(仁義)・仏映画特集第五夜 フィルムノワールの第一人者メルビル監督生誕100年 アラン.ドロン | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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戦前のフランス映画が大好きです。
基本、鑑賞後の感想ですのでネタバレが殆どです。
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映画特集第五夜
こんばんは。
いつもご訪問ありがとうございます。

今年はフランス フイルム・ノワールの第一人者であり、
ヌーベルバーグの(精神的な父)と言われているジャン・ピエール・メルビルの
生誕100年にあたります。
東京ではいろんな催しが開催されているようですね。
で、特集第五夜はメルビル作品を・・・・

ヌーベルバーグ作品、ジャン・コクトー原作でメルビルが制作、監督した

 

 

 

(恐るべき子供たち)を取り上げようと
 
思っていますが、その前に
 
フイルム・ノワールのドロン三部作のひとつ
 
 (仁義)を取り上げてみますね。メルビル監督はドロンの男の美学を描いて
 
他の追随を許さない。1970年度作品。

公開当時、記録的なヒットで、観客動員数450万人を超えたとか。
 
メルビルの人気と実力、影響力は知る人ぞ知るというものでしょう。

メルヴィルの影響は、
 
北野武、ジム・ジャームッシュ、ジョン・ウーにまで及んでいる感じ・

(いぬ)や(サムライ)や(仁義)は、比較的若い世代にも支持されているみたい
 
ですし、
 
男主人公を魅力的に撮る映画が少ない昨今、メルヴィル作品はもっと見直されてよ
 
いと思うんですが。

≪仁義≫

 
蒼く紗のかかったきれいな物悲しい画面。
 
苦い結末ではありますが、
 
共演にイヴ.モンタンを迎えての作品。

ドロンのよいところは仮に相手役に選んだ俳優に食われてしまおうと、
 
あえて、共演する、そのひたむきさである。

自分のアピールということより、
 
作品をいかに楽しいものにするかということが優先しており、
 
それは彼の先輩俳優や、
 
同時期活躍した俳優へのなんのこだわりもない
 
尊敬の念を正直に表している証拠。

先輩俳優に向ける尊敬と礼儀正しさ、
 
後輩俳優達へ向ける温かい眼差し、
 
彼のまさに生き方そのものであります。


それは、私など知る由もない彼の交友関係といったものが、
 
いかに私生活において大事にされたか
 
という生き方でもあります。

”仁義”というとおっとと身を引くかもしれませんが、
 
義理堅さが彼の生きかたの信条の一つでもある。

その仁義という題名のごとく本作品では、
 
行きずりに知り会った男二人と宝石強盗を
 
やるというわけですが、
 
行きずりに会った関係でも死をかけて
 
義理を尽くす男たちのドラマです。

アクション、ギャング映画と片付けずに、こういった作品、
 
またドロンの作品そのものから、
 
人間が生きる上で何が大事かと言うことを
 
教えてくれたということ、
 
 改めて受けた感動です。

≪仁義≫..
 
護送途中の列車から脱走する男...ジャン.マリア.ボロンテ。
 
その知り合いでアル中と闘っている元刑事...イヴ.モンタン。
 
ムショから出てきて、恋人も何もかも子分に
 
奪われてしまっていた男...アラン.ドロン。

そして、油断ならない刑事....フールビル。
 
と、この4人の絡みでストーリーは展開します。





・・・お話に入ります・・・

マッテイー刑事(フールビル)の護送する容疑者
ボーブル(ボロンテ)がパリ行きの護送列車から
脱走するという事件が起こった。

ちょうどその朝、
マルセーユ近くの刑務所を出所した、コレー(ドロン)は、
車をパリに走らせていたが、彼の車のトランクにボーブルが
忍び込んでいたのは、全くの偶然であった。

入所中にコレーのシマ(縄張り)を奪った子分のリコを訪ね、
金を巻き上げてのパリ行きで、リコの仲間に追われていた。

彼らに追われ、森へ逃げ込み絶対絶命の危機に陥ったところを
トランクから出てきたボーブルが救った。

ボーブルはトランクに隠れていた理由も聞かずに、パリまで
運んでくれようとしたコレーに礼をしたのだった。

コレーはムショを出る前に看守の一人からある話を
持ちかけられていた。

”義理の兄貴が働いている店で今度警報装置を新しくした。”

そこの宝石を奪うと言う計画だ。

”失敗すればムショに逆戻り、今度は無期懲役だ”

コレーは話に乗ることにしたが...

