『風と共に去りぬ』は85年経った今でもなぜ、世界中の人に愛される作品なのか・・・・・1939年度 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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   『風と共に去りぬ』は85年経った今でもなぜ、世界中の人に愛される作品なのか??1939年度作品


           
           




  我々昭和の時代の人間は何度でも繰り返し見る部類の作品で、

だれもが、好きな映画の三本の指に入ると答えたものだ。


さて、私は多分、4,5回位しか見たことないのですが、30年ぶりに今回また視聴しました。

4時間に渡る長きドラマですが、ちょっと見方を変えてみたんですね。

それで私なりの感想を書いてみます。

ー-----

 

  アイルランドの東部、ミース州に「タラの丘」という緑の台地があるそうだ。


    7世紀頃、ケルト人が住み着いたこの地。

いろいろと争いを繰り返しながら、1845年のジャガイモ飢饉が勃発した時に、

 離農した極貧のアイルランド人が移民となって、アメリカ東海岸に押し寄せた。


『風と共に去りぬ』の主人公スーカーレット・オハラの一家は、そんなアイルランド移民の中で成功し、

南部に大農園を築いたのではないだろうか。


オハラ家は他のアイルランド人と違って、もともと裕福だったのかもしれない。

ジョージア州の海岸部から離れた場所にアイルランド系の人々が入植した。

オハラ家もそんな土地を苦労して開拓したのでしょう。



彼らはその大農園に、アイルランドの聖地 タラ の名をつけた。

オハラ一家はカトリック教を信仰していたはず。

父ジェラルドは仏貴族の血を引くスーザンと結婚しますが、フランス貴族も当然カトリック教徒であったはず。

そしてカトリック教徒とプロテスタント教のにらみ合いは移民先の米国でも続いていく。

『ゴッド・ファーザー』や『ウエストサイト物語』も移民が題材。


・・・・『風と共に去りぬ』、マーガレット・ミッチェルの名作の背景にある海を渡って来た人々の物語、そこに

アメリカという国の歴史と現在を彩る共通の価値を見つめると作品のテーマが見えてくるのではないだろうか。


最初は通俗的に単なる歴史ドラマ、通俗的な男女四人の恋愛ドラマとして単純に見てきたが、

いや・・・タラを中心にタラの物語としてまた、それにかかわる人々のドラマとしてみると

4時間の長きドラマが長くないのだ!!全然、景色が違って見えてきた。



作品の冒頭、今夜が野園遊会という日、父ジェラルドがスカーレットに言いますね。

”アシュレ??だめだ!”あれはメラニーと婚約発表するぞ。”


”相性のいい南部男ならだれでもいいぞ!、タラもいずれはお前のものだものな。”


”農園など意味ないわ”とスカーレット・


”本気で言っているのか?タラの土地が無意味だと?  この世で頼りになるのは唯一のものが土地。土地は永遠に残る。”


”アイルランド人らしいこと”とスカーレット。


”それがわしの誇りだし、お前もその血を継いでおる。わしらには土地は母親と同じだ。お前もいつか

    土地への愛に目覚める。わしの娘である限りな・・・・”

        

そしてその夜、南北戦争が始まる。


戦争を背景にスカーレット、アシュレー、メラニー、バトラーの恋模様を描きながら、

北軍に負ける南軍。

やっとの思いでタラに帰り着き、無一文になったことを知る。

前半ラストで、タラの土地で人参にむしゃぶりつきながらスカーレットが言いますよね。

 




  ”神よ お聞きください。この試練に負けません。家族に二度とひもじい思いはさせません。

生き抜いて見せます。たとえ、盗みをし、人を殺してでも! 神よ、誓います。二度と飢えに泣きません!

