≪黄昏≫・・ローレンス・オリビエのオリビエたる魅力の作品・・W・ワイラー監督・1951年度作品 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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     ローレンス・オリビエのオリビエたる魅力の作品    

           

             ≪黄昏≫・・・・carrie

 

こんばんは。いつもご訪問いただきましてありがとうございます。

 

イギリスの名優、サー・ローレンス・オリビエが

 

シェークスピア作品の舞台俳優としては

 

数々の名舞台があるが、映画俳優としては・・となると

 

私が個人的に最も彼にふさわしい役どころと思った作品が

 

今夜取り上げますウイリアム・ワイラー監督の

 

     (黄昏)である。

 

(レベッカ)、(嵐が丘)、(無敵艦隊)、(美女ありき)

 

(探偵スルース)、(ブラジルから来た少年)などなど。

 

だが、今夜の作品でワイラーは、

 

オリビエの魅力を最大限に引き出し、オリビエは見事に応えている。

 

 

(黄昏)は原題・・(シスター キャリー)で

 

セオドア・ドライサーのデビュー作である。

 

発表当初は評判を呼ばなかったが、後に(アメリカの悲劇)で脚光を浴び

 

アメリカの大作家の仲間入りを果し、キャリーも見直された。

 

アメリカの悲劇は吐夢でも取り上げました(陽のあたる場所)の原作ですね。

 

さて、キャスト

 

     ジョージ・ハーストウッド            ローレンス・オリビエ
キャリー       ジェニフアー・ジョーンズ
ハーストウッド夫人       ミりアム・ホプキンス
ドルーエ       エデイ・アルバート
フイッツジェラルド社長      ベイジル・ルイスデイール

 

 

 

ストーリー

 


19世紀。

 

世紀末が舞台。

 

ミズリー洲、コロンビアのとある駅。

 

家族に見送ってもらっているキャリー。

 

汽車の中で早速調子の良いセールスマンのチャールズ・ドルーエに

 

声をかけられた。

 

純な田舎娘は最初は見知らぬ男の図々しさに口を開かなかったが、

 

いつの間にか身の上話をして聞かせていた。

 

シカゴに居る姉を頼って働きに出ること。その夫が鉄道に勤めていることなど・・

 

靴工場で働き始めたが賃金は安く、おまけに怪我をしてすぐに首にされた。

 

姉の家も楽な暮らしではなく、たちまち困ったキャリー・

 

途方にくれていると偶然チャーリーに会った。

 

チャーリーは10ドルをキャリーに渡して、”もっと素敵な洋服を買って

 

いい仕事を探すんだ”と言ってくれた。そして、シカゴ一流のレストランーー

 

フイッツジェラルドに来るように言われて、

 

やってくる。場違いな女性は出て行くように言われるが、

 

親切な支配人ジョージが、じろじろ見られる田舎娘をやさしく

 

エスコートしてくれた。

 

初めて会ったその時にジョージは、多分キャリーに一目ぼれしたが、

 

まだ気づかない。チャーリーは結婚を口実にキャリーをアパートへ連れて行く。

 

思いもしない成り行きにキャリーは不安に駆られたが、結局ふたりは

 

同棲を始めた。

 

チャーリーに結婚の意志など無論なかった。

 

街で偶然出会ったチャーリーの誘いでジョージは彼のアパートを訪問した。

 

そこでジョージはキャリーに恋したことを悟った。

チャーリーはジョージのくれた観劇券を自分は出張で行けないから

 

二人で行ってくれとジョージに告げた。

 

冷酷で強欲な妻とは争いが絶えず、

 

妻にない温かさをキャリーに感じたのだった。

 

キャリーはキャリーで上品なこの紳士に魅力を感じたのだった。

 

二人は留守がちなドルーエの目を盗んで会うことが増えた。

 

そして話はついに結婚にまで進んだ。

 

キャリーはジョージに妻が居ることは知らされていない。

 

ジョージはキャリーと新しく出直そうと、妻に離婚を申し出たが

 

妻は許すはずもない。

 

その上ジョージに妻子ガ居ることを知ったキャリーは怒って

 

ジョージに二度と会おうとしなかった。

 

レストランの経営者は夫人と話し合い、ジョージの給料は夫人に渡せば

 

女性も夫から離れていくだろうと画策したが、

 

