≪告白小説 その結末≫  ロマン・ポランスキー監督 仏・ベルギー製作 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

吐夢の映画日記と日々の雑感

ご訪問ありがとうございます。
懐かしい名画、最近の気になる映画のことを
日記形式で書いています。
戦前のフランス映画が大好きです。
基本、鑑賞後の感想ですのでネタバレが殆どです。
ご了承くださりませ。

         

 

 

  告白小説  その結末  フランス・ベルギー製作

 

 

     いつもご訪問いただきましてありがとうございます。

   

    今夜は鑑賞したばかり、湯気ほやほやの作品です。

 

 

     ロマン・ポランスキー監督
  

キャストは
    デルフイーヌ役に エマニュエル・セニエ  (ポランスキー夫人)
    エル 役に  エヴァ・グリーン

 

 

ポランスキーの作品はそんなに多くは見ていません。

 

そうですね (反撥)、 (ローズマリーの赤ちゃん)、(チャイナタウン)。そして

 

(戦場のピアニスト)くらいですか・・・

 

第二次大戦中はユダヤ人であった為の辛い経験、そして戦後映画界に

 

身を置くようになってからは不可解な行動、スキャンダラスで

 

問題の多い方でしたが、作品はわたしには難解でもあり

 

ミステリアスな魅力ある作品でもあるという特異な存在といえます。

 

 

そんなポランスキーが撮った≪ミザリー≫を髣髴とさせる

 

怖くても引きずり込まれてしまったサスペンス映画をとりあげます。

 

早速  ストーリーを

 

女流作家デルフイーヌは今日も長い列を作ってサインを求める

 

ファンに応えて朝からずーっとサインをし通しでした。

 

 

心を病自殺をした母の日常を綴った小説がベストセラーとなりたちまち

 

流行作家となったためのことでした。

 

サインをもらう読者は、”あなたの作品が大好きだ”とか

 

”生きる力を与えてくれた”と言って、生き生きと目を輝かせて、

 

デルフィーヌに語りかけるのですが、彼女は正直疲れ果てて、

 

ブックフエアの主催者にサイン会を終了してくれるよう目で合図します。

 

疲れは今日に限ったことではなく、ここのところ心身共に疲れ果てて

 

いたのです。それは極度のスランプに陥っている性かもしれません。

 

 

主催者を無視してサイン会を切り上げようとしたその時に

 

一人の謎めいた美女が”あと一人くらいいいでしょ?”と


本を差し出した。”デルは”悪いけど、そうしたらまた列が出来るわ”

とやんわり断った。美女は後へは引かずに押し通そうとしたが


デルはうまくかわした・

 

疲れていても出版業界のパーテイー出席が待っていました。


そこも早々に立ち去ろうと控え室に行くとそこにあの謎めいた美女が

 

座ってドリンクを飲んでいた。

 

あの時サインは断ったが彼女に抱いた印象は悪くもなく、

 

今度は自ら”本は持っている?”と聞き”ならサインをするわ”というと

 

美女は、


”あなたの小説はまるで私のために書かれたように思えるの”と

 

にっこりするのでした。

 

”お名前は?”     ”エル (ELLE)"

 

それからことごとく、デルの前にふーっと現れるエルでしたが

 

デルは好意を持って親しくなっていくのです・

 

デルフィーヌを中傷する匿名の手紙が送られてくるのも、

 

デルフィーヌの神経をまいらせる原因の一つでした。

 

”家族<母親>の不幸はさぞ収入を増やしただろう”

 

とそれは悪意に満ちた文面でした。

 

 

デルフィーヌは机について、パソコンを開きますが

 

まったく何も書くことができません。

 

その時、エルから電話がかかってきました。

 

近所の行きつけのカフェでエルと再会したデルフィーヌでしたが

 

番号を教えもしないのに電話がかかってきたことを不思議に思い、

 

”電話番号を教えたかしら”と尋ねました。

 

デルフイーヌには教えた記憶がないから。

 

教えてもらったわと平然とエルは応えました。

 

 

エルは著名人の本を代筆するのを生業とするゴーストライターだということが

 

分かりました。

 

謎めいているし、強引なところもあるエルとでしたが

 

向き合っていると

 

不信感と同時に何故か心が落ち着くデルフイーヌ。

 

小説の筆が進まずに悶々としている日々が続きます。

 

そんなある日、エルから電話がかかってきました。

 

