No.398

著者:宮部みゆき

読了日 2019年4月9日

そもそも本書を読もうと思うきっかけは、未読の「名もなき毒」が我が家にあったことと、2013年にTBS系で放送されたこのドラマの結末を失念していたこと、さらにネットで「杉村三郎シリーズ」の続編が出ていることを知ったからだ

 

本書は、主人公「杉村三郎」が、義父の運転手だった「梶田信夫」の亡くなった件で、その娘たちの相談受けることからはじまる

「梶田」の被ったひき逃げ事件と彼自身の過去について調べるうちに意外な真相にたどり着くというストーリーだ

 

読んでいて想起するのは、ドラマを視聴していた当時の記憶だ

今でも「小泉孝太郎」の、この「杉村三郎」の役は、はまり役だと思うし、彼をイメージすることでしっくりくる

 

主人公の「杉村」は、金銭感覚や身分の違う「妻」や「義父」に対する遠慮や心のズレ、また、会長のムコという目で同僚らから見られている境遇から、普段から感情を押し殺している。だから、常に優しく、ソフトに、思いやりがある人を演じているような節がある

そんな、ちょっと「嘘くさい優男」ぶりが、「小泉孝太郎」の雰囲気とマッチしていていい

 

本書でキーとなる登場人物の一人で、嘘くさい天真爛漫さと喜怒哀楽の激しさや、姉に対する嫉妬心や蔑みのようなものを滲ませる梶田の次女「梶田梨子」の存在は、かなり不気味

 

真相が完全には解明されないモヤモヤ感も、主人公がラストに予期せぬ相手から反感を買うことも、主人公であるからといって全ての行いが支持されないのも、人間の不完全さが出てていい

ページ数

458

読みやすさ

3/3

展開/テンポの良さ

3/3

私個人の好み

3/5

合計

9

 

2019年 071作品目「誰か~somebody~」

 

私事:

本書は、人間の本音と建て前がよく描かれている作品だと、つくづく思います