彼は逆上のあまり店の主人の現金を握ったまま

 

キャリーを拉致して、ニューヨークに出奔したのだった。

 

キャリーももはや彼女も自分のジョージに対する情熱に抗う術は

 

なかったのである。

 

ニューヨークの二人はお金のある間は幸福だった。

 

しかしやがて主人の金の件がこじれ、

 

大げさに言えばアメリカ中のレストランに手を回して、ジョージを雇わないよう

 

手を回した夫人と社長であった。ジョージはあらゆる料理店から断られ、

 

妻と正式離婚をするためには故郷の全財産も捨ててしまい、

 

かくて彼は全くの無一文になり下がった。

 

キャリーはジョージの子を流産した後、

 

女優となって生活をたてる。

 

そしてシカゴの息子と会わせようと取り計らった・

 

しかし、出かけたジョージはみすぼらしい自分の姿を

 

息子の前にさらす気になれず、ニューヨークに帰ってくると、

 

キャリーは置き手紙をして、家を去っていた。

 

キャリーはジョージがしたことを全く知らなかったのだ。

 

 

キャリーと人生を共にするために何もかも犠牲にしたのに

 

キャリーに捨てられたジョージは、数年間、

 

洲の保護を受けるホームレスにまでなり下がる。

 

一方キャリーは女優を目指し、オーデイションを受け、

 

そして、華やかなスターとなって売り出していた。

 

そこにドルーエが現れ、ジョージがキャリーとの新生活のために

 

お金を持ち逃げしたこと、それを返さねば刑務所行きだったこと。

 

全財産を夫人に渡したことなどなどを話した。

 

君は罪な女さ。

 

わたしが彼を破滅させたのね。てっきりシカゴの夫人の元に帰ったものと

 

思い込んでいたキャリーであった。

 

ねぐらを出て歩くホームレスのジョージ。

 

そして彼女の楽屋口に、お腹をすかせたジョージが現れ、食事代を乞うた。

 

 

キャリーは、彼女のためにこれほどの打撃をこうむった男を見て、

 

二度と離れまいと誓ったが――しかしジョージはもう今の空腹が充たされれば

 

良いだけ。

 

彼女がちょっと離れた隙に、

 

テーブルから小銭を一枚取り上げると、何一言いい残すことなく

 

静かに楽屋を立ち去って行った。

 

それはジョージのプライドでもなく、何日も食べ物を口にしていない

 

彼にとって、とにかく食べるための一枚の硬貨のことしか頭になく

 

未来のあるキャリーに迷惑をかけたくないただそれだけだったと思うのですね。

 

去っていくジョージの後姿は切ない切ないラストでした。

 

オリビエとジェニフアー・ジョーンズは、ため息の出るような名演技で

 

大人の恋の切なさをこれほど見事に描いた作品も珍しい。

 

どんな役を演じても彼の身には品格、気品がついて回る。

 

名優とは、名演とはどういったものかを見せてくれた作品でしたね。

 

レストランを見回るジョージの姿は本当に一流レストランで一流の

 

お客様を持て成す品格に満ち、自信に満ち、それゆえの余裕とやさしさが

 

あり、とても魅力ある紳士である。

 

ジョージという役どころよりもオリビエそのものである。

 

だがだんだん落ちぶれていく様はやはり演技、それも名演なんです。

 

ラスト・・・・愛だの恋だのもう昔の話はいい。今夜だけ恵んでくれ

 

晩飯代だけでいい、今日を生き抜ければいいだけに成り下がった

 

もう欲もなにもない男の成れの果てを見事に演じているがやはり品格は

 

隠せない。

 

ジェニフアー・ジョーンズもミズーリーの田舎から出てきた小娘から

 

売れっ子の女優までを、オリビエの相手を、懸命に果しています。

 

ワイラー一家のエデイー・アルバートや、お馴染のミりアム・ホプキンスの

 

夫人も憎たらしく名演でございます。

 

まあ不倫映画ではあるけれど、そんなストーリーはさておいて

 

二人の名演を愉しみました。

 

ウイリアム・ワイラー監督は時として

 

理不尽な物語をラストでまた理不尽に冷酷に描く・

 

(噂の二人)もそうだし、(女相続人)もそうだった。

 

原作は別としてどうも救いのないラストで共通する作品がかなりあるような気がします。

 

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