バルコニーに出ると

 

なんと彼女はデルフィーヌの家の真向かいのアパートに引っ越してきて、

 

こちらに向かってに手を振っているではありませんか・

 

早速、

 

彼女の誕生パーティーに招かれたデル。

 

プレゼントを抱えてやってきたデルフィーヌでしたが、

 

テーブルは何人分の用意がしてるのに、やってきたのはデルフイーヌだけでした。

 

招待状を出しても誰も一度も来たことがないのだ、とエルは

 

情けなさそうに言います。


今は詳しく話せないけれど夫が死んでから、誰も連絡をくれなくなったし、

 

ましてや自宅に招いても来てくれるはずもないわと言うのでした。

 

デルフイーヌも夫とはお互いに仕事がしやすいようにと

 

納得づくの別居をしていました。。夫は売れっ子のジャーナリストで

 

世界を飛び回っていました。子供たちも独立して元気にやっているようだし

 

自立をしているとはいえ

 

デルフイーヌは本当は孤独でした。

 

 

孤独を抱えた女同士は

 

互いに信頼を寄せていくのに時間はかからなかった。

 

デルフィーヌは読んでから、感想を聞かせて欲しいと

 

新作の下書きをエルに渡した。

 

すると数日後、エルからの回答。

 

良かったわよと素っ気無い言葉。だが本当はそれは嘘で

 

厳しい言葉を浴びせます。

 

”正直に言うと、ちっとも面白くないわ。

 

あなたが書くべき内容のものではないわ。”

 

フイクションを書きたいと熱心に語るデルにエルは

 

”あなたは私小説を書くべきよ”エルは譲りません。

 

匿名の手紙は相変わらず続いています。

 

デルフィーヌを悩ませますが、

 

次はフェイスブック上で

 

デルフィーヌに成りすました何者かが好き勝手なことを書き、

 

炎上しているとエルがやって来て言うのです。

 

だけどデルフイーヌはフェイスブックはやっていないのです。

 

このまま放っておくのはよくないと勝手に

 

デルフィーヌにパソコンを開き、強引にしかもさりげなく

 

パスワードを聞き、すばやく対処するのでした。

 

疲れているから眠ったほうがいいわと精神安定剤をのませるのでした。

 

デルは日に日に不眠症が重くなり、不安は募るばかり

 

ぼんやりとした日も多くなり、エルの言うがままに動き、

 

段々と彼女に支配されるようになっていくのでした。

 

仕事の依頼がたくさん来ているのですが、

 

エルが全て強引に管理し、勝手に断りの返信を打つことが多くなりました。

 

そしてその事実を知らないままに知人、友人から聞かされ、疑惑と不信感が

 

どんどん濃くなってくるデルフイーヌでした。

 

しかし、エルは

 

余計な仕事は入れずに、執筆に集中するべきだと彼女は

 

平然とデルに告げるのでした。

 

エルが今住んでいる部屋の持ち主が

 

海外から帰ってくることになり、次の部屋がみつかるまで、

 

デルフィーヌの家に住ませて欲しいとエルは言ってきました。

 

もう、ここいら辺まで来るとエルのこれまでの言動、行動は全部嘘では

 

ないかと我々観客にも分かってきます。なのに

 

デルは不信感を持ちながらも、エルの言うことに全て曖昧に了承し

 

優柔不断の性でエルに振り回されていくのです。

 

 

さてさてこうして子供部屋に乗り込んできたエルとの

 

同居生活が始まります。

 

それから、奇怪な行動を目撃するようになります。

 

ある時、ラジオのインタビューの仕事をエルの了承を得ずに

 

受けたことで、エルは怒りを顕にしました。

 

力任せに故障したミキサーを破壊するエル。

 

悪魔のような顔をして。

 

献身的に世話をしてくれると思えば、

 

感情をむき出しにするエルの躁鬱病のような態度に

 

困惑するが疲れのために深く考えるのも面倒くさくついつい

 

エルに頼ってしまう。

 

後々に襲ってくるエルの行動は

 

そんなデルフイーヌの優柔不断が招くものと見ていてイライラ。

 

デルフイーヌの書いた本を学校教材にしている高校から

 

講演依頼が来た。

 

行ってはいけない!わたしがあなたに成り代わって講演してくると

 

出かけます。

 

帰ってくると”さんざんな目にあったわ。、

 

