『妻として女として』女性映画の決定版・ 1961年度・成瀬三喜男監督作品 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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成瀬監督  第二弾

   ≪妻として女として≫

こういう映画を作らせては
成瀬監督の独壇場ですね!
女性映画の決定版とも呼ばれる作品です。
脚本に井手俊郎さんと共に
高峰さんの夫君、松山善三さんが担当してます。

大学教授..森  雅之を
めぐって
   本妻...淡島チ影と  
   ニ号...高峰秀子の  
心理的葛藤を描く。
男のズルさと
オンナの愚かさ、醜さ描いて
秀逸です。

高峰は森のお妾さんで森所有の銀座のバーを任されている。

店を任されてはいるが
中の設備やその他のものは
殆ど自分で調達している。

森さんと高峰さんは
戦前からの関係で
女の子を産んだが、
育てられないだろうという
森の勝手な判断で引き裂かれ
森の家で育てられている。

一旦は手を切ったものの
戦時中にたまたま再会し、
高峰が祖母を抱えて生活に
困っているのを見て
捨てて置けなかったとか...

で、また二人はよりを戻す。

もちろん本妻は知っているし、高峰が生んだ男の子まで
引き取ってしまう.

女の子は大学生になり、
男の子も中学生。
二人は高峰を銀座のおばさんとして知っている。

本妻は子供達には愛情を注いで育てているが
いつまでも切れないふたりに
腹わたは煮え繰り返っている。

本妻は今の銀座のバーを
売却して新しいバーを
経営し様としている。

無論その店の雇われマダムには高峰を頭に入れていない。

店の女の子に白羽の矢を立てている。

森は優柔不断な男で高峰に誠実な愛情を示す様子も無いが、
別れる気も無い。

本妻といる時には本妻を幸せだと思わせ、
お妾さんといる時は女が幸せだと思うような扱いが
できない男で、
本来ニ号を持つような器ではない。

学会と称して出張する時に彼女と合流しても
いつも人目を気にしてびくびくし、女の不満は募るばかりで
ついに女は別れる決心をするが
このまま別れても生活のメドが立たない。

蓄えは全部お店の設備やなにかに注ぎこみ、
女にしてみればアレだけの店にしたのは自分なのだから
あの店一軒は手切れ金に貰い受けたいと思っているが...

女は友達四人とそのうちの一人のパトロンと計6人で
もう一人の女友達が経営する割烹旅館へ遊びに行く。

そこで皆に相談をするがそれはもう喧喧諤諤.

みんな賢くて店を持っている女は
全員自分の名義にしてあるそうな.

一人はお妾から本妻に納まっている。
”あんた、バカねえ! いまさらどうにもなん無いわよ!”
店はダメだから....お金ね。300万は貰わなきゃ”

”青春をその男一人にささげたのだから。”と。

高峰さんは
本妻を呼び出すー
といっても
挑戦的な態度の出きる女ではない.

本妻の方が一枚も2枚も役者が上である。
”お店は あげるつもりは無い.
慰謝料?とんでもない。こっちが貰いたいくらいだわ。”

何にも言わずに別れるのなら
50万出すわ.

一方的にしてやられた女は飲んで憂さを晴らすしかない。
法的な手段で考えても30万が相場で勝ち目は無いとか。

ならば子供達を返せと女は
もうそれしかないと、
男の子に逢いに行き、真相を打ち明ける。

ことは泥沼になるが、
賢い姉は弟におとなの醜い争いに巻き込まれないように
弟を連れて遊びに出かける.
今まで優しい両親と幸せな家庭と思ってたのに18年も私達を騙してきた...

本妻と2号は相手に言いたいことをぶつけ合い罵倒する
瞬間を迎える。

男はただおろおろするばかりである。

本妻にしてみれば女の産んだ子でも我が子のように思えて
生まれる前から自分の子のような気がしてそして二十年も辛苦を
なめてきた...苦しみがあった..
この25年間はなんだったのか...?

お妾は家庭も、夫も、子供もお店も無い.
30数年なんの為に生きてきたのか。。。

男...責任を追及しても埒があかん.
時間を呉れ.
”時間は10年間あったはずだわ。一度くらい自分のしたことに
責任を取りなさいよ!”

結局、夫人は夫と別れようと思うが今まで辛抱したのなら
これからも出きる筈だと.

夫人は良い妻ではなかった。
なれないだろう。
家を守るためにだけ
生きてきたようなものだ。
しかし良い母親ではあった筈だ。

高峰さんの方はバカだ。
人生設計をした上でのお妾なり、
不倫の恋も良いかもしれないが、
ただ、男にとって都合の良い女であっただけの人生ではないか!
結局、50万の資金をもらって
屋台を引いておでん屋をするのだそうだ.

それも良し!
二人の女を不幸にするような
あんな男とは早く切れて
やりなおすことだわ!と
女に向かって私は言っていました。

本妻の立場を甘く見ては行かんよーー.

男には恋愛なり
不倫をするときゃ
腹をくくって、取り組めよー.
と言いたい。

男が、
ずるいというのではなく、
ずるい男が
責任の取れない恋愛を
するから
そうなるのだ.


本妻も、ニ号も男もみんな責任は五分五分でしょう。

それぞれの勝手な言い分.。
認められないけれど、
いいそうなことだわ.。と思うし、よーく分かりますわ.


こういう心理葛藤劇も
たまにはおもしろーい!

今でこそ珍しくないシチュエーションですが、当時は
目新しいモノではなかったかと
思います。
ずるーい男と
自立してるように見えて実は
自立してない女、
夫に対して怠慢なオンナ

成瀬映画は360度から
人間観察してますなー。

お着物...。
高峰秀子さんのお召しになっているお着物、ステキでーす。

1961年度作品
出演者
高峰秀子
淡島千景
森 雅之
仲代達矢
淡路恵子
飯田蝶子
星 由里子
丹阿弥谷津子
藤間 紫
水野久美

豪華メンバーだこと❗️