酸素カプセルに入ってから跳馬に乗りリボンマイクを直す日記 -3ページ目

こういうことは偶然で起こりうるのか?いや、そう思わない。

大気中である一定以上のエネルギー波事象が起こると微弱電流で動くものや、たまたま弱っている電子回路がイカレることがある。EM爆弾もそういう効果を利用した物の類だ。今日、あまりにおかしな出来事があった。たぶん、これは極要注意に値すると思われる。

 

去年、CR2016という通常であれば腕時計使用で3年くらいは楽にもつ電池を交換した腕時計をして家を出た。気に入っている時計でよく使っている。近所で知り合い2人と車で合流し3人で赤坂に向かった。赤坂に着くと俺の腕時計は液晶がほとんど消えており、電池は残量なくなっているようだった。

 

あれ?去年電池換えたばかりなのに、おかしいな?ま、仕方ないか...。と思い放置していた。そして仕事が終わり夜に食事しているときに一緒に仕事した2人にこう言った。

 

『今日せっかく気に入った時計してきたのに電池切れちゃって』

 

すると二人とも目を丸くしてこう言ったのだ。

 

『え??私も今日夕方に腕時計の電池切れちゃってとまっちゃった!』、

そしてもう一人も出かける間際に腕時計の電池が切れて止まったと。その時計も去年電池交換したのだという。つまり、1年以内に電池交換した腕時計をした3人がたまたま同じ位置関係で行動を共にした時に全員の腕時計が全部電池切れ。 

 

しかし、3人以外の他の人のは切れていない。この3人だけだ。偶然にそういうことはないと思う。もちろん絶対とは言い切れないけど偶然というにはおかしすぎる。 

 

レンタカーを借りて荷物を運んだのだが、なにがどうなったのかわからないがこの3人の腕時計の電池がほぼ同じタイミングで切れたのは事実だ。
 

地磁気や大気中の中性子線、地中からの電磁波の放射などで電子機器に不具合が起きるのは周知の事実だ。しかし、ピンポイントで赤坂に向かったレンタカーに同乗した3人の時計だけが電池切れた。俺はとっさに地磁気か大気中の放射線を疑った。確証はないし測定もしていない。3人の時計が、しかも電池交換して1年以内のものがほぼ同時に電池切れで止まった。これが事実だ。確信した。なにか電磁的な事象が起きているのは間違いないだろう。気をつけた方がいい。これは大真面目な話だ。オカルトでもなんでもない。 

 




 

ビンテージ機材のレプリカブームについて

昔書いた記事なんだけど、今読んだら結構まともな事言ってるので投稿してみました。

 

 

 

 

レプリカについて一言。

昨今ビンテージ機材界隈はレプリカ、再生産ブームである。空前と行っても良い。その理由ななぜか考えた事があるだろうか?                                          
儲るからである。                                                          
俺は作る側の人間だから良〜くわかるが、商売にならない物は作らない、これはどの業界に於いても鉄則である。わざわざ身銭切って寄付をするような形で機材を世に広めようとするメーカーはほぼいないはずだ。極稀にいたりするけども。                                                         
なぜ儲るのか?売れるからだ。ブランドネーム、型式含め、過去の製品のコピーを今作るのは裏を返せば現在はそのような魅力のある機材が不在であるという事なのだ。                                                        
俺は自分の知り合いやお世話になった人がムダなお金を使うのをあまり見たくないのでいつも説教するのだが、たいがい懲りないで失敗する。分かり易い例を挙げよう。                                                      
NeumannのU47が欲しい。しかし新品はもはや売っていないし作っていない。そうなれば、その部分に限って言えばレプリカを買うのは仕方ないのかもしれない。だが、探せば中古はあるし、その状態もピンキリである。いったいどのU47を聴いてその音が欲しいと思ったのだろうか。                                                              
俺は修理業も営んでいる関係で間違いなく各種二桁後半から多い物では100本を超える本数で実機を聴いてきた。だから胸を張っていう。少なくともその本数の平均値は知っていると。           また、1990年代からレプリカ物の生産に関わってきた関係で世界の現在あるメーカーの半数近くは御互いに連絡の取れる関係だ。だから彼等の製品がどういう物かも誰よりも良く知っている。最先端の製品については知らないものあるけども。                                                        
敢えていおう。

