女性がきっと好きになる作品 第三夜 『マグノリアの花たち』  1989年度 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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女性がきっと好きになる作品 第三夜

 

『マグノリアの花たち』

 





昔から美容室、特に田舎の美容室はご婦人たちのたまり場 というか社交場のような

存在であったし、今もそうなのかなあ。


アメリカ南部 ルイジアナ州の田舎町の美容室に集う6人の女性たち(老いも若きも)が織りなす物語。

  

脚本が秀逸で  悲しみと笑いが表裏一体。

毒舌と滋味深いセリフが背中合わせ。



原題が  Steel  Magnolias  鋼鉄のマグノリアですが、

多分登場する女性たちのたくましさを象徴しているのだと思いますが、はて??


女性の真の強さが胸を打つように響いてくる

一癖も二癖もある登場人物たちが  人の生死について辛辣な、しかも汚い言葉で

ビシビシとそしてユーモアを交えて応酬しあうことが許されるほどの

強い絆の6人のドラマです。

人間の一生の深さ、目的を暗示しながら、ある時はしんみりと、

ある時は笑いの中に 示唆しながら・・・・・ 


キャスト



マリン              サリー・フイールド

ウイザー        シャーリー・マクレーン

トルービー            ドリー・バートン

アネル             ダリル・ハンナ

クレリー        オリンピア・デユカキス

シェルビー           ジュリア・ロバーツ

ドラム       トム・スケリット

スパッド      サム・シェパード



監督        ハーバート・ロス    


   ものがたり


いかにも田舎から出てきたという風情の若い女性がメモを片手に

キョロキョロしながら歩いてくる。

ルイジアナ州の田舎町の美容室、トルービーの店に着いたアネルは

その日から働くことになった。

 


ĺ   
今日は近所に住むマリンの娘のシェルビーの結婚式。


”忙しくなりそう”と準備に忙しそうなトルビーは陽気で面倒見の良い女性。

 

夫のスパッドは寡黙だがやさしい。

美容院へ出かけようとしているマリン母娘だが、

犬を連れたウイザーが怒鳴りこんでくる。


それは夫のドラムが撃つピストルの音に犬が怯えてノイローゼになっているから。

結婚式はガーデイン・ウエデイングだから、通りの木々から庭の木々までいっぱいに集まってくる鳥たちの

フンが落ちると困るから銃で追い払っているのだが、はなはだ近所迷惑のようである。


犬は狂ったように吠えています。

ウイザーはドラムに向かって”銃声で犬が怯えるのよ、ストレスで毛が抜けてしまって

どうしてくれるのよ”と怒鳴りますが,当のドラムはニタニタ笑っているだけ。


母娘が美容院に着くとすぐに、元市長夫人のクレリーもやってきます。

ウイザーを加えたこの五人はことあるごとに集まり、普段はこの美容室をたまり場にしているのですね。



ここにアネルが加わって6人のメンバーになっていきます。

そうこうしていると、シェルビーが発作を起こします。

皆でシェルビーを介抱します。シェルビーは重度の糖尿病を患っていて、

みんなは、状況を把握するのは心得たもの。

 

マリンはシェルビーの結婚は許したものの条件付きだった。

 

子供を決して作らないこと。

ルビーの身体では無理、命の危機にさらされるからです。


発作は収まって、さあ結婚式が始まります。

 



賑やかな結婚式となりみんなに祝ってもらったシェルビーは幸福感に包まれて

弁護士の夫ジャクソンと

新婚旅行へと出かけたのです。


市長夫人のクレリーとウイザーは級友。

仲が良すぎていつも二人は毒舌の応酬。ウイザーは繊細。

クレリーはおっとり肝太。

ウイザーをからかっては楽しんでいるところがある。

ウイザーはすねて、落ち込むが、それをやさしくなだめるのもクレリーでした。


ウイザーといえば何十年ぶりに故郷へ帰ってきた小男といい感じになりそう。


アネルは少しづつ変貌していく。最初は牛乳瓶の底のようなメガネが目だって
ファッションもダサかった。

今はコンタクトレンズ。

垢ぬけたのとは違うが、真面目そーが取れて髪もカール、ちょっとハデにという感じ。

とにかくでかい。

仕事はさばけるのでトルービーはアネルを頼りにする存在になっていく。

クリスマスが近づいたある日、

シェルビーはママのマリンに妊娠したことを告げます。

返す言葉もないマリン、約束が違うじゃないと内心思って憂鬱な顔になってしまうマリン。

 