 

 



ジョン・フオードの作品『静かなる男』を以前取り上げましたが、フォードがアイルランド人。

この作品もアイルランド気質を描いていますが、ジョン・ウエインの」相手役がモーリン・オハラで

鼻っぱしらの強い、アイルランド女性を演じていましたが、

アイルランド気質丸出しの女性でスカーレットに通じるところが多々ありました。




アイルランドの肥沃な土地は頑固、その人柄もまた肥沃。

ケルト族がアイルランドに居住した時代にはすでにタラの丘は何らかの聖地として用いられていた。

マーガレット・ミッチェルの時代小説『風と共に去りぬ』で主人公のスカーレットが住むタラ農園は父親が

アイルランド移民であることから故郷の誇りを表し、由来する。ここからスタートして後半を見ると

 

今までとまた違った印象。




     ストーリーはごくごく簡単に・・・・


1861年のこと。

ジョージア州タラの大地主ジェラルド・オハラ(トーマス・ミッチェル)の長女スカーレット(ヴィヴィアン・リー)は、

樫の木屋敷と呼ばれる同じ大地主ウィルクス家で開かれる野外園遊会に。

 



そこの嫡子で彼女の幼馴染みであるアシュリー(レスリー・ハワード)と

彼の従妹メラニー(オロヴィア・デ・ハヴィランド)の婚約が

発表されると聞いて愕然とした・

 



それを聞いてもスカーレットはアシュレーは自分を愛していると思い込み、事実を胸の中で

打ち消しつつ、このままでは収まらないスカーレットの心。

        
激しい気性と美しさをあわせ持つスカーレットは、多くの青年の憧れの的であったが、

園遊会の当日スカーレットは想いのたけをアシュリーにぶちまける。

 



彼の心の中には、気立てが優しく、控えめなメラニーで占められていた。

スカーレットは気づかなかったが、アシュレーとのやりとりを


チャールズトン生まれの船長レッドに聞かれてしまった。

素行の評判の良くないレット・バトラー(クラーク・ゲイブル)。

彼の堂々としたアシュレにはない、臆面のない態度に、

激しい憎しみを感じながらも、

なぜか気になる男性だった。

突然、戦争の開始が伝えられる。

 


スカーレットは失恋の自棄からメラニーの兄チャールズの求婚を受け入れ結婚した。

メラニーと結婚したアシュリーも、チャールズもすぐさま、戦争に参加した。

だがチャールズは戦争ではしかに、肺炎を併発して死んでしまった。

スカーレットは若い未亡人となった。

 



そんな生活は味気なく、

アトランタのメラニーの元へ行って、負傷者の手当の手伝いをした。

陸軍病院のバザーでレットと再会したスカーレット。

レットは強引に彼女に近付いてきた。

戦況北軍に有利で、スカーレットとメラニーは看護婦として働いていたが、

やがて、アトランタは北軍の接近に脅えた。

レッドは早くここを出ないと北軍にやられると出立を促した。

 



スカーレットと生まれたばかりの子供を抱えたメラニーはまだ、起き上がれない。

レットが盗んできた馬車で、故郷へと向かった。

 



レットは途中ひとり戦線へ向かい、残されたふたりはやっとの思いでタラの地に着くが、

すでに廃墟になって、何もかも持っていかれた後。無一文になったオハラ家でした。

タラの台地でスカーレットは神に誓いました・生き抜くと。家族にひもじい思いをさせないと。

たとえ盗みをし、人を殺してでも二度と飢えに泣かないと・・・・

 





後半

戦争は南軍の敗北に終わった。

捕虜になっていたアシュリーが帰って、メラニーを喜ばせたが、

スカーレットは今だ人の夫に上せていて、彼に愛を告白した。がアシュレーははねつけた。

タラは300ドルという重税を課され、土地を守る決意を固めたスカーレットは、

屋敷のカーテンでドレスを仕立て、北軍の営倉に捕らえられていたレットに

金策を頼みに行ったが、断られた。下心ある時しかレッドに向き合わないスカーレット。

 

