母は楽しく家族思いでとても優しい人でした。
私をとても愛し、私も母がとても大好きでした。
そんな母は10年くらい前から認知症を患っており、足腰も弱くしてました。
これは、私の朗読&絵本活動を始めた時期と同じくらいです。
なので、私の活動を観に来てくれたことはあまりなく、地元でこじんまりと開催したコンサートのMC&詩の朗読と、お煎餅屋さんの紙芝居だけでした。
元気な時はいつも応援してくれた母でしたが、身体が弱ってしまうとそれも困難になってしまいました。
でも、この2つ、観に来てくれてよかった。。
足腰悪い母を夫が連れてきてくれました。
夫も優しいです^ ^
観にきてくれた母は、
「よかったわよ」と、いつも優しい言葉をかけてくれます。
そんな母との思い出があります。
私が高齢者施設で紙芝居を読むときに、何を読んだらいいか迷う時、母に聞いてもらいます。
そうすると、「こっちがいいわよ」と選んでくれるのです。
そして、時には「もっと、怖いシーンは怖く読んだ方がいいわよ」と辛口コメントも。
今思えば、母も楽しそうでしたし、貴重な時間でした。
月日が経つと、耳もだんだん遠くなり、私が紙芝居や絵本を読んでも理解できなくなりました。
ある日、病院に連れて行った時、持参した「はらぺこあおむし」の絵本を母に渡したら、一人でページをめくり、
「きれいね」
「穴があいてる、青虫が食べちゃったのね」
「蝶々になって、きれいね」
「きれい」と、お話を理解し、何度も何度も繰り返し、ずーと離さずにいました。
「そうか…
読み聞かせは、母には聞こえないし、理解できないけど、本を手渡せば、自分で時間をかけて見てくれるんだ」と感じたものでした。
その日以来、「はらぺこあおむし」の絵本は、私にとって大切な1冊です。
もっともっと、私の紙芝居を聞いて欲しかった。
読んであげたかった。
いろいろな感情が湧き出てきて今は辛いですね。。
絵本は、伝え方はいろいろですが、どんな方法でも、きっとその人の心に伝わっていき、心を豊かにするものだと私は思います。
母に出来なかったことを、これからは絵本を高齢者の方にも伝えていきたい、それが私からの母への思いでもあります。