議論しあう二人だが、シェルビーは産みたいと引き下がらない。

”空っぽの長い人生よりも充実した30分を生きたい”と言ってマリンを困らせた。

美容院の仲間たちは、シェルビーの意志を尊重すべきとマリンを説得します。



娘の命の危機に不安を隠し切れないマリンをただただ抱きしめることしかできないみんな。


そんな心配の中、シェルビーは元気な男の子を産みます。

夫の名をとって、ジャクソン・ジュニアと名付け、シェルビーはそれはそれはジュニアを

慈しんで育てます。

しかし、出産の後遺症から腎臓障害を起こしてしまいます。


次々と難病に襲われるシェルビー、変わってやりたいと心を砕くマリン。

どんな時にも四人は寄り添います。

ある日、シェルビーはまた発作を起こし、病院へ運ばれますが、意識がもどらなくなってしまいます。


父親ドラムも弟たちもそんなシェルビーを見ていられなくて病室から出ていきますが、

マリンはずっとずっと寝ないでシェルビーに話しかけ続けるのでした。


そんな彼女を四人は思い思いの彼女たちらしい言葉で慰め、励まし続けます。
が、

絶望とわかって機械のスイッチを

切ってもらいます。

シェルビーは目覚めることなく天国へと旅立っていきます。


マリンは心の底から吐き出します。

   ”何で?なんであの子なの? 

 

 あの子を返して”

叫び、わめき、泣きじゃくりながら、墓地を歩き回るマリンに

四人はかける言葉もなくただマリンの後をついていくだけでした。

 

"

不思議よね、鋼鉄のように強いはずの男達が

 

いたたまれなくて病室を出たわ。

 

最後まで手を握っていたのは私だけ"

 




イースターの日


五人の笑い声。

皆それぞれ着飾って、シェルビーに思いを寄せて。
ジュニアをみんなで守ろうと笑いあい、時はすぎてゆく。

 

そうして、

アネルは臨月を迎えていました。

 

相方は今日はウサギのぬいぐるみを身に着けています。

 

子供たちを喜ばしてとアネルの指図でした。

 

アネルはマリンにお願いをします。

 

お腹をさすりながら、この子が生まれたら男の子でも女の子でも  シェルビーと名付けたいのですが

 

許してもらえますか??

 

マリンはシェルビーも喜ぶわ、そうやって時は流れていくのね。

 

町の中心を流れる川は運河のように雄大。そこで子供たちは大人たちに守られ

 

河原から草の土手へと

 

草つみをしていました。クレリーはジュニアにお話を聞かせています。

 

昔、昔、シェルビーという美しい人がいて彼女には守り神がいました。名をクレリーといいます。

 

そして悪い妖精もいました。名をウイザーといいます。

 

ウイザーは、恋人になった小男とセントバーナード犬を連れて歩いてきました。

 

ジュニアを見つけたウイザーはジュニアに木の陰から声をかけました。”ウイザーおばさんよ”

 

ジュニアはウイザーの顔をひっぱたいて泣きながらマリンおばあちゃんの方へかけていきます。

 

近くで見てほくそ笑むクレリーがいました。

 

アネルが産気づきました。

 

トルビーと夫はアネルを車に乗せ病院へ向かいます。

 

ウサギちゃんはトルビーの息子が運転するオートバイに乗っかて・・・・・・



この作品は当時評価が分かれていたようで、

アカデミー女優たちのドラマがもっと描けていいのではないかと。


マリン母娘の物語になってしまって、

もったいない使い方をしていると。

一方、  名作だという意見。


わたしが思うのは、本作品はシェルビーの姿を通してジュニアを産むことで

自分の命と引き換えにジュニアに命のバトンを渡すということ、生きるということはどういうことなのか、という重いテーマを描いていると思うので

どんなに大女優さんであろうと共演者なんですよね。

これは群像劇ではない。

でも個性的な大女優が共演したからこそ、名作に仕上がったのではないかと思います。

ジュリア・ロバーツはデビューしてまだ間もないころ。

この作品でゴールデングローブ賞の助演女優賞を獲得したことで翌年、『プリテイ・ウーマン』につながるんですよね。

まだ、22,23歳?位の初々しいジュリアです。


母親のサリー・フイールドはこの頃、絶頂の時です。

ドリー・バートンは本業の歌手をおいての出演。

シャリー・マクレーンはもう彼女の地と言っていいのか  というくらいのはまり役で登場。

オリンピア・デュカスは 『月の輝く夜』でシェールの母親役で賞を獲得している。独特の雰囲気の女優さんです。


そして、ダリル・ハンナです。

わたしも紹介した作品『夜霧のマンハッタン』で

出演はロバート・レッドフオードとデボラ・ウインガー主演のサスペンス作品に

謎の女性チェルシーとしてハンナは出演していたんですが、今回この作品を書くことで改めて知りました。


この方も個性強いですね。
さて、
Steel  magunolias  という原題。

外見は花のように愛らしく、やさしいが中身は鉄のように頑強な芯が

一本通っている女性  の意味だそうです。

五人の女性の強さもさることながら


鋼鉄のような意志を貫き、短い人生を精いっぱい生き抜き、ジュニアに命のバトンを渡した

シェルビーもそれ以上に鋼鉄の花でした。

この母娘が中心でいいいのではないかなと思いますし、

やはりいい作品ではないでしょうか・

 

1980年代の ダサいファッションは最初見たときにうわーって思ったけれど

 

今見ると、このファッションだから南部カラーがよりよくでているし、

 

好きではないけれどいいんじゃない?

 

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