フランソワ・トリュホーのこと 今夜は≪恋のエチュード≫(仏)1971年度作 ★今夜のワンコも登場 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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   フランソワ・トリュホーのこと  今夜は≪恋のエチュード≫  1971年度

トリュホー監督と切っても切り離せない相方がいる。
 

ジャン・ピエール・レオ。
 

そうです。≪大人は判ってくれない≫で、主役の少年アントワーヌを
 

演じた俳優さんです。

1959年、ジャン15歳のデビューです。
 

トリュホーは彼の成長と共に起用して作品を撮った。
 

24歳の≪夜霧の恋人たち≫、27歳の≪恋のエチュード≫、
 

29歳の≪アメリカの夜≫。
 

今夜はジャンが27歳の時の作品≪恋のエチュード≫に
 

スポットを当ててみます。

トリュホー監督の≪突然炎のごとく≫はひとりの女とふたりの男
 

そして本作はひとりの男とふたりのおんなの物語。
 

同じトライアングルの恋模様を扱った作品である。
 

原作者も同じアンリ・ピエール・ロシェ
 

邦題がなぜ恋のエチュードかは分からないんだけれども作品の原題は
 

(二人の英国女性と大陸)。このまた大陸というのも解明せねばならない。

ヌーベルバーグの全盛時代は1950年頃から1963,4年まで。
 

その後、フランス映画界は停滞期を迎えるが、リュック・ベンソンや
 

レオス・カラックスなどが現われるのは1980年代に入ってからである。
 

それから次第に活気を戻していった。

1971年といえばその停滞期にあった中での本作品。
 

画面は印象派の絵画のように美しい。


15年という歳月・・・再会と別離、そして姉と妹の間を
 

遍歴する青年クロードの愛のあり方と苦悩を描いた作品である。
 

今世紀初頭のフランスは、パリ。
 

クロードは27歳。母のマリー(ロック未亡人)と妹と三人で         
 

暮らしている。
 

クロードは物書きを生業としているが父の残した三軒のアパートの家賃収入で
 

三人なんとか不自由なく暮らせている。
 

小さい頃からクロードはひ弱で一寸したことで怪我をしたり、
 

風邪を引いたりとどこか頼りなさを感じさせる青年である。
 

クロード=ジャン・ピエール・レオ・・・≪大人は・・・・≫の頃の面影が
 

たっぷりと残っています。

一方、イギリスはウエールズの美しい海辺を見下ろす丘の上に、
 

姉妹のアンとミリュエールは母シルビア(ブラウン夫人)と暮らしている。


ロック夫人とブラウン夫人は旧友である。
 

姉のアンは今、パリに住んでいて彫刻を学んでいる。ブラウン夫人を訪れた
 

彼女は初めてクロードに会った。英語の話せるクロードにアンは夏を
 

ウエールズで過ごさないかと誘った。
 

アンはクロードを連れてウエールズに帰ってきた。そして、妹ミュリエルを
 

紹介した。彼女は目を患っていて眼帯の下からクロードを上目遣いに見た。


 

さて、クロードはなんと姉妹の両方を好きになる。
 

姉妹もクロードに惹かれる。


 

奥ゆかしい趣きの姉と比べて妹は気丈で行動的。

 


 

成り行きは・・・姉が妹の気持ちに気づいて身を引いた。そして、妹に
 

プロポーズをするまでになりましたが、やって来た母はクロードとミュリエルの
 

結婚に反対する。目を患っていることで健康面を案じての反対であった。
 

結果二人は一年離れて暮らすという提案が出されしぶしぶミュリエルは従った。
 

クロードは母の言うことなのでそれ程抵抗もなくパリへ帰っていった。
 

だが、一年の別離はクロードを変えた。ミュリエルへの愛が
 

冷めてしまったのである。パリに居れば女に不自由しないクロードだった。

数年を経て、クロードはアンと再会して愛し合うようになる。


 

が、アンは他に好きな男性が出来たとクロードを捨てる。

そんな繰り返しの中でラストを迎えるのであるが、
 

姉アンは結核で亡くなっていく。

 

アンがクロードに別れを告げたのは
 

不治の病と気づいていたから、心にもない嘘を言って去ったのだった。

 

そしてクロードはまたミュリエルと愛し合うようになり七年経ってはじめて
 

結ばれるのである。けれどミュリエルは30歳になった今はじめて
 

男と結ばれる経験だった・・・・そしてクロードの確かな愛を
 

感じたミュリエルは
 

クロードを愛したが一緒にはなれないと去っていくのだった。
 

       

 

ミュリエルはその後ある教師と結婚し、女の子をもうけていた。
 

クロードはいまだ女性遍歴を繰り返している。
 

ある時クロードはアンとよく通ったロダン美術館に行く機会があった。

そこにイギリスの小学生達が見学に来ていた。
 

華やいだ雰囲気の中黄色い声が響いていた。
 

居るはずのないまた顔も知らないその女の子が居るのではないか?と
 

きょろきょろと見回す自分の顔が鏡に映ったのを見て、老けた自分を
 

感じるのだった。後ろで美術館の庭の扉が閉まる音がした。
 

青春との決別を告げるように・・・

この三人の男女関係は珍しくもないストーリーであるが
 

男女の愛の機微を描くのを得意とするトリュホーの佳品であろう・・・・

お互いがお互いの気持ちや考えを周知しながらそれでも自分の気持ちを
 

偽らずにお互いを、その時その時正直に愛する姿。

7年越しにやっと結ばれたミュリエル。普通ならば、だから・・・本当に愛を
 

もらったからこれから二人で生きていける・・・・はずなのだが、
 

ミュリエルは違った。
 

愛をもらったからこそ、もうあなたなしでも生きていける
 

という理論なのだ。ミュリエルの強さ。

病に取り付かれたのはミュリエルではなくアンだった、そのアンは黙って
 

クロードにふさわしくないとまたもや身を引いていったやさしさ。


作中、クロードが絶望の中で書き上げた最初の小説(ジェロームとジュリアン)
 

ということはクロードは作者のアンリ・ピエールがモデルかも・

クロード   ジャン・ピエール・レオ
アン     キカ・マーカム
ミュリエル  ステイシー・テンデター

大陸とは  作品の中で姉妹がクロードのことを大陸!!とかフランスとか
 

呼んだことに由来するものだろう。
 

≪アデルの恋の物語≫同様、ローソクの三部作の一つだといわれるように
 

ロウソクを使った撮影がことのほか美しく印象的である。

 

 

 

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