谷崎潤一郎と芥川龍之介の文学論争は有名ですが、
この論争のそもそもの発端は、昭和2年に催された「新潮」座談会における芥川の発言らしいです。
この座談会で芥川は谷崎の作品を批評して「話の筋というものが芸術的なものかどうか非常に難題だ」「筋の面白さが作品そのものの芸術的価値を強めるということはない」と発言をした。
それを読んだ谷崎が反論、当時『改造』誌上に連載していた「饒舌録」に「筋の面白さを除外するのは、小説という形式がもつ特権がもつ特権を捨ててしまうことである」と斬り返した。
これを受け、芥川は同じ『改造』に「文芸的な、余りに文芸的な——併せて谷崎潤一郎君に答ふ」の題で谷崎への再反論を掲げるとともに、自身の文学・芸術論を展開した。
以後さらに連載は続き、谷崎の再々反論、芥川の再々々反論があったが、同年芥川の自殺によって論争は幕切れとなったらしい。
(Wikipediaより)
なかなか興味深い内容であった。
芥川は「小説は私的な芸術性が大切だ」谷崎は「ストーリーの面白さだ」と。
これは、考え方の違い、好みの違いで、どちらが正しいとか、どちらが間違っているという訳ではない。
しかし、2人は仲が悪かったというのではなく、むしろ親交は厚かったらしい。
そして、芥川の自殺によって論争は幕切れとなったのは考え深い。
しかも、谷崎純一郎の誕生日とのことだ。
今回朗読した作品、【芥川龍之介「谷崎潤一郎氏」】でも、二人の考え方の違いがよく分かる。
4分という短い話ですが、お聴きいただけましたら幸いです。