「学びて時にこれを習う、また説ばしからずや。朋あり、遠方より来たる、また楽しからずや。人知らずして慍みず、また君子ならずや」(論語より)
君子の道を学び、練習するのが嬉しい。そういう自分を知って、はるばると尋ねて来てくれる友がいることは素晴らしい、喜ばしいことだ。
こんなに己を極め、磨いているのに、努力しているのに、誰も人は知ってくれない。
しかし、それを恨むこともなく、憤ることもない。ああ、君子だね、あなたは、というのがこの文の意味です。
人間というのは、自分の気持ちとか本心を、完全に人にわかってもらうなんてことは無理なんです。
それを、私の気持ちを分かってくれない、私がこんなに思っているのに誰も評価してくれない。
私はこんな気持ちなのに、なんであんなことを言われるのかしら、なんであんな仕打ちをされるのかしら、なんであんな扱いをされるのかしら…と思って、それを嘆いたり悲しんだりする。
そんな気持ちはよくよく解りますけれど、これは「我」の典型的なものです。
当然でしょう、人間なんだから。親子だって、お互いのことなんかわかりっこないし、夫婦なんかもっとわかりっこない。
夫婦は他人の始まり、親子も他人の始まり。
私はこんな気持ちでしているのに・・・なんていうことを、人にわかってもらえるわけがない。
神仏のみが真にご存知なのです。
ところが、人間というのは往生際が悪くて、わかってほしいと思うのです。
武士は己を知るもののためには死ねるけれど、わかってくれないもののためには死ねないんです。
これもよく考えてみたら、我です。
わかってくれないもののためにも喜んで死ねるのが、普遍の愛であり、普遍の信仰心であり、我を捨てて天意のままに生きる御魂の発露なのであります。
なぜ、そういうことができるのか。
神様が全てお受け取りくださり、神様が全て愛情を解ってくださっているから、その絶対的な信仰心のために、真実の神性や仏性のまにまに透徹した行動ができるのです。
この世の目で見たどんな孤独や不幸も、悲しみや絶望も、豊かに幸せに乗り越えていくことができるのです。
これこそが、本当の信仰の力であり、地上で最も強い幸せになるための武器たり得るものでありましょう。
（深見先生のお言葉より）
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