『黄金の腕』・唄わない フランク・シナトラが 見事なカード捌き・1956年度作 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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懐かしい名画、最近の気になる映画のことを
日記形式で書いています。
戦前のフランス映画が大好きです。
基本、鑑賞後の感想ですのでネタバレが殆どです。
ご了承くださりませ。

 

 

 

          ≪黄金の腕≫




                                    

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   ざっくりと あらすじ 行きますね。

フランキー(フランク.シナトラ)はカード配りの名人で、

彼の鮮やかな手さばきは仲間内から

  ”黄金の腕”と呼ばれていた。


いつからか麻薬中毒になり、半年間、国立病院で

苦しい療養生活を送り、出てきたばかりであった。


病院で習ったドラム、そしてもらったドラムを抱えて帰って来た。

 

だが、賭博師や麻薬の売人がすかさず、フランキーに付きまとい始めた。

 




彼の家には妻ザシュ(エリノア.パーカー)が車椅子のまま

待っていた。夫の酔払い運転事故の後遺症で足が立たなくなっていたのだ。

 

   


フランキーは妻のためにも今度こそまっとうな生活に入るべく、

入院中にドラムの修練をし、マネージャーへの紹介状も

もらってきていた。


しかし、ドラムの演奏なんてことには 聞く耳持たずに、

妻ザシュはせっかくの黄金の腕を棄てることを

喜ばず、ある画策をした。


彼女の足は、実はとっくに治っていた。

しかし、夫に金を稼がせるために車椅子から離れないことにしたのだ。


二度とカードを持ちたくない彼は悩み、街へ出て、

万引きの嫌疑をかけられ、逮捕された。


ザシュからの知らせで賭博場主がすぐに保釈金を払って

身柄を引き取ってくれた。


それも、これもザシュの企みだった。


せっかくのドラマーのオーデイションにも失敗。

薬が切れて、手が震え太鼓を叩くことが出来なかったのだ。

 




結局フランキーは元のカード配りに戻るしかなかった。

そこでも手が震え、いかさまがばれて、袋叩きにあった。


そして、また、麻薬の世界へ逆戻りしてゆくのだ。

 




そんな彼の唯一の慰めは、安酒場の女性モリー(キム.ノヴアク)

だけであった。

 

  

彼女には今新しい男がいた。

本当はマリーを愛していたが、車いす生活の妻を捨てるわけに行かず、

悶々としていた。

とうとう、妻の元を出ていく決心をしたフランキー。だがその意図を解することが出来ないザシュ。

 




ザシュは毎日フランキーを引き留めることしか頭になく、部屋の中をうろつく始末。

入って来た麻薬売人のルイにその姿を見られてしまった。


脅しの材料が出来たと帰っていくルイを階段から突き落とし殺してしまった。


刑事の尋問では、フランキーが犯人だとは言わないまでも、自分の身の安全を守るために

曖昧なことばかりを言うザシュ。

フランキーを捜す刑事。


  


モリーの案で、三日間の拘禁によって、麻薬中毒を抜こうと

試みたが、が、想像を絶する苦しみに耐え、やっと克服したころで、

モリーの愛人によって、刑事の知るところとなり、モリーの家にやって来た刑事。

自分はやってない・・と刑事と一緒に自宅に帰ったところ、立っているザシュを見て、

皆はすべてを悟った。

隙を見てザシュはベランダに走り、そこから身を投げたのだった。


ー----
日本でも、
現代と違って、戦後のある時期

ミュージシャン達は結構、
麻薬を打っていたようである。


忙しくて眠る暇が無い人、
打たないと上手くプレイが出来ないなど、理由は様々だが、
 

今のようにマスコミが大々的に騒ぐことも無かったようだ。
 

中村八大、ジョージ川口など、完全な中毒患者になって、
立ち直るまで、そうとう苦しんだということを思い出した。



さて、『黄金の腕』 まずはタイトルですね。このタイトルは粋ですよねー。


黄金の腕は、当時のアメリカらしい、社会派映画だ。1950年代の

アメリカの・・ニューヨークの下町がよーっくわかりますね。

フランク.シナトラが、この作品で、

演技派に転向したと言われました。

惨めな麻薬患者を惨めったらしく好演しました。

『地上より永遠に』も彼の演技者としての力量がきちんと表れていたように思いますが、

わたしはこの『黄金の腕』の方が好きです。

本人は麻薬中毒から、立ち直ろうとしているのに、麻薬に走ってしまうように仕向ける

毒婦のザシュ。

妻に阻まれたフランキー・


黄金の腕はその主題曲のヒット。(エルマー.バーンステイン)

これが良いんですよ!

 



そして、あの当時、ハスラーならぬ、ビリヤードや、

マージャン、カードが娯楽として、日本の巷にも

部屋が出来始め、この種の映画は若者に受けました。

アメリカでは当然のことである。

それをうまく、ドラマに社会現象としてメスを入れた

オットー.プレミンジャーのカラーが色濃く出ている。


場面にリアリテイーがあり、シナトラが夜っぴて、

ポーカーをやる場面は圧巻中の圧巻である。

人物としては、悪妻ザシュ役のエリノア.パーカーが

うまいですよね。

毒づいて、毒づく悪妻。。ホント、嫌なオ・ン・ナ・・がうまい。

対照的な役のキム.ノヴアク。

派手な役よりこういった

うらぶれた役のほうが数段良い。

『ピクニック』で認められて、そのあと、本作品。そして、

ヒッチコックの『めまい』へと大躍進していくんですね。

わたくしは『媚薬』の魔女がお気に入りです。

『黄金の腕』  ....1956年 監督 オットー.プレミンジャー


『黄金の腕』と言うのは、ディーラーとしての腕なんですね。

見て納得でした。


クラッシックな作品は、奥行き、置かれた世界の情緒、その時代の風物、

レトロな風景、その時代のものの考え方などなど、掘り下げるととっても面白いです。

 

なによりその手作り感が何とも言えません・