そんなに甘くはない。が落ち込むスカーレットではない。


彼女は妹スーレンのいいなづけのフランク・ケネデイが、

事業に成功しているのを見て、彼をうまく丸め込んで結婚し、

妹を怒らせるが、そんなことはかまっちゃいない。

彼女は、事業を自分の手中に収めて、自分の思うように動かし、

アシュレーをも仲間に引きこんで、

金、金、金と  金儲けだけに生きるようになっていった。

そのフランクも死に、今度は愛があるのかないのかレッドと結婚した。


娘ボニーを生んだ。が、まだアシュリーへの想いが断ち切れていない。

レットは寂しく、もっぱらボニーへ愛情を注いだ。

それはポニーがスカーレットそっくりで、スカーレットの代わりにポニーをかわいがることで気を紛らわしていた。


こうした結婚生活の不調和から、

レットはボニーを連れて、ロンドンへ行ったが、

ボニーが母をあまりに慕うので戻ってきた。
ところがボニーが落馬して死んでしまった。

メラニーも病死してしまった。

このためレットとスカーレットの結婚生活は修正のしようがなく、

レットはとうとう、スカーレットへの愛を断ち切った。

そしてスカーレットが執拗に引き留めるが、その甲斐なくチャールズトンへと去っていった。

 



スカーレットはこのとき初めてレットを愛していたと気付くが、

一番愛しているのは、やはりタラの土地であることにも気づくのだった。

彼女はタラに帰ってすべてを考え直そうと決心した。考えると頭が変になるわ。明日考えよう・・・・・


ー-------------

スカーレットは育ちの良さからストレートに物事を考え、ストレートに行動する。鼻っ柱も強いが、

物事の裏を勘ぐったり、人に意地悪ではない。気が強いだけで芯は弱いところがある。

 

根はお人よし。  男顔負けの行動力。出来ないことを可能にしてしまう。

 

怖いもの知らずのおかげで、生活力、生命力、金儲けなどの面は非常に賢く、頼りがいになる。
 

 

これまでの女性像と全く違う、思った通りに生きていく。

 

結局はスカーレットを私たち女性は受け入れるというより、その生き方にあこがれを持ってしまう。


メラニーはアシュレーよりもスカーレットに世話になっていて、アシュレーのどこが よか ね??


で、メラニーであるが、皆さん、聖母のようだとおっしゃる。わたしもそう思っていたが、

いやいや、この人こそなかなかしたたかである。

 



どうすれば、みんなが自分のために動いてくれるか自分を賛美してくれるかをよー--く知っていますよ。

ある意味冷静だけでなく冷酷さもあるかも。でないとそう、あんなに強くはなれないでしょう。

スカーレットよりもお強い方ですよ。精神面でね。

レッドはもう理想の人だから語りません。

 



アシュレーさんはどこが魅力だかわたしにはわかりませぬ。


以前、『天井桟敷の人々』を投稿した時に登場する四人のキャラクターに対して、


風と共に去りぬ も我々は四人のキャラクターのどれかに当たる・・・てなこと書きましたが、

あれに出てくるヒロインのギャランスはフランスの  自由 の象徴でした。

スカーレットはアイルランドの 土 の、土地の象徴としてわたしは捉えられましたが、どんなものでしょうかね。

 



どなたさんかおっしゃってましたけれど、

 

どれだけ興行収入を上げようが、どんな大監督さんが演出をしようが、どんな賞を獲得しようが、

 

どれだけストーリーがすごかろうが、そんなことよりいつも書くのですが、

 

その作品から何を、学んだかが一番大事なことだと。。

小津監督がこの作品を当時戦時中ですよね、上海でご覧あそばしたとか。

 

で、こんなすごい作品を制作するアメリカと戦って勝てるわけがないと思ったそう・

 

制作された年をまず考えてごらんくださいまし。

 

1939年、日本はどんな状態でありましたでしょうか。

 


それとおまけ・・・

スカーレットさん、そのうちレッドも帰ってくるかもですよ。




原作   マーガレット・ミッチェル

制作   デヴイッド・O・セルズニック


監督   ヴイクター・フレミング


脚本   シドニー・ハワード

音楽   マックス・スタイナー