   司書にばれて警察に連れて行かれた!”との一言でオワリ。

 

しかし、多分これも嘘で学校になんか行くはずもないと思ってしまった。

 

そして・・・・

 

一人公園にやってきて、息抜きをしていると

 

出版関係の友人にばったり出逢いった。

 

エルが、勝手に友人たちにメールをして

 

連絡してこないように伝えていたことが判明。

 

 

夫と電話で話すと

 

彼も心配して危険だからエルと距離を置くように忠告します。

 

いくら忙しい取材とはいえ、なぜ危険を感じるくらいなら

 

仕事をキャンセルしてでも帰って来ないのだろう・・・と不思議。

 

エルに文句を言うと、

 

エルは逆に

 

あなたが執筆に集中できるように思いやってのことなのにと怒って

 

家を出て行ってしまった。

 

ぼーっとした生活の続くデルフイーヌでしたが

 

買い物を終えて、

 

アパートの急な階段を登っていて、バランスを崩し

 

階段から転げ落ち、足の骨を折ってしまいます。

 

階下の住人が飛び出てきて、

 

救急車を呼んでくれましたが、病院に真っ先に現れたのはエル。

 

どこで事故を知ったのかまたどうして入院先が分かったのか?

 

何事もなかったかのように二人の関係は元通りになりました。

 

ご主人の元に行ったら?とエル。

 

”海外までどうやって行くの?”

 

 

エルがわたしも執筆するから田舎家に行くんだけど一緒に来る??と誘います。

 

止めておけばいいのにまたずるずるとついて行くのですねデルフイーヌは。

 

松葉杖をつく容態でまだまだ自由の利かない身です。

 

エルはデルフイーヌを車に乗せて夜の雨の中を走り出します。

 

不思議なことに今まで自分のことを語らなかったエルが

 

自分から、これまでの人生を語り始めます。

 

 

19歳のときに荒々しい男と愛し合ったこと、

 

男は山岳ガイドで、二人は結婚。

 

しかし山小屋で彼が拳銃自殺を遂げたこと。

 

母親の死後、父との生活は暴力的で恐ろしかったこと。

 

家が焼けて父が死んだことなどを。でも全部嘘だと思いました。

 

 

そしてキキという空想上のただ一人の友だちのことも

 

エルは教えてくれました。

 

これを聞いていてデルフイーヌはこれこそ待っていた題材だと確信。

 

エルの人生こそ書くべきことだったと思い込むのです。

 

彼女に気づかれないように、もっともっと聞き出さねばならない…。

 

そしてメモしておかねばならない。しかし見つかってはならない。

 

  スマホに得た情報を録音しました。

 

エルはごちそうに腕を振るい

 

デルフィーヌを元気付けようとします。

 

しかし、ある日、エルの悲鳴が聞こえます。

 

 

デルフィーヌが来てみると、地下室に二匹もネズミがいる。

 

鼠捕器と殺鼠剤を買って来たエルは地下室に行って鼠捕り器を置くのは

 

”デルフイーヌ、あなたよ”と足の不自由なデルフイーヌに命令しました。

 

もうここらはまさにミザリーの世界。

 

 

その日の夕食も、エルは腕をふるいました。

 

しかし、夜になって、デルフィーヌは体調を崩します。

 

何度も吐き、ベッドに寝たきりになってしまいました。

 

段々と廃人のようになっていきます。

 

エルはこまめにスープやココアを運んできますが、

 

デルフィーヌはもう飲み物も受け付けられないのです。

 

がそのことに腹を立て、飲み物を壁にぶちかけ部屋を出て行ってしまう有様。

 

夫から電話がかかってきますが、デルフィーヌは食中毒で寝ているとエルは

 

告げ電話を切りまた苛立ってスマホを叩き壊してしまいます。

 

その声を聞いたデルフイーヌはエルは私が録音したものを聞いたかもしれないと

 

思います。

 

デルフィーヌは朦朧とした意識の中でも自分は殺されるかもしれないと

 

やっと行動に出ます。

 

何も口にしなかったおかげか少し動けるようになり

 

驟雨の中を上半身のシャツだけのまま松葉杖をついて歩いて

 

逃げます。

 

しかし、後ろから来た車が

 

猛スピードで彼女のそばを通り過ぎたときに煽りを食って、

 

デルフィーヌは側溝に転がり落ち、仰向けのまま動けなくなった。

 

