忠臣蔵 赤穂浪士 そして ≪四十七人の刺客≫ | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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 ≪四十七人の刺客≫  1994年度作

 


こんばんは。いつもご訪問ありがとうございます。

 

観ました!観ました!時代劇専門チャンネルの

 

     忠臣蔵祭り・・・

 

 

    ≪四十七人の刺客≫

 

監督   市川崑

 

原作   池宮彰一郎

 

キャスト

 

大石内蔵助     高倉健 

色部又四郎     中井貴一 

かる          宮沢りえ 

不破数右衛門    岩城滉一 

堀部安兵衛     宇崎竜童 

堀部弥兵衛     松村達雄 

奥田孫太夫     井川比佐志 

吉田忠佐衛門    山本學 

小野寺十内     神山繁 

きよ         黒木瞳 

揺泉院       古手川祐子 

吉良上野介     西村晃 

小林平八郎     石橋蓮司 

浅野内匠頭     橋爪淳 

山添新八     尾藤イサオ 

一文字屋      佐藤B作 

高田郡兵衛     今井雅之 

大石主税      五代目尾上菊之助 

 

瀬尾孫左衛門    石倉三郎 

原惣右衛門     中村敦夫 

天川屋儀兵衛    板東英二 

進藤源四郎     小林稔侍 

柳沢吉保      石坂浩二 

りく          浅丘ルリ子 

千坂兵部      森繁久彌 

 

東映の集団抗争時代劇『十三人の刺客』の脚本家・池宮彰一郎の原作なので

 

本当になるほど、この作品は赤穂の四十七士というより

 

刺客といったほうがぴったりの描き方です。

 

★年末、東映の≪赤穂浪士≫1956年度版と1961年版  監督は松田定次を

 

まず鑑賞。

 

これは原作が大沸次郎

 

史実に忠実な忠臣蔵と比べ、架空の登場人物がストーリーを

 

動かしていく感じ。

 

例えば蜘蛛の陣十郎、浪人堀田隼人、お仙(千坂兵部の回し者として)

 

彼らが道化役とも言える。

 

もう一つにはこれに加えて大石に通行手形を貸す立花左近という架空の

 

人物も登場。

 

 

★そして東宝の1962年版≪忠臣蔵・花の巻き雪の巻≫監督は稲垣浩

 

スター俳優の多い東宝ならではの役の配置が

 

適材適所に収められているし、現代的な感覚が画面から伝わってくるので、

 

若い方たちが見るには非常に適している。エンターテイメントに徹していて

 

豪華絢爛。加山雄三の浅野内匠頭は若大将そのままに生意気な若造という感じだが

 

不自然ではないんですよね。

 

今の松本白鴎がまだ市川染五郎で、矢頭右衛門七〔やとうえもしち〕役、

 

そして弟さんの中村吉右衛門さんが萱野三平役、大石内蔵助役の先代白鴎

 

と親子3人の共演です。

 

大石松の丞役は市川団子(二代目猿翁)まだまだ吉良役の市川中車をはじめ

 

歌舞伎役者のオンパレードです。

 

珍しくも講談の忠臣蔵に出てくる俵星玄蕃(たわらぼしげんば)がこれには

 

出ていて、三船敏郎さんが扮しているが、適材適所の役が無かったのかも。

 

東映、大映作品が興行成績抜群なのに当時何故か不入りだったとか・・・・

 

今だと逆転でしょう。

 

 

★次は大映の忠臣蔵

 

戦後映画化された『忠臣蔵』の中で最も浪花節的というか

 

講談色が強く、一番娯楽性が高いように思った。

 

人気の高い作品でリアリティよりも

 

虚構の伝説性を重んじる風潮がまだ残っていたころの

 

封切りで『忠臣蔵』の初心者が大枠を掴むのに適していると言われている。

 

そして、東宝とは又違った意味での大スター、大女優が競演という

 

これまた華やかな映像です。

 

東宝も大映も元禄色が濃い髪型、衣裳で細部に凝っています。

 

で、全く違った≪四十七人の刺客≫は市川崑監督の映像美

 

原作の池宮彰一郎の創作は痛快でかっこイイ。

 

 

四十六名の同志をリードして

 