本家を超えるレプリカは存在しない。本物ですらコンディションがまちまちなのだ。当りのELAM251をオーシャンウェイスタジオで聴いたとする。それを良いなと思ってレプリカを探しても無駄だ。絶対に同じクラスの音のする現在のレプリカはない。言い切る。なぜなら肝心の音を決めるパーツの素材が当時と現在では違うからだ。他の部品は当時のデッドストックを集める事が可能だが、いくつかの部品に於いては不可能だ。作る側はそんな事は分かり切っているのだ。                                                
レプリカを聴くときはあくまでそれ風の新しいマイクだと思って聴くしかない。その『それ風』に本家に近い金額を払うのか?という事だ。また、マイクプリやセッティングによっても大きく印象は変わるし、電源事情もしかりだ。海外の良い音と日本国内の良い音は事情が少々異なる。                                    
レプリカも最近はどんどん進化して良心的なメーカーも増えて来た。良い事だ。だが、オリジナルの音は出ていない。あくまでそのメーカーのサウンドなのだ。その設計者がオリジナルのどの部分をピックアップしたかによって本物へのオマージュ度合いが変わってくるのは当然だろう。                                    
日本人の耳で、尚かつ日本国内で音響テストしながら設計しなければ日本国内で聴いて良いなと思う音にはなかなかならない。今、巷にあふれてるクローンはほぼ海外モノだろう。つまりそのメーカーのエンジニアの耳で作られた音を評価しているのだ。その彼がいったいどのくらい本物を聴いてきたのか、どういうレコーディングを経験したのか、わからない。                                  
俺は1990年前半まではれっきとしたメジャー契約のあったミュージシャンだった。その後、メーカークラスのエンジニアも経験した。つまり素人ではない。そして同時にプロとして機材の制作や修理を始めた。つまりパフォーマンスをする、収録する、後処理をする、そして機材の調整をするという4役を趣味以上のレベルでやってきた。だからこそ、その現場で言われる機材の音について4つの立場で考えられ、また音を認識する事が可能なのだ。その人間が敢えて言っている。 

 

               
ここからはメッセージ:                                
もし欲しい音が明確でその機材のモデルもはっきりしているのなら、迷わずその本物を買いなさい、と。いくら高かろうが、関係ありません。それが高いからレプリカでというならお金の無駄です。レプリカの良さを理解してその性能をフルで使い切るのならそれも良いでしょう。本当に音の良いNEVE1073よりも良いレプリカなど存在していません。みなさんご存知でしょう?俺は本物のパーツで最初から組んだ事があります。さすがにそれはそこらにある状態不明の本物以上の音になりました。U47もほぼ全て本物の部品で一本作りました。トランスも本物、VF14、M7、内部の電子パーツも全て当時のNeumann社の本物。そしたら本物の最上級の音になりました。そこまでしなければその音にはなりません。                                           
真面目に相談があるのならいくらでも乗りましょう。ただ、ありもしない夢を追いかけるのはそろそろ辞めた方がいいのではないかという話なのです。

 

そしてとどめ。

最後は耳です。耳さえよければ手持ちの機材の中で良い音を作ることが出来ます。もちろん機材の性能の部分に頼る事もあるでしょうが、海外での制作を経験した事のある人間ならお分かりでしょうが、いわゆる向こうの優れたパフォーマーは自分の音が収録された状態を瞬時に客観判断し、それに呼応する形で自分の出音を変化させます。つまりその環境で一番良い音が響く様に自分の喉を開いたり、演奏の具合を変えたりしているのです。そのマイクがどの部分に一番味があるのか聞き分け、そこにスポットをあてるかのごとく声色を変えるのです。これは非常に微妙な変化ですが、無意識にやっている人がほとんどでしょう。それをやらずにやれこのマイクが音が良いだの、悪いだの.......。その良さを使いこなすというのがエンジニア/プロデューサーの仕事でしょう。                                             
だから『これは!』と思う機材に巡り会ったら迷ってはいけないのです。使うつもりがあるのなら買いなさい。フェラーリに乗って、欲しい!と思ったのにフェアレディZ改造のレプリカを買うのですか?そういう話ですよ。                               
レプリカに敬意を評して使うのなら良いのです。レプリカも立派な機材ですから。本物のオマージュを投影して使うのはどうなのかなと。                                                                      
もっと分かり易い例:

