《喝采》・グレース.ケリーのオスカー作品・1954年度作品 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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こんばんは。



九州地方は春の嵐はようやくおさまったようですが、

肌寒い夜です。



皆様の方は如何ですか?



さて、本日は



《喝采》と言う作品を。



グレース.ケリーのことは

以前取り上げた

《白鳥》で少し触れましたが、

今日は彼女らしくない地味な役どころの《喝采》に絡ませて、

触れてみたいと思います。





≪気品と優雅さ..の

グレース.ケリー≫





同じ美しさでもこの人は違う。完璧な美しさです。



アイルランド系の父、フイラデルフイアの

市長選にも推薦されるほどの、また

伯父が芸術家という名門の家に生まれ

なに不自由無く育った。



そのまま結婚ともなれば

どこかの御曹司と..と

別の優雅な未来もあったであろう。

が、 

18歳で自ら演劇を志し、演劇学校へ進み、

ブロードウエイの舞台に立ってから、映画デビュー。



1951年23歳で、

(14時間)という作品で

映画デビュー。



それから5年間に11本の作品に出演、モナコ王妃となるべく

さっさと引退してしまった。

運命的に映画へと導かれ運命的に1国の王妃へと導かれた女性。



天性の気品と、優雅さと美しさはどの映画にも格調高くみなぎっていて、

彼女の本質的なものの中に全く無い

下司だとか、蓮っ葉だとか、淫乱であるとかいう役は

1本も無い。



そしてあの美しさには冷たさがあるとか言う人達もいるが、

生まれつきの気品とか、優雅さはそんなものを超えていて

彼女の意識の中にはまったく無く、血筋からくる

本物とはそういったものなのではないだろうか。



その本物の血筋にみる

あの優雅さ、気品だとか、

運命の結婚とかは なにかわが国の妃殿下と

相通じるものがあるような思いである。



彼女の出世作は

(真昼の決闘)である。



G.クーパー共演

老年の域に入ったクーパーの妻の役

その年の差もあってなお初々しさを増した。



代表作に

(ダイヤルMを廻せ)、(裏窓)、(泥棒成金)

のヒッチコック作品、

越し入れが決まってから、そのはなむけに作られた

(白鳥)は

A.ギネスとの共演。



(上流社会)は

B.クロスビーと

F.シナトラの共演。



しかし、なぜかデビュー当時から人妻役が多く、11本のうち

7本までが人妻役である。



その人妻役でアカデミー主演女優賞を獲得した作品が



ーー喝 采ーーー

1954年度作品



好きな作品である。


監督

ジョージ.シートン

共演 

ビング.クロスビー



ウイリアム.ホールデン



衣装

イデス.ヘッド





衣装はこの当時、これ!と言う作品は殆どイデス.ヘッドが担当してましたねえ。

オートクチュールのデザイナー達が現れるまでは。



では、ストーリーを。



元舞台俳優(かなりの大物であったという設定)の

クロスビーは子供を事故でなくして以来、

妻(ケリー)がアルコールに溺れるようになり、

彼を支配するようになる。



何でも彼女に相談しないと決められない状態である。



働きもなく安アパートに住んでいる。



そんな折、

舞台監督のウイリアムからある作品の主演の話がくる。

ホールデンはどうしても

彼を起用したいが、いつも妻がそばにいて

かまい、指示するので

やりにくく、クロスビーに何故、自分の意思を通さないのか問いただす。



クロスビーは神経症の妻を放っておけないし、気になると言って、いつも妻の顔を

覗っている。



妻の前にいるクロスビーは舞台裏の不満や、要望を

ホールデンに伝えるよう なんでも妻に

押し付けている。



当然、クロスビーから聞くことと、妻の言う話が食い違い、ますます

ホールデンと妻の間は議論が絶えない。



ますますアルコールに依存するクロスビー。あれっ?



とうとう酔って事件を起こす夫。

思えば3人揃って話したことがない。



突き詰めれば話しは

全部逆で、

アルコールに頼るのは駄目な夫で、

妻はなんとか夫を立ち直らせようとしているのである。



 気は強いグレースですが、

これは弱い夫を支えるにはどうしようもないことで

本来貞淑で凛とした妻であることに気付く監督。



いつしか彼女を愛していることに気付く。



久しぶりに大きな頼れる胸に頬をうずめる妻。









温かい温もり。妻グレースの心は揺れ動く。



夫が独り立ちできたらそのときふたりのことを考えよう。



監督の舞台への情熱、自分への期待をようやくチャッチ出来た

夫クロスビーは舞台を成功させる。



蘇った夫。



ことの成り行きを察知した夫は妻に言う。

”今までの10年の夫婦生活は君にとって地獄であっただろう。

僕には君を引き止める資格はない”と。



公演の祝賀パーテイ。

ここまで、ノーメークできたケリーは輝くような美しさに変身!

メーキャップをして、黒のイヴニングドレス。

プラチナブロンドは光り輝き..











前半の

何気ないセーターとブラウスとスカート..

質素ななりでも、気品と優雅さは隠せない。



むしろ、際立つ。





がやはり、ケリーにはイヴニングが殊のほか似合う。!



そして、妻は

会場を出ていった夫の後を夢中で追っていく.....



グレース.ケリーのための映画ですね。

人に良く思われようと人に嘘ばかりついて

自分の立場を良くしようとする夫、これも病気のことだと

すべて分かった上で献身的に尽くす妻なのだ。



実家に帰れば裕福な家がある。

が、昔の夫に戻ってほしいとそれだけが望みで

堪えて、ここまでやってきた。

疲れ果てた妻、だが、



最後に自分の求めてきたことを失うことなく

監督とやりなおせば幸せになれることもわかっていながら、

夫の元へ幸せそうに走っていく妻がそこにあった。



なかなか うまい筋の運びでしたし、最初は騙されました。

途中でおかしいなと気付き始めたとき、もう妻に

感情移入して、見ていましたね。



これから、本当の夫婦になれるのでしょう。



ケリーの違った魅力。

彼女の美しさが冷たい美しさと思っていたならば、

この作品でそれは取り払われるでしょう。



運命に導かれて映画界へと入り、さっさとアカデミー賞を

手中にし、さっさとシンデレラの結婚へと...



あの自動車事故さえなければ...と思わずにはいられません。