(月光の夏)・飛び立つ前にどうしてもピアノが弾きたい!!・・1993年度作品 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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≪月光の夏≫~いろんな色の戦争作品

 

こんばんは。いつもご訪問いただきましてありがとうございます。

 

今年もまた終戦記念日がやってきますね。

 

で、反戦映画を何本か取り上げてみます。

 

ーーーーーーーー

 

佐賀県鳥栖市鳥栖小学校に埃まみれのグランドピアノがあった.

 

 小学校の音楽会が終わったその日、吉岡公子という老婦人が

 

そのピアノに近づいてきて愛しそうに触っていた。

 

 校長の話ではそのピアノは廃棄処分になるという。

 

 老婦人はそのピアノを譲って欲しいという。

 

“こんピアノは45年前、戦争中、特攻隊として

 

飛び立つ音大の学生と師範学校の学生が

 

明日飛び立つ前にどうしてもピアノを弾きたいと

 

 この小学校までメタバル基地から駆けてきて

 

≪月光の曲≫を弾き、師範学校生は生徒たちの歌う≪海ゆかば≫

 

の伴奏をした。そして基地に帰っていった.

 

  

 

その隊員たちは飛び立ったまま帰ってこんかったそうです.“

 

校長はその話を是非生徒に話して欲しいと言う。

 

 彼女は彼らがピアノを弾いたとき小学校の教師で

 

 ピアノを弾くのに立ち会った証言者でもあった。

 

 講演後、マスコミは新聞にテレビにと報道し大反響を呼んだ。

 

その頃の教師や生徒だったものたちが

 

 ピアノを残そうと動き出した・

 

地元マスコミのある女性記者が

 

 その学徒の一人が生存しているのではという話を聞き込んできた。

 

それから女性記者の元特攻隊員探しが始まる。

 

 元教師の家やテレビ局に嫌がらせの電話が相次いだ.

 

なぜいま蒸し返すのか、作り話ではないか?という.

 

 沖縄から飛び立つ特攻隊員の訓練地は

 

九州のあちこちに点在していた.

 

 調べていくうちに二人のどちらかが

 

生きているという感触があったが、

 

 何故、名乗りでないのか、またなぜ、隠す必要があるのか

 

 という疑問にぶち当たった.

 

 6000人近い若者が特攻隊員として散っていっている。

 

 女性記者と吉岡先生(老婦人)は

 

知覧へ行き特攻隊員の慰霊に詣でた.

 

それからその音大生だったらしき人を探し出したが

 

何故かその人は否定した。

 

 出撃した学徒も悲劇であるが飛び立って何かの事情で基地に戻らざるを得なかった

 

隊員の戦後ガ終わるまでの知られざる事実、

 

それは聞くに耐えないものであった。

 

 生きている身を世間にさらすことは死んでいった隊員に

 

申し訳ない。

 

そればかりでなく戦争が終わって後すぐに基地から

 

開放されたわけではないのだ.福岡にあったと言う

 

特攻隊生き残り組みの収容所のようなものがあったらしい.

 

そこは外部との接触は断たれその中の出来事は外にはぜんぜん

 

分からなかったそうだ.

 

 

それからいろいろな事実と向き合いながら

 

その隊員が生きていて、そのピアノの前に立つまでの話しである。、

 

この作品の原作者は毛利恒之さんという方で

 

 なにげに書店で見つけた(地獄の虹)という作品を読んで感動して次に

 

手に取ったのがこの(月光の夏)でした。

 

 興味深く読みました。

 

この原作が映画化されていたと聞いて

 

 すぐにビデオで観ました。

 

この作品は九州を中心に、市民の募金運動によって映画化されたそうです。

 

実話をドキュメンタリー風に仕上げた作品です。

 

 

 ”戦場のピアニスト”と言う作品が話題になりましたが、

 

テーマは違うかもしれませんけれど、音楽を通しての視点からの反戦作品です。

 

これはどこの国でも同じでしょうが、

 

若くして戦場に散った青年たちの中に、生きていれば偉大な音楽家になったやも

 

知れぬ・・・・と思うと残念極まりない・

 

 命と共にその才能や文化遺産までも毟り取った醜い戦争。

 

 悔やんでも悔やみきれない.

 

 

ベートーベンやモーツアルトで感動させることの出来た

 

芸術家の魂の叫びが聞こえるようだ。

 

こういう作品は役者の演技や監修などを云々語る前に

 

 すでに事実を知ることに目線が行ってしまう。

 

それで良いと思う。

 

なぜなら、なかなかこういう作品を原作で

 

読む機会は少ないと思うから

 

 せめて映画で観て欲しいと思う。

 

余談になるが、

 

 20代後半から30代前半の頃に

 

 その頃読売新聞社の大阪社会部だかにいらした

 

黒田清さんはじめとする記者さんたちが

 

調べ上げて本にした戦争シリーズを読破したが、あの頃の

 

夏の大阪は活気があっただろうと思う。この社会部チームの記者は

 

メディアから「新しい新聞記者集団」として「黒田軍団」と名付けられ

 

注目を集めていたからだ。

 

つねに弱者の視点から異色の記事をつむぎだし、大阪読売の一時代を築いた。

 

読売新聞大阪社会部として、

 

1984年には「警官汚職」で日本ノンフィクション賞、

 

19854年に「戦争」で菊池寛賞をそれぞれ獲得。

 

現在、テレビの報道番組で引っ張りだこの大谷昭宏氏は彼の一番弟子でした・

 

彼らの書いた戦争シリーズはお勧めです。

 

まだ二十年くらい前までは戦中戦後の

 

 そういったノンフイクションものが書店の店頭を占領していた

 

 こともあるが今はどうなんだろうか・

 

”思いきりピアノが弾きたい!

 

     それだけが望みだった!”


監督  神山征二郎    1993年公開


 原作  毛利恒之
 出演  若村真由美、田中実、永野典勝、渡辺美佐子。
     仲代達矢、田村高弘、山本圭他