『サン.スーシの女』・ロミーのためのロミーの遺作 ・1982年度 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

吐夢の映画日記と日々の雑感

ご訪問ありがとうございます。
懐かしい名画、最近の気になる映画のことを書いています。

戦前のフランス映画が大好きです。

読まれて共感頂けたら、"いいね"を押してくださいませ。
励みになります。

ロミー.シュナイダーが亡くなってもう42年になります。

 



私の周りにはロミーのファンが多いんですよ。


亡くなった42歳のままの彼女がそこで
時を停めているから。若くて美しいままの
ロミーだから。

本作品は彼女の遺作となった。
公開が1982年の4月。確かその一ヶ月後位に
亡くなったのではないかな。

ドロンさんの相手役としての作品は置いといて、
彼女が一番輝いたのが、『離愁』と『サン.スーシの女』ではないでしょうか。

サン.スーシの女

1981年を現在とし、1933年当時と交互に描きながら、話は進んでいく。

現在のリナと1933年のエルザという女性の二人を演じます。

ストーリー

1981年、パリのオルリー空港に降り立ったマックス.ボームスタイン(ミシェル.ピコリ)。

妻リナ(ロミー.シュナイダー)は嬉しくて車を降りて、駆けて駆けて、マックスに飛び付いた。

マックスのパリ滞在の目的はパラグアイで投獄された英国の女性の解放を要求する会議へ出席するためだ。

彼は世界人権擁護機関の代表だった。

マックスを愛して愛してやまないリナ。二人が
くつろいでいるホテルに
翌日の会議用の資料が届けられた。

資料を眺めていて、ある写真を見た瞬間

マックスの顔は強張った。


案ずるリナ。
マックスは右足が不自由で杖がてばなせない。

夜遅くにも関わらず、マックスはリナの申し出を断って一人で街へ出た。

街をあるきながら、一軒の店で青年に声をかけた。
"昔、ここは 何だった?"
"昔って?"

"戦争前はキャバレーだったはず?"
"まだ、俺は生まれてなかったよ 爺さん"と青年は笑った。

マックスは当然だが 様変わりした街の中に
記憶を蘇えらそうとするかのように歩いた。

一軒の店の扉を押して入った。

4人の楽団が奏でる弦楽器の音。
マックスはひとりに耳打ちして頼んだ。
亡命の唄を弾いて と。
マックスは立ったままずーっと聴きいった。

 

なにかを決意したように一点を見つめていた。

翌日彼は秘書と一緒に
パラグアイ大使(マチュー.カリエール)を尋ねた。
イギリス人女性の解放の件に関しては大使は
存在のない女性の解放はないときっぱり言った。

マックスはそれはもう眼中になかった。
ひとつ訊ねてもいいかと大使に言った。

"1933年当時あなたの勤務先はパリのドイツ大使館でしたね。"

"そうですが。"
"その時あなたの名前は ルパート.フオン.レガート"

"そうだが なにか"

"エルザという女性を覚えていますか?"

"知らない 覚えていないいや そう言えば聞いたような....."
と曖昧に答える現フエデリコ パラグアイ大使。
"いまさら どうして?"