作戦を成就した大石蔵之助の権謀術数ぶりに視点を当てたのには

 

斬新で引き込まれました。

 

あるていど「忠臣蔵」のベースが頭に入ってからあらためて観てみると

 

お若い方々には分かりやすく、また面白いのではないか。

 

題名の刺客・・にあるように義士とはどうみても言いがたく、

 

野に放たれた狂犬の群れというような

 

特殊部隊のようなイメージの四十七人。

 

作者があえて解釈を変えたことで現代には受ける内容とはなっている。

 

大石 × 柳沢吉保+色部又四郎

 

これまでの忠臣蔵や赤穂浪士と言った映画では上杉家の家老は

 

千坂兵部だったが実際には赤穂事件の時には千坂は死んでいたらしく

 

最近の忠臣蔵作品では上杉家家老は色部又四郎が登場することが多い。

 

とはいえこの作品では両者が出ている。

 

映画美術では本格、日本家屋の静謐な美しさが再現されてすばらしい。

 

これは村木与四郎美術だからこその完璧さでしょうね。

 

漆喰と無垢の木材で建築された建物、梁や柱の質感までもが見事に表現され

 

リアリティに富んでいますし、とてもセットとは思えない重量感に満ちています。

 

ーーーーーーー

 

播州赤穂藩筆頭家老・大石内蔵助と、

 

上杉藩江戸家老・色部又四郎の闘いは、

 

元禄14年3月14日 江戸城柳の間にて赤穂城主浅野内匠頭が

 

勅使饗応役高家・吉良上野介に対し刃傷に及んだ事件から

 

始まったのだが、この作品にはその刃傷の場面は映らない。

 

ここでお若い方々に言っておきましょうね、

 

なぜ、上杉藩江戸家老・色部・・・かと言いますと

 

上杉藩主は吉良上野介の息子なんですね。

 

で、息子は父吉良を守りたい、そこで江戸家老色部と国許の城代家老千坂兵部が動くわけです。

 

あらすじ・・

 

 

1702年10月・・・と西暦で表すのも面白い。

 

内蔵助はすでに藤沢を経て鎌倉に潜入していた。

 

峠の茶店で待っていた奥田孫太夫はやってきた大石はじめ五人の一行と

 

落ち合った。

 

 

お料理  あかし という店に案内した。この料理茶屋は浅野家ゆかりのものが

 

営んでいる。

 

そこににも・・・吉田中左衛門、不破数右衛門など4人・・・が待っていた。

 

彼らはすでに切れた地図を付けあわせて

 

眺めていた。吉良の新しい邸の地図のようだ。

 

上杉家江戸邸で色部又四郎は大石が姿を消したとの報せに苛立っていた。

 

このオープニングからして今時の時代劇っぽいですね。

 

 

とはいえ1994年作品だからもう25年も経つのですか。。。

 

宮沢りえちゃんもまだ20歳位で出演しているんですよね。

 

 

その地図を見て義士たちはこれはもう城塞、まさに

 

合戦用の要塞と言ったほうが・・・・と

 

 

唸った。


部屋と部屋との間は頑丈な板壁で囲んであります。

 

突進してくるのを避けるためだな。

 

庭には複雑な土塀が入り組んでおり、まるで迷路のようです。

 

これはなんだ??

 

水郷のようです。水郷??

 

資材はすべて米沢から運び、大工,左官,人足をすべて米沢から

 

連れてきているようです。

 

江戸の人間はひとりも使わず全て秘密保持に徹していると思われます。

 

内匠頭は即刻切腹、赤穂藩は取り潰し、吉良はお咎めなしという、

 

当時の喧嘩両成敗を無視した一方的な裁断。

 

話は一年前にさかのぼる。

 

赤穂藩は騒然となり、

 

城か開城かで揺れるが、  大石は既に吉良を討ち、吉良家、あわよくば

 

米澤藩をも潰し、上杉、柳沢の面目を叩き潰す志を抱き、

 

早速反撃を開始した。

 

この時の高倉健ーー大石は今までの年寄りっぽい昼行灯の真似をした

 

大石とは違い、すでに戦闘意識丸出しの剣客のような大石である。

 