夜が明けて、たまたま付近の道路工事にやってきた男たちが

 

デルフィーヌを発見します。

 

目を覚ましたのは病院のベッドの上で傍らには夫が来ていました。

 

彼女が自殺を図ったと勘違いしていたようですが、

 

実は殺鼠剤に含まれる硫酸タリウムが体内からみつかったからです。

 

スープやココアに混ぜてエルが飲ませていたのですね。

 

でもそのことを夫は信じていない。

 

あなたもエルとは電話で話したでしょ?と

 

尋ねますが、夫はエルとは話したことなど一度もない、それどころか

 

いつも切られてしまったと言うのでした。

 

起きたことは全部エルの仕掛けたこと。

 

彼女の話も報告もすべて嘘、作り話であろうと思われます。

 

デルフィーヌは回復し、編集者のもとを訪れました。

 

いいのを書いたわね 最高よ・・・と女編集長は新しい原稿を絶賛するのですが、

 

デルフイーヌは ”私は書いてないわ”とデルフィーヌは言います。

 

 

”でも送られてきたわ”という編集長に

 

”エルのやったことだわ”とぽつりと・・・・・

 

 

デルフィーヌの新作≪真実に基づいた物語≫は

 

またまた大反響で、ブックフェアのサイン会に。

 

真っ赤なマニュキアの手がすらすらとサインをしています。

 

映ったデルフイーヌの顔は以前の疲れた顔と変わって

 

エルのメイクを真似たかのような華やいだ作家デルフイーヌがいたのです。

 

 

前よりも増して長い長い行列が出来ていました。

 

デルフィーヌは快くサインに応じていると、

 

エルに良く似た若い美女が現れました・

 

第二のエルか・・・

 

 

これは幾通りにも判断できるシチュエーションですよね。

 

まず、エルという人物が果たして存在したのか、

 

デルフイーヌの心の中の願望欲望の化身としてのエルか。

 

架空のお友達エルがデルフイーヌの心の中を探っているかのように。

 

それともエルは本当に存在していてゴーストライターとして

 

デルフイーヌに一生付きまとう存在か。

 

だけど、デルフイーヌの夫がエルとは一度も話したことがないと

 

いうことはやはりエルは存在していなくて、デルフイーヌの

 

被害妄想ということの証明か。

 

 

こうなりたいああしたいという願望をエルという架空の女性を

 

心に存在させるということによって、自分が蘇ったと

 

わたしは思いますが、いかがなものでしょうか。

 

ポランスキー作品の特徴なのかフランス映画のカラーなのか

 

こういった題材はフランス映画には多いですね。

 

アラン・ドロン作品の≪真夜中のミラージュ≫の手法も

 

似ています。

 

サスペンスとしては断然ミザリーの恐怖でした。

 

話は変わりますが、

 

チャールス・ブロンスンの作品に≪雨の訪問者≫というのがあります。

 

これに出演していたフランスの当時はギャルですね、

 

マルレーヌ・ジョベールというかわいらしいというかキュートな

 

女優さんがいたんです。

 

今夜の作品のエル役・・エヴァ・グリーンのお母さんなのです。

 

マルレーヌはそばかすいっぱいのいかにもフランスギャルというモデルタイプで

 

センスのいいファッションで当時は一時的でしたが日本でも大人気の

 

女優さんでしたよ。

 

 

イザベル・アジャーニの≪アデルの恋の物語≫を見て女優になろうと

 

思ったらしいだけに、どこか似た面差しですね。

 

主役のデルフイーヌ役のエマニュエルには申し訳ないですが、

 

欧州女性に多い体型のでっぷり型で全体にどんくさくて

 

エルと並ぶと気の毒でございました。迫真の演技ではございましたが。

 

 

冒頭の老いを感じるほどの疲れきったデルフイーヌと

 

終末の化粧品のCMかと思うほどのメーキャップで生き生きとする

 

対照的な構成は面白いです。

 

 

フランソワ・トリュホー監督の≪終電車≫の匂いと

 

ヒッチコックを思わせるサスペンスシーンなど見応えある作品とは

 

なっていました。

 

今夜も長いことお付き合いくださりありがとうございました。

 

ランキングに参加しています。

  ポチっと押して頂けたらうれしいです。

   

     ↓

  にほんブログ村 映画ブログ 映画備忘録へ
  にほんブログ村