(夜の蝶)・銀幕の男優⑧、船越英二さん(船越栄一郎さんの父君)作品 1957年度 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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(夜の蝶)

こんばんは。いつもご訪問いただきましてありがとうございます。

 

本日の作品、(夜の蝶)・・・

 

今のお若い方は夜の蝶という言葉をご存じないかも知れないが

 

一般に水商売の女性を指して用いる言葉である。

 

ということで

 

銀座の夜の女の戦のお話だから

 

山本富士子さん、京マチ子さんの紹介・・・となるところですが

 

本日の主役は船越英二さん。

 

昨年世間を賑わした船越栄一郎さんの父君です。

 

船越英二さんの代表作といえば文句なしに(野火)なんでしょうが

 

私は見ていないんです。食わず嫌いで見てない。

 

で、今夜はたくさんの出演作の中で最も船越さんらしい作品の(夜の蝶)を取り上げてみます。

 

大映製作 S.32

監督  吉村公三郎
出演  山本富士子、京 マチ子、芥川比呂志、船越英二

 

銀座の一等地に店を構えるマリ(京マチ子).

 

店の名は「フランソワ」、

 

政治や経済に携わる一流有名人との社交も上手く敏腕経営者としても知られている。

 

舞妓から芸者になった後、今京都に一軒のスナックを持っているおきく(山本富士子)は

 

東京銀座に進出しようとしている.おきくは、マリの妹分のけいの恋人で

 

女給周旋業の秀二(船越英二)に現金で五万円を積み、

 

女給の周旋を依頼、マリの陣営の一角を切り崩し始める。

 

秀二は家出少女のホステスの斡旋や、引き抜きを斡旋する男である。

 

地場を荒らされると踏んだマリは、気が気ではなくいろいろと画策する.

 

かつて一人の男を巡って争った過去因縁のある、おきくとマリ。

 

今度もパトロンをめぐって壮絶な争いを繰り広げる.

 

キクには、本当に愛して貢いでいる医学生(芥川比呂志)がいるが、

 

お金のための男と愛に生きる男はどうやら別のようである。

 

しかしその医学生には他に愛する女性がいておきくの彼との結婚の夢は

 

破れる。

 

 

マリはマリでおきくのパトロンの関西のデパートの社長を誘惑し

 

別荘へ向かうべく夜の京浜国道を突っ走っていた。

 

それを追ったおきくの車がマリの乗った車と接触

 

二人はあっけなく死んでしまうのである。

 

華やかな夜の銀座を彩る女対女の激しい野望や、

 

嫉妬はエスカレートしていき、衝撃のラストシーンを迎えたのだった。

 

吉村監督は、女性、夫人というより(女)を描いて異彩を放つ人で、

 

この映画でも女のエゴや汚さ、そして、美しさも目いっぱい見せてくれる.

 

そして、あの時代の銀座が.どれほどはなやかであったか

 

昭和30年代の銀座が分かる.

 

さて、船越さんであるが秀二という役・・・

 

ぴったりの役どころでうまく女の懐に入り込んで

 

しかもいろんな女性の間をちょろちょろと泳ぎ回る調子のよい男・・

 

巧いんですよねこういう役をなさると。

 

そういった役どころでいろんな作品に共通しているのが

 

女性に言わせたいだけ言わせてヌーボーとした表情で聞き流し

 

結局は自分のやりたいようにやっている・・という煮ても焼いても食えない男。

 

1947年のデビューで最初は女優陣の引き立て役が多かったようですが

 

作品(日本橋)、(四十八歳の抵抗)(夜の蝶)で演技開眼、個性派俳優として

 

活躍し始める。そして(野火)で数々の賞を総なめにした。(私は二歳)(破戒)も

 

あったし、時代劇では長谷川一夫主演の銭形平次捕物控の平次の子分

 

がらっ八(八五郎)もひょうきんでよかった。

 

大映の俳優としては大映倒産までずっと残った俳優の一人だった。

 

出演作品も二百を超えるのではないだろうか・

 

大映には長谷川一夫、市川雷蔵、勝新太郎、菅原謙次、根上淳、川崎敬三、川口浩

 

田宮二郎、品川隆二などなどいたが、主役のみならず名脇役として一番

 

息が長かったように思う。

 

個人的には1950年代の作品群が好きなものが多いです。

 

宮川一夫(羅生門の名カメラマン)のすばらしいカット

 

回想シーンはモノクロと2パーツで映す。

 

懐かしい女優さん・・

 

近藤美恵子さん、川上康子さん、市田ひろみさんなどたくさんの女優さんが

 

競っています。

 

原作は花柳界を書いて秀逸の作家が、現代ものに挑戦した

 

ーー川口松太郎ーーです.

 

これだけ材料が揃えば面白くない筈はない.

 

山本富士子の商いをかけた激しい気性のおきくは

 

息を呑む美しさ、

 

京 マチ子のボリューム、むんむんするお色気.

 

昔は、バーに行って、こんな塾女とグラスを酌み交わしていた?。

 

ギャルでは、あまり色気がないけどこんな熟女の相手が出来る殿方もいなくなって

 

しまったかな。

 

銀座で飲むと高ーいんだろうけど、その価値はあるでしょう.

 

50年以上も前ですか、銀座は、息をしていて、

 

世の奥様方を泣かせたこともあるだろうが、

 

大人の女性が、銀座にも巷にもいっぱいいた時代.

 

現代の女性もレデイ!!になって欲しいものだ.