マックスは秘書に"カバンをくれないかと

受け取り中を開け、

閉じたと同時にピストルで3発
大使を射殺した。

留置場を訪ねたリナに、マックスは
1933年のベルリンで彼が10歳だった頃の出来事から語り始めた。

ナチスの仕打ちで目の前で父を撃ち殺され、マックスはその時痛め付けられて右足が不自由になった。
マックス父子はユダヤ人だったのです。

家族ぐるみの付き合いだった

ミシェル(ヘルムーグリーム)と、

エルザ(ロミー.シュナイダー)の許に
マックスは引き取られた。
エルザはオペラ歌手、ミシェルは反ナチ派の出版社の経営者だった。

つかの間の幸福だった。ナチスの手は忍び寄り
、ミシェルはひとりベルリンに残りエルザとマックスはパリへと旅立った。

ここから、マックスの語る現在の

殺人事件の裁判の様子と

1933年からのエルザとマックスに起こる

運命が交互に描かれていきます。

ゲシュタポに追われるるミシェルは

二人を追った列車内で捕らえられるが、

かろうじてその前にたまたま出会った

モーリス(ジェラール.クライン)という男が

パリへいくというので場所とエルザと言う名を教えてお金を渡してくれと頼んだ。

真面目なモーリスは約束を守った。
"ラーヤ"というキャバレーで歌っていたエルザの美しさに惹かれてモーリスは足しげく通い、エルザの相談をなんでも聞いた。

そこにいつもエルザを見つめるもうひとつの眼があった。
ルパート.フオン.レガート
ナチの手先。


ミシェルを救い出すことのできる唯一の男だ。
ルパートに身を任せれば、ミシェルが自由になれることはエルザにはわかっていたのだが
けなかなか決心がつかずに苦しんでいた。

酒に溺れていくエルザ。そんなエルザのためにマックスを見守り、また危険を侵してまでも

ベルリンへミシェルの様子を探りに

いくモーリス。

エルザに喜んでほしいただそれだけ。
マックスはバイオリンが上手だった。
亡命者たちが集まってくる サン.スーシ というカフエで

楽団に加わってバイオリンを

弾くこともあった。

エルザにはキャバレー内に仲良くしているシャーロットという女性がいてなにかとエルザの世話を焼いた。
モーリスを手放してはダメよとアドバイスしていたがとうとう、エルザはルパートと一夜を共にした。

帰ってきたところに待っていたモーリスがいた。
"あれだけナチを憎んで憎んでいた君が
ナチと寝たのか!!!とモーリスはエルザを罵倒した。

ミシェルは解放はされ駅で待つエルザ。

サン.スーシへ向かう二人を待っていたのは
二発の銃弾だった。
走り去る群れのなかにマックス少年ははっきりと見た ルパートの冷ややかな顔を。


裁判に証人として呼ばれたモーリスはいい証言はしなかった。というよりも無表情だった。

あれだけ尽くした女性にこけにされた ということよ
ナチに身を任せたことがどうしても許せなかったし
まして、マックスの人権擁護機関などエセにしか
映らなかったのだろう。

シャーロットの証言はマックスを擁護するものだった。

退廷するときに、シャーロットはマックスに向かって、許せないやつが一人減った、よくやった!!
と言った。

傍聴席は拍手の渦だった。

マックスに無罪の判決。

しかし、エルザはネオナチから唾を吐きかけられた。この役者さん、ジャン.レノでは?


これが現実かも知れないあの頃のパリでは。

にこやかにランチを頬張るマックスとリナ。

だが、この半年後、二人は銃で撃たれて
亡くなったそうだ。

この作品は理屈だけの単純なものではない。
愛と運命の悲劇が重圧なドラマとして
構築されるその一方で(裁判を巡って)現代からは政治的かつ、社会的視点を問うている。

この二つのバランスが見事で、

ぐいぐいとラストまで観客を引っ張っていった。

"忘却のメロデイ" ジョリュジュ.ドルリュー作曲。
悲しいメロデイだ。

この方は、突然炎のごとくや、かくも長き不在

終電車、隣の女などトリュホー作品に関わることが多い。

♪甘くて忘れられない 古いユダヤの歌
子供の頃に ヴアイオリンで弾いていた
そのメロデイを聴き 両親は涙したものだ
これは亡命者の物語 移民の人生
村の虐殺を逃れた人々は皆
悲しみの旅に出る
ワルシャワ ベルリン ロシアから逃げた
パリで自由に生きるため
サン.スーシーの前であの人は殺された
叫びのあとに訪れた無関心
そして忘却のうちにすべてが繰り返される
甘くて忘れられない この懐かしい歌
こどもの頃に ヴアイオリンで弾いていた

僕の目の前にはエルザ 君の美しい面影
最後の旅に出る君が口ずさんでいた
子供のころに僕が弾いていた
追憶と涙と後悔のあの歌を ♪

最後のクレジットに流れるこの歌がすべてを
語っています。

本当にロミーのための映画です。


満腹です.......

 

ランキングに参加しています。

ポチっと押していただけましたら

嬉しゅうございます。

                ↓

          にほんブログ村 映画ブログ 映画備忘録へ
       にほんブログ村