仮面夫婦とは違う 夫婦の形 ≪天才作家の妻  40年目の真実≫2019年度作(米) | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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映画のこと、毎日感じた雑感なども
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     (天才作家の妻・・・40年目の真実)  2019年度作

 

             

実力派女優、グレン・グローズ主演の作品。

わたくし好みの作品に出会いました。

このお話は妻の心理的な経過が見どころで、
 

グレン・グローズのすばらしい表現力がわたしを引き込んでいきました。



ストーリーはちょっと長くなります・・・
 

1992年、コネチカット州

71歳という老夫婦ががベッドでじゃれあっていると
 

一本の電話が・・・
 

        

 

 

夫ジョゼフ(人はジョーと呼ぶ)、妻ジョーン。

それは夫ジョーへのノーベル文学賞受賞の報せであった。
 

その時、ジャンピングしながらジョゼフは”俺はノーベル賞を取った!”と
 

歓喜した・

作家仲間を呼んでパーテイーを開いた。
 

二人は有頂天だった。

 


 

長女は妊娠。弟はどうやら小説を書いているらしい。
 

ジョーはみなの前でスピーチらしきものをした。
 

そして今の自分は妻ジョーンに支えらてある。
 

彼女に結婚を承諾させたことは人生最大の功績だとも言った。

君は現代における最高の作家だ! と仲間の一人は言った。

ストックホルムへ向かう飛行機の中からふたりの様子がおかしくなってくる。
 

というより妻ジョーンがジョーの声賭けに
 

なにやら含みを持った対応をするのだ。
 

二人を追っかけている記者がいた。ストックホルムまで行くナサニエルだ。
      

           

二人の伝記を書きたいらしいがジョーは断り続けているらしい。

ストックホルムについてから、ノーベル賞授賞式までの裏のことがよくわかる
 

映像展開である。
 

夫婦それぞれに付き人がついて部屋へと案内される。
 

夫は飛行機の中からもそうだが口卑しくいつも何か食べているし、
 

部屋へ入ってからもテーブルの上のものをつまみしゃべる。

妻はインテリアに興味を持ち眺めている。
 

息子デヴイットもついてきている。
 

夫はバイバス手術をしていて妻は健康面のことは気にしている。

がこの二人表面は夫想い、妻想いに映るが本心がどうも分からない。
 

ベッドで妻は腕時計を外した・時計の裏には”Jへ 君の才能にJより”

と記されていた。話は彼らの若かりし頃にさかのぼる。

スミス大学・・・・1958年、
 

ジョゼフは”ミス アーチャーどうぞ中に” と教授室へ案内した。
 

アーチャーとはジョーンの独身時代つまり女子大生の頃の名です。
 

”君の小説 2回読み返したが2回とも感心した
 

だがまだ改良の余地はある”

”ハイ 直します。”
 

”いや直すんじゃない 深めるんだ 君の作品は理知的だが孤独だ”

”登場人物が孤独なんです。”とジョーン。
 

”・・・・・”  ”・・・・・”と繰り返すうち
 

ジョーは”君は手ごわいな”
 

ジョーンは”面倒な女なんです”と。

こうやってジョーはジョーンをデイトに誘った。
 

なぜジョーンはジョーに惹かれたのか?・・・・教授だからか?
 

この頃から女性に手が早いことを匂わせる。
 

ジョーには妻も子供もいるようだ。
 

”子守を頼めるか?と言った。デイトは勘違いだった。そう言って
 

ジョーはビーンズをほおばった。

サークル講義中にも教授ジョーンはビーンズを左手のひらから取って
 

ほお張りながら講義っている。
 

その彼を熱い視線で見るジョーン。

変わってストックホルムの今。
 

専属のカメラマンは女性で美人だ。
 

ジョーはもう眼をつけている。
 

晩餐会の後でのパーテイーでもジョーはしょっちゅう何かをほお張っている。

デヴイッドは父親の態度に辟易している。
 

ホテルへ戻る車の中で言い争う親子。
 

作家である息子をまだ認めない父親。豚のようにいつも食べている父親を
 

非難する息子。

1958年・・・・
 

ある女性作家が言った。
 

”女性がいくら書いて本にしても売れないわ。
 

      学校の棚に飾ってあるのが関の山”
 