コレーをボーゲルが助けたことから、
二人の間には友情が通い始めた。

コレーは宝石店強盗の話をボーゲルに打ち明けるが
二人では無理だと、
射撃の名人ジャンセン(モンタン)を加えることにする。

ジャンセンはボーゲルを護送していたマッテイー刑事とは
元同僚であった。
しかし、ジャンセンは今は
森の中に住み、アル中と闘い、
襲ってくる幻想とも闘っていた。

しかし、銃の腕はまだまだのようである。

三人は下見に出かけ、ジャンセンが、店の配置、警報装置、
お宝の値踏みをすることに。

アル中と闘っている時のジャンセンは見る影もないほど
やつれているが
下見に出かける井手たちは上品で、スマートで
店のものは誰も訝らなかった。

強盗は行き詰まる中で、チームワークよろしく進み、
見事成功した。。

ブツを捌くのに出かけた人物は
ものが上等すぎてヤバイという。
4,5日預からせてくれと言うので、一旦持ち帰るコレー。

あるバイヤーが近づいてきた。
コレーの旧友サンテイーを脅し、
彼ら三人をはめようとマッテイー刑事は動く。

バイヤーから夜、邸に来るように言われて、コレーは
一人出向く。
ジャンセンは仕事は手伝ったし、
最後まで見届けるが金は要らないという。

バイヤーの家に出向き、トランクを開けるコレー。
品物を値踏みするバイヤー・・・・

その時、ボーゲルが乗り込み、”コレー逃げろ”と...

バイヤーは”なんでわざわざつかまりに来たのだ!?”と。。。
ボーゲルに叫ぶ。

バイヤーに化けたマッテイー刑事だったのだ。

罠だったのだ。
ボーゲルは”友情さ”....

車で待つ、ジャンセンは逃げようとして、
デカの銃弾に倒れた。
マッテイ刑事は”あなたは...?”

ボーゲルも撃ち殺された。。。。
”逃げるんだ!”というボーゲルの言葉に
走るコレーであったが
彼もまたマッテイーの銃弾に倒れたのだった。

ストーリーとしては
シンプルなものです。

ただ、裏切りも多いギャングの世界でも、
義理と友情に厚い人物も多いわけで、
そんな男たちの出会いと悲しい別れを
ボレンテ、モンタン、ドロンの三人が熱く演じます。

青みのかかった、色彩を抑えたカラーは物悲しさを一層増す。

ボーゲルが逃げ回ってたどり着いた
ドロン.コレーの車のトランクに
乗り込むのも見過ごす。

そういった同じ立場の身も知らない人間にもチャンスを与え、
温かい目で包む。

一度、仁義を感じた人間には命がけで付き合う。

人物ドロンは冷静沈着に、寡黙で、哀愁を漂わせます。

イヴ.モンタンも相変わらずに格好よいですね。

ドロンは彼独自の道を築いたが、ギャバンの後は、
むしろモンタンあたりがついでも良かったのでしょうが、
映画の斜陽とともにフイルム.ノワールもかげりを見せ初めて
駄目になったのだろうが。。。惜しい。

かれにギャバン復刻版を果たしてもらいたかった。。

監督の話によるとこの作品は当初、ボロンテの役をジャン.P.ベルモンド、
ジャンセン役にポール.ムーリス、刑事役にリノ.バンチェラを
考えていたそうだが、観てみたかった。


いろんな役に挑むのはむしろ、脇に回りだしてから。

一つの信念に基づいてまっしぐら。
他の俳優のように演技がどうとか求められる作品には殆ど
出演していないが、確実に映画史に燦然と輝き、残るスターです。

一つの一貫したテーマにこだわったそのことが
ドロンのドロンたる存在であり、すばらしさなのである。

ひとつのパターンでこれだけの作品を続けると言うことは
ハリウッドでもフランスでも出来るスターは居なかった。

そういう醍醐味を味わうためにも彼のたくさんの作品に
触れて欲しいと願ってやみません。
 
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