《青春残酷物語》・銀幕の女優さん⑩ 桑野みゆきさん・大島渚監督 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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懐かしい名画、最近の気になる映画のことを書いています。

好きなのは戦前のフランス映画です。

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《青春残酷物語》

 

 

こんばんは。

日本の女優さん  

今夜は

桑野みゆきさんです。

 

ご存知でしょうか?

愛くるしい顔立ち

可愛い声

素晴らしいプロポーション

品の良さ。

若者を虜にした

日本人離れしたかっこいい

女優さんでした。

 

小津監督の

《彼岸花》で有馬稲子さんの妹役はデビュー三作目。

清純なお嬢さん役で

ご記憶にあると思います。

愛らしかったですね。

《戸田家の兄妹》に

出演してた桑野通子は

お母さん。

人気投票で、母娘揃って

上位に入る珍しい存在でした。

さて、

 

戦後10年経ったころ、アメリカも日本も同じように、

チンピラとか、非行少年だとかが社会現象となります。

  

戦後10年といえば、

終戦時小学生だった子が

戦後の民主主義教育を受けて成人式を迎える時期にきている。

ちょうど映画界では

”太陽の季節”に代表されるように

愚連隊とか、チンピラだとか、非行少年などを

取り上げた作品がどっと出てきた。

 

教育の改革によって出現した新しい若者像を描く作品群。

 

が 戦勝国アメリカでは何故?

教育が変わったわけでもないのに。

 

戦勝の栄光と豊かさの中にもこういう荒廃した若者の非行が全盛期を迎えた事実があり、考えてみるとそういう裏側をあまり

考えたことがなかった。

 

そう 日本とほぼ同じ時期、その代表として”理由なき反抗”

がある。

あのジミーの出演作。

こういう作品がアメリカでもヒットし

社会現象となるのは、やはり勝とうが負けようが

戦後の傷みによる現象は、どこも同じだったということだろう。

 

日本の若者は、ジミーのリーゼントを真似、

そしてプレスリーのロックに熱狂し始める。

 

太陽族は少し異質であった。

あれはお金持ちのぼんぼんのお遊びである。が、優等生でもなく、

不良っぽいのである。

 

しかし、まだ、ここまでの日本の若者の苛立ちは見かけだけの

反抗のように思われる。

 

これが1960年が近つ¨くに連れ、安保闘争と重なり、

社会へ身体ごとぶつかって反抗していく若者たちが出てきた。

 

そして、フランスではJ.リュック.ゴダールや

F.トリュホーに代表される

ヌーベルバーグ作品の台頭である。

 

松竹大船撮影所でも

今までの、上品な文芸調の映画を、打ち消すように

ヌーベルバーグ作品が作られはじめる。

 

監督自身が社会にぶつかっていくように作られた

≪青春残酷物語≫ーーー大島 渚監督第2作目の作品で、

 


ヌーベルバーグの旗手となった記念すべき作品である。

 

この映画によってヒロインー”マコ”に扮した桑野みゆきは鮮烈な

印象を残した。

体制や秩序に反発し、無軌道に何かに訴えているような激しい

行動、非行。はかなさ、希望もない、夢もない。

 

この作品は当時センセーションを巻き起こした。

ただのチンピラ映画ではない。

 

大島監督の新鮮な画像!

夏の暑さとも重なる終始ぎらぎらとした若者のむせ返るような

やり場のない精神状態を清とマコを通して描く。

 

 

 

60年安保の青春を理屈でなく、

心のままに描いた。

そのスピリットが伝わって来るのです。

強烈な印象でした。

 

大人に成切ってない男女が愛しあい、妊娠,堕胎、

そして恋人に美人局(つつもたせ)をやらせる。

 

 

 

最後は行き詰まって、清はチンピラに殴り殺され、

マコはそれを車の中から見つけ、男の手を振り切って扉を開けて

飛び出し息絶える。

救いのないストーリーである。

このどうしようもない現実。これが今の日本だと投げかけた。

 

陽気な青春映画も良い。

だがこういった青春もキチンと見据えろと監督は言っているのか?

そしてその問いかけに答える青春映画は

残念ながらその後出てきていない。

 

どうしようもなくもくもくと青いリンゴをかじる清の哀れさ。

このシーンはその後の作品によく使われるようになったが、

大島さんの真似である。

そういうシーンはいっぱいいっぱいある!

 

そして今、若者がヌーベルバーグの映画を

(日本の物にしろ、フランスものにしろ)

観ても 

恐らく新鮮味がないかもしれない。

 

なぜか?.....

 

答えははっきりしている!

 

煎じなおしの作品や いろんなシーンを真似た映画を

原点があったことを知らずに

本家を観る前に今の作品を観てしまっているからだ。

これはマイナーですよね。

 

これは非常に意識として大事なことで、

そういうものを観る前に踏まえて観ることである。

 

そういう意識なしに旧い映画を観てもそこから何も

生まれては来ないだろう。

 

それだけヌーベルバーグは世界的に影響を与え、

映画の流れも変え、特に映画界不振の時代へと入っていく

きっかけをも作ってしまった。

 

禁断の木の実を食べたものはもう引き返せないから。!

 

ゴダールの”スリ”、”勝手にしやがれ”、

トリュホーの”大人はわかってくれない”

などと日本のヌーベルバーグを見比べてみると良い。

 

そして、いままた、原点に返って日本の良さや

和が見直され和ブームにつながってきています。

 

製作  松竹 1960年度

監督  大島 渚

撮影  川又 昴

出演  川津祐介

              桑野みゆき

              久我美子

              佐藤 慶

 

どんな映画でも楽しんで繰り返しみること、すると

 

何かが見えてくる。

新しい発見。

見落としを見つける。

欠点はマイナスしてみる。

これがわたしの映画の観方です!

 

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