真空管式レコードプレーヤーの本当の魅力 | 酸素カプセルに入ってから跳馬に乗りリボンマイクを直す日記

真空管式レコードプレーヤーの本当の魅力

ある時代までほとんどのポータブルレコードプレーヤーは真空管式だった。
スピーカーを鳴らすことの出来る回路を石で組むとまだまだコストがかさむ時代で
簡易型のプレーヤーでは使えなかった。
 
主な仕組みは、ロッシェル塩を使ったクリスタリカートリッジにダイヤモンド、
もしくはサファイアの針。ロッシェル塩については第二次世界大戦時の帝国海軍潜水艦のソナーの話にまで遡るのでそれはまた今度。
 
昔の家庭用の安いプレーヤーはほとんどがクリスタルカートリッジだった。
利点はゲインが高く、プリアンプの構造が簡単になる。
欠点は周波数特性があまりよろしくない、というか悪い。
 
そしてこの価格帯のプレーヤーは真空管式といってもほとんどが50C5、50EH5、60FX5などの5極出力管一本なのだ。真空管はその特性ゆえ1本で音を出すことは難しく、本来なら最低でも2本は使う。
プリアンプ、パワーアンプで。
 
ところがクリスタルカートリッジはそれなりに出力が高いのでプリアンプ無しでも
パワー管をドライブすることが可能なのだ。もちろんフルスペックではないがとにかく実用域で鳴る。
となればメーカーはわざわざコストのかかる2段、3段増幅は行わない。
 
レコードというのは究極の量子力学データデバイスなのだが、それを増幅するのにたった一つの素子で
まかなっているというものすごいことが行われているのである。
 
元のデータ→真空管→音
 
こんな再生方法はエジソンのシリンダーレコードや蓄音機以外には存在しない。
 
魂を揺さぶる音がするのだよ。ハッキリ言って音は悪い。
でもそこに本物の音像があるあの立体感は何千万もするデジタルの最先端機器でも再現できない。
 
今、実はこの時代のプレーヤーを買い集めている。
そして直して自分でカッティングしたレコードと一緒に売ろうと思ってる。
だんだん溜まってきたよ(大笑)。
いや〜ええ音です!!