私が入院した病院は大きく、手術室もたくさんありました。
私は健康なドナーなので、使用する手術室まで行く間に担当の手術看護師さんと軽く話しながら、手術室がたくさん並んだ広い廊下を奥へ進んで行きます。
看護師さんは白いタオルケット?と水色のシーツ?みたいなものを持っています。
一番奥の左側、手術室番号○番が今回私の骨髄採取に使用される手術室です。
中に入ってみると、よくドラマやテレビのスーパードクターなどで映し出される景色とさほど変わりません。
薄いグリーンがベースの広い室内に各種モニターが整頓されて置かれており、2つあるベッドの奥側が手術台だという事が分かります。(手前はさっき運んだストレッチャー)
私が入室した時点で既に2人の麻酔科の先生がいて、いろんな確認をしています。
初めて入った手術室の景色が物珍しくキョロキョロしていると、後ろから受付まで一緒に来た先生が着替えを済ませやって来ました。
「この格好になると誰だか分からないでしょ」と声をかけ、緊張しているであろう私を和ませてくれます。
麻酔をかけらる前に気になるものは見ておこうと思い、看護師さんに言って先ずは手術台へ。
医師かオペナースか専門業者にでもならない限り、健康な状態で手術室に入れる機会などもうないかもしれないので、気になるものはこの時に見たり聞いたりする事をお勧めします。
手術台をちょっと触らせてもらいましたが、切り込みの入った顔をうずめるうつ伏せ用枕(プロンビュー)のクッションはとても柔らかく、顔の圧迫を少し心配していた私もちょっと安心しました。
「ここにうつ伏せになって手術を受けるのかぁ」
これ以上の感想はありません。
それから麻酔科の先生2人の名前を教えてもらい軽く挨拶。
きれいに並べられたME機器やまだ波形のない各種モニターを眺め、手前のストレッチャーに腰をかけてタイムアウトが始まりました。
担当手術看護師(女性)、採取医師(男性)、麻酔科の先生(男性)で、カルテと同意書を見ながら進めていきます。
普通の患者さんであれば病院側が用意した手術の同意書になりますが、今回は骨髄バンクを介した骨髄採取なので、「骨髄バンクの書式のものです」と一言付け加えられました。
勿論2枚書いた同意書の一枚は今でも大切に家に保管しています。
タイムアウトが終わりました。
いよいよ手術に向けた準備です。
まず病室から着てきた手術着を脱ぐ訳ですが、勿論中には何も着ていないので、女性の看護師さんが「介助します」と私に声をかけながら、持ってきた水色の布を広げて私を抱きかかえるような形になり、その中で手術着を脱いで隙間から渡しました。
おそらくこの間男性陣は私に背を向けていたと思われます。
病室から履いてきたスリッパを脱ぎ、介助されながらそのままストレッチャーに横になりました。
横になってまず一番最初にした事はルートの確保です。
左手の甲から予定通り麻酔科の先生によって行われます。
私は何度も献血で穿刺の様子を見ていた為、初めての手の甲への穿刺が見たくて自分で首を支えながら見ていました。
多少の痛みは覚悟していましたが、まったく痛くなくて逆にびっくりです。
左手首に付けていた患者識別用のリストバンドが穿刺するのに邪魔になったらしく、「切らせて頂きますね」と言ってチョキリ。
テープで固定した左手を見ていると、次は一気に「パルスオキシメーター付けますね」「血圧計付けますね」「心電図の電極付けますね(記憶曖昧です)」と言って、身体に装着するものが一通り付けられていきます。
パルスオキシメーターは左手の中指に、血圧計は右の上腕に、心電図の電極は確か3ヶ所だったような気がします。
この時点で酸素マスクを当てられもう寝させられちゃうのかなと感じた私は、麻酔科の先生に、初めての全身麻酔だからどんな感じか味わいたいということを伝えると、「じゃあ、数でも数えますか」と言って室内にちょっと笑いが起こります。
特に数は数える事なく(笑)、「入ってくる時に痛みを感じる事があるんだよね」と言いながら、注射器に入った麻酔薬(フェンタニル)を横になっている私に見やすい位置でゆっくりと少しずつ押していきます。
特に痛みはありませんでしたが、静脈に入ってきた感覚、そしてそれが心臓を通って全身に行き渡るのが分かり、薬が脳に届いて視界がぼやけ始め、天井や注射器に目をやっても焦点が合いづらい状態に。
初めての全身麻酔の体験に、「こんな感じになるんですね~」と感想を言いながら、麻酔薬をゆっくり押していく先生の指と残りの麻酔薬を見つつ、ここで意識がなくなります。