昔付き合った相性もルックスも性格も最高の女性。不慮の事故で他界。
その女性を思い浮かべて次の女性を探し続ける、そういう事ですよ。昔の彼女の作ったカレーと同じ味のカレーは新しい彼女には作れませんよ。                                                                   
みなさんそろそろ分かって下さいな。

リボンマイクの修理について 〜色々コラムその1〜

さて、ちょっと急に思い立ったのでこれからしばらく機材関係の記事を綴っていこうと思います。

 

昨日リボンマイクの修理の記事アップしましたが、具体的な情報を詳しく投稿しているサイトは見てても楽しくていいですよね。苦労して丁寧に描かれているブログを見ると自分にはとても出来ないなぁと感心します。本当は自分もそういう形で書ければいいのですが、こればかりは性格もあるし向き不向きもありますしね。

 

では何ができるかなと考えましたらば、文章はわりと得意なので、当面は文章メインでいこうかなと。

で、第一弾:

 

『ビンテージリボンマイクの修理のもっとも重要な要素とは?』

 

です。

 

リボンマイクに限った話ではないのですが、現在生産されておらず80年以上も前につくられた骨董品が大事に扱われている現状で、これらの機材を使い続けるには適切な修理とメンテナンスが必須になります。道具ですから壊れるし、消耗品はダメになるんです。現行品の場合は新品が市場に存在し、またそれらを使ったレコーディングもあって比較的簡単にその機材固有の『音』を聞くことが出来ます。つまり故障しても、直す時に直すべき方向性や正解が明確に存在し、そこに向かって直せば良いということになりますね。簡単にいうと『お手本がある』ということなんです。

 

周辺の機材も重要です。たとえば有名なRCA77DXというリボンマイクがありますね。当時はこれをつなぐほぼ専用と言ってもいいプリアンプが存在し、RCAも当然そのアンプで音が出ることを前提に設計して調整するわけですよね。少なくとも最初に設計して製造した段階では間違いなくそうです。

 

それから数十年の時を経て、パソコンで使うインターフェイスの安っぽいマイクプリに繋いで、しかも磁力も衰え、リボンも酸化して硬化した決してフルスペックとはいえない状態のマイクをつなぐわけです。

 

その音はどうでしょうか。いいとか悪いとか、主観の話はここでは一旦横に置いてみましょう。

少なくとも設計者が思い描いた音は出ていません。要因は多岐に及びますが、どうあがいても本当の音は聴くことが出来ないのです。
 

ではどうするのか?手っ取り早いのはそのマイクを使ったと思われる有名な音のいいとされているレコードを聴くことでしょう。それである程度はそのマイクが当時どういう扱いでどういう音を期待されて使われていたのかを知ることが出来ますから。

 

あとは湯水のように金を使い、少なくとも5本以上のコンクールコンディションの個体を買うことです。中には格好だけで音はイマイチの個体もありますが、なかなかいいブツもあるんです。それと同じ考えで、現在も当時のRCAのエンジニアさんがまだご存命で細々と営業しているRCAリボンマイクの修理工房に頼んで当時のスペックで直してくれと頼んだマイクを手に入れることです。この人の修理は間違いなく当時のRCAのスタンダードを満たしているので、リファレンスとして考えるには最適でしょう。大げさに言えば当時の新品に近い音が聴けるわけですから。

 

これを入手して、可能であればRCAが推奨しているプリアンプに繋いでその音を聞いてみることです。

これが80年経った現在できる唯一のリファレンス(お手本)の入手方法なのです。

 

私は当時の機材もほぼ網羅して持ってますし、レコーディングのデータもあるので当時の音を聞くことはさほど難しくありませんでした。もちろんそこにたどり着くまでには大変な思いをしましたが。

当時スタジオで録音されたコピーではない本物のマスターテープをアーカイブする仕事もしてましたので、間違いなく当時の音は聞けました。

 