この時代、女性の社会進出はアメリカでもまだまだであった。

      
 

ジョーンには小説家としての才能があった。
 

ジョーンも書いていた。≪教授の妻≫はいい本だったらしい。


片付け終わったパーテイー会場で又、一人ジョーは食事を運んでもらって
 

食べている。本当にこの人は食べる場面しかないのか!!と見ていて
 

気分が悪くなる。
 

寝てるか食べているか喋り捲っているか・・・
 

妻は表面だけ取り繕っているだけ・・・でもなさそうなのであるが。
 

夫婦は別行動も多い。
 

ジョーは授賞式のリハーサル。
 

そして女性カメラマンを誘惑しようとして振られてしまったジョー。
     


記者はジョーンの過去を追っている。
 

 

グラスを傾けながらのインタビュー。
 

いろいろとかまをかけてくる。
 

ジョーの艶聞やその他。ジョーは”わたしを被害者扱いしないでね”と
 

乗らない。

ここからが重要で・・・・
 

”間違った憶測は迷惑でしょう  どうぞ真実を語ってください!”と記者

ジョーンは笑って逃げた。”ストレートな人ね”
 

謎めいた会話です。
 

”ジョーにとってノーベル賞とは?”
 

”くだらない”とジョーン
 

”肝心なのは賞じゃない  書き続ける意欲だ”と記者。
 

”これは大学時代にジョーンがサークルで言った言葉でしょう”と記者。
 

”それで結構”とジョーン
 

”あなたの意欲はどこから?”
 

”朝起きるとき”とごまかすジョーン・
 

”書くときです”と記者。”私は書かないわ”


”そうかな?”と記者。”あなたの書いた小説がスミス大学の図書館に・・
 

        ≪教授の妻≫は良作だ”
 

”ありがとう  見込まれてたのよ”
 

”後悔は?”   ”ないわ”

”女流作家が活躍できる時代じゃなかった”とジョーン・
 

”成功した女性作家もいたはず”
 

”わたしは性格的に向かなかったの シャイだし 注目されるのが嫌い”

”ジョーは書くことを勧めなかった?”と記者
 

”勧めたけど私自身が・・・・望まなかったの”

 

” #作家#は家庭に一人でいい??”と記者。”
 

”ナサニエル 後悔の言葉を引き出そうとしてもムダ。”

”後悔といえばーーージョーの前妻のキャロルに会った。”
 

今、精神科医をやっている 娘は歯医者だ  あなたを許すと”

つまり略奪結婚なのですね。
 

”だけどもジョーの浮気癖はジョーンのせいではない。
 

    ジョーにとっては劣等感に根ざした不安の表れだ”
 
”たいした分析ね ”とジョーン
 

”あなたには相談相手が?・・・”   ”いないわ   欲しくもないわ”

 

”だから魅力的なんだ”と記者。”ミステリアスでね!”
 

追い詰めていきますね。。。
 

”ジョーの初期の頃の短編をいくつか読んだ  三流紙に載った小品だ
 

   申し訳ないがヒドかった”

”初期のころなんてそんなものよ”とジョーン
 

”だが、今の作品の面影もない!”実際のところ≪教授の妻≫
 

のほうがーーーー初期のジョゼフ・キャッスルマン(ジョー)に近い”
 

”驚かないわ  わたしは彼の影響を受けた”
 

”ふーん  キャロルが言ってた。
 

       あなたと出会ってジョーの小説が化けたと・・”

 

たじろがないジヨーン。
 

どうやら記者の言いたいことが見えてきました。
 

ジョーンがノーベル賞作家のゴーストライターだということですね。

”失礼ながらあなたはジョーにうんざりしているのでは??”
 

度重なる浮気に 「影」として彼の伝説作りをすることに対して・・・・
        

  ご家族のために真実を公表しませんか?? 
 

