける
葬儀場にやってきた主人公はそこにいる全員から、入ることを拒まれるのだった

序盤の疑問点の総括として考えるのは、12年前に主人公とこの町に何があったのかということ
もちろんこれらの疑問は、伏線として過去編にて明らかになっていくのですが、この作品がすごいのは、そのあと後半の現在へんで明かされるおぞましい真実の数々と、そんなどん底から救われる、ハッピーエンドかと思わせる怒涛のストーリです

いや、正直一気読みでした

ページ数
333
読みやすさ
3(満点3)
わかりやすさ
3(満点3)
ストーリー
3(満点3)
テンポの良さ
3(満点3)
意外性
3(満点3)
私個人の好み
4(満点5)
合計
19(満点20)

2020年26作品目

つぶやき:
個人的な評価点では「星降り山荘の殺人」と並び19点ですが、「星降り山荘」は「どんでん返し」として最高だったのに対して、「冬雷」はミステリーとしても人間ドラマとしても良かったと思う、これだけ暗い物語なのに、読後感はあそこまで持ち直すなんてこの作家さんすごいよ