リボンマイク、私が修理をやろうと思い立った30年前は誰もその技術を継承しておらず、風前の灯でした。それがじわじわと見直されいまやネットでDIYで相当な数の人がチャンレンジしてます。ガレージメーカーもかなりの数が台頭してきました。それはそれで嬉しいことなのです。それらの新しいマイクや、ビンテージを直せると謳っている工房、オークションでも『ちゃんとメンテしました!』と謳っているものが増えてきました。いくつか入手して音を聞きましたが、さすがに有名な米国メーカーのものは間違いない音でしたけど、それ以外はまぁ、音は出てますね、悪くないですねというレベルでした。

 

現行の新製品ならいざ知らず、ビンテージ物となるとやはり『その音』というものが明確に存在するわけです。残念ですが、オークションで見つかるものの半数以上は『その音』ではないものです。音も出ているし、悪い音でもない。でもそれだけじゃダメなんです。

 

少なくとも修理をやる側の人間としては正しい音は知ってあるべきでしょう。その上で、お客さんのリクエストに応えたり、また、ちゃんと直そうと思っても全体の状態から完全復活が難しくしかたなく暫定で直せる状況止まりになっている個体の処理をするのが筋だと思います。

 

この『お手本』はお金と時間の積算の結果です。一番お金のかかっている部分なのです。修理そのものの技術はある程度器用な人ならなんとか取得できるでしょう。でもなにが正しいのかわからないのであればその結果は推して知るべしです。RCAの技術書を読んでわかったのは、彼らは途方もない膨大な実験を行い、その結果を数値化してマニュアルとして保存していたことです。残念ながらこれらの情報はあくまで

『FOR YOUR EYES ONLY』で持ち出すことはできませんでしたが、しっかりと習ってきました。
 

リボンひとつにしてもなぜその切り出し方でないとダメなのか、テンションを合わせるにはどうすればいいのかなどの基本的なデータが勘ではなくちゃんとデータとして存在することに感動しました。それらに準拠した方法で修理すると確かにちゃんとしたRCAのリボンマイクの音がするのです。それに慣れてくると今度はその数値を気にしなくてもおおよその感覚でその結果を出すことができるようになります。

 

私もブラインドで張りのテンションをなんども測定しましたが、正規の値からほぼ1%以内の正解に納めることができるようになりました。これがいわゆる『職人の勘』という部分なのです。

 

80年以上も経過して様々な状況で使われたマイクは、同じデータで直してもうまくいきません。そこで今度は『さじ加減』ということになるのです。どんなに頑張ってもRCAの正規の音にならない個体もあります。これは仕方ないのです。経年劣化はまったく別の出来事ですからね。それでもなんとか使える

『いい音』にしようと努力して直すわけです。

 

私がお客さんと最初に話して理解してほしいことは、こういう『様々な状況の個体』という土台の上でさらに可能な修理方法、予算、全てを鑑みてベストであるという方法を選択して修理を行っているということです。直せば音がでるんでしょ?というような簡単な話ではないですし、

直した後に他人に説明する時に

 

『シュガーさんのとこで直したからぜんぜんオッケー!!』と安易に考えて欲しくないということです

 

私はどういう状況で直したか、どういうコンセプトで直したのか、をとても重要視します。それなくしては誤解の嵐になってしまうからです。

 

『なんだ、本物知ってるから頼んだのにそういう音になってないじゃん』 

 

と感じるケースも多々あります。でもそれはその時の予算の問題だったり、個体の劣化具合でどうしてもそれ以上の結果を出すことができなかった場合なのです。人は勝手ですから、そういう都合の悪い部分は忘れてしまい、いいことだけを吹聴しますよね。若い時はそれで随分痛い目みましたし、ディスられもしました。

 

まぁ、そういう話です。誰だって料理はできる、でも一流のシェフや親方になれるのは一握りの人でしかない。材料だってスーパー行けば誰でも買える、だからといって誰でも五つ星レストランの味を出せますか?DIYの人達の怖いところは、そういう歴然とした壁の存在に気がついていないか、その差の存在を認めていないところなのです。プロは間違いなく技術そのものの質が違うのです。見た目だけできるようにすることは器用な人なら誰でもできます。

 

こういう事がちゃんと理解されないと職人さんたちはいずれ絶えてしまいますよね。

私はDIYを批判しているのではないんですよ。誤解があるといけないので。

DIYは楽しく、有意義な世界です。私も最初はそうでしたから。

 

今日はなんとなくそういうお話でした。