裃も黒尽くめのもので、戦闘着を連想させる。

 

 

事件発生後直ぐに塩相場を操作し、不破を走らせて暴利を得て

 

膨大な討ち入り資金を作った大石は、2万3千両という

 

その資金を家臣ひとりに90両当て分け与えた。

 

そして江戸市中に吉良賄賂説を流布させ、

 

庶民の反吉良感情を煽った。

 

また赤穂浪士すわ討ち入りの噂を流して、吉良邸付近の諸大名を震え上がらせ、

 

討ち入りに困難な江戸城御府内にある吉良邸を

 

外に新しく構築し、移転させるという情報戦を見事に駆使した。

 

思わぬ大石の攻勢にたじろぎ歯軋りする色部も、吉良を隠居させる一方、

 

柳沢吉保を上手く使い、

 

仕官斡旋を武器に赤穂浪人の切り崩しを図るが、

 

討ち入りに備えて迷路や落とし穴などを完備した要塞と呼ぶべき吉良屋敷を

 

建てさせるなどの、反撃を開始したのだった。

 

京都・鞍馬で入念な準備に忙殺される大石はその傍ら、

 

一文字屋の娘・かるを知り恋が芽生える。

 

これが横糸となって大石の側面を見ることができる。

 

 

今まで赤穂藩で蓄えてきた16000両のお金を

 

大阪の天川屋と交渉して武器、利器を用意する。---

 

----ここでは天川屋となっているが、本来は大阪の回船問屋・・豪商天野屋利兵衛のことである。---

 

が、仮名手本忠臣蔵では堺の義商天川屋として登場しているようだ。

 

追い詰められた上杉家は最後の策として

 

吉良を米沢に隠居させようとする。

 

その惜別の会が開かれた12月14日、雪も降り止み誰もが寝静まった子の刻、

 

運命の扉は叩かれる。

 

大石以下47名が集まり、要塞化した吉良邸にいよいよ突入した。

 

 

迷路を越え、上杉勢百数十名との壮絶なる死闘の末、

 

遂に大石は吉良を捕らえる。追い詰められた吉良は大石に、

 

浅野の刃傷の本当の理由を知りたくはないか、と助命を請う。

 

だが大石は、知りとうない、と答え、吉良を討つ。

 

吉良の死に重なるように、帰ってくると約束したかるの腹から新しい生命が

 

生まれたのだった。

 

 

どこが従来の忠臣蔵と違うのか・・・

 

まず、主君への忠義といった要素は全部外され、

 

大石ら赤穂浪士対吉良家・上杉家との謀略戦として描いているところ。

 

人間大石が詳しく分かる。まして今までの忠臣蔵にあるような場面は

 

殆ど描かれていない。

 

だからして教科書のような忠臣蔵をまず見ておおよその骨組みを

 

掴んでからのほうがよいと思うのです。

 

きよという女性、   ・・・黒木瞳

 

妻りく        ・・・浅丘ルリ子

 

そして幼さの残るかる ・・・宮沢りえ

 

大石とこの三人の女性との関わりがさらっと描かれている。

 

 

特に一文字屋ーー筆を商っているーーーの かるとの恋が中心。

 

そして人間とはこうあらねばならないという大石の意思がより明確にわかる。

 

絶対に外されなかった江戸城松の廊下での刃傷事件の描写が

 

省略され、浅野が吉良を斬り付けた理由が

 

最後まで謎とされる。

 

これがそれまでの 忠臣蔵 とは違ったリアリティを作品に持たせているようだ。

 

千坂兵部は大石のことを狡猾と評する。

 

色部に向かってお主に足りないものだ、ここですでにお主は負けておる。

 

中井貴一さんのこの色部又四郎はちょっと若すぎるなあ。

 

背伸びしすぎた感がありました。

 

石坂浩二さんの柳沢役はもう板に付いたもの。何度も演じられていますものね。

 

色部と大石が 料亭舟で 一度会うシーンがある。

 

お互いに顔を見知っておきたかったと。

 

しかし、高倉大石と比べるべくもなく、中井さんの色部は

 

大石の敵としては物足りなかった。

 

そして健さんの時代劇は主役としては最初で最後の作品となった。

 

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