     息子さんのデヴイッドが気の毒だ”

”真実を公表すれば自分の名前で書けますよ・・・”
 

ジョーンは微笑んで  ”すごい想像力だわ”と言い
 

決して認めようとはしなかった  真実を  。
 

ジョーンは毅然と席を立ち  去った。

何かが爆発するような重い心を抱いて、
 

夜のストックホルムの街をホテルへと急いだ。
 

ここまでが前半なんです。


そしてホテルの部屋で待つジョーと爆発合戦が起きます。
 

彼らが結婚した頃、夫が小説の骨組みを立て
 

文章力に優れた妻が執筆するという作業を暗黙のうちに承諾しあって
 

小説を発表し続けていった現実。


いがみ合っていても娘からの出産の報せを聞けば普通の夫婦に戻るふたり。
 

夫は妻の本心がわからないといい、妻は夫の言葉を請合わない。

家族・・・という絆と  
 

お仕事の秘密は別物で 憎しみと愛情の交錯が
 

ジョーンの毎日であっただろうし
 

ジョーにとっては考えることさえ思いもつかない鈍感マンであったようだ・
 

 物語を創る天才と書くことの天才はせめぎ会いながらも同士として
 

生きてきた。
 

女性はいくら才能があってもあの時代だれも認めてくれなかった。
 

だからジョーンはジョーの作品の中に自分を投げ込んでその中で
 

作家としての息吹を感じて満足してきたのだった。 
 

ジョーというフィルターを通して自分を表現し満足していた。
 

でも、ノーベル賞受賞となると複雑な心理が芽生えるでしょう。


世間的には世界的大作家である夫ジョゼフ。
 

世間的にはその夫を完璧に慎ましく支えてきたはずの妻ジョーン。


40年間の夫の絶え間ない浮気。
 

妻は心の底に複雑な感情を溜め込んでいる。
 

アメリカとはいえ、女性の社会進出がまだまだ困難っ立った1950年代。


ふたりはその頃出会って惹かれあった。そんな時代の女性の生き方を
 

真摯に描いている。
 

ジョーはホテルで心臓発作をおこし、急逝する。
 

帰りの飛行機内でまたもや記者は問いかけてくる。
 

ジョーンはこれ以上無礼なことを言うなら訴えると
 

ジョーンの名誉を守ったのでした。

そして息子デヴイットに言うのです。
 

”帰ったらお姉さんをうちへ呼びなさい。あなた達に話したいことがあるの”

         

 

     

この物語は真実がどうだかよりもそこへたどり着く過程・・
 

  ジョーンの心の動揺、葛藤、許し、忍耐  そういった
 

彼女の生き方を描いた良い作品です。
 

セリフよりも顔の表情での演技が多く、その変化がすごいです。
 

グレン・グローズはすばらしいです・

ノーベル賞の報せに
 

あっけらかんと喜ぶ愚鈍な亭主と
 

黙ってもうひとつの電話で連絡を聞きながら段々と喜びを表現していく
 

ジョーンの表情・
 

これでふたりの関係性とか2人が抱える秘密をも予感させる導入部が
 

すばらしい。
 

ノーベル賞の授賞式という最大で最高の晴れ舞台のはずが
 

二人を待っているラストが感慨深く味わい深いものになる。

飛行機の中でアテンダントの女性がジョーンにつぶやく。
 

”往きの便もわたしが担当でした。たくさんのご夫婦を拝見してきましたが
 

お二人のご様子を見て思いました。特別な絆のご夫婦だと。”

つまり小説を発表するということと夫婦としての二人の関係は別物だと
 

ジョーンは割り切っていた。ジョゼフは違う、何もかも混ぜこぜなのだ。
 

劣等感の裏返しの言動、行動だということ  弱い亭主と
 

才能豊かな頭脳明晰な妻。そんな二人の秘密はさぞ重かったでしょうな。

記者ナサニエル役の  クリスチャン・スレーター  懐かしいですね

「薔薇の名前」で若い修道僧アドソを演じた彼です。
 

知的で都会的な中年男を演じても違和感ないステキな男優さんに
 

なってたんですね。

 

今朝は雨上がりのお散歩

 

           

 

 

 

 


 

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