昨日は心の調子が悪くてブログを書くことができませんでした。
野生動物を取り巻くこの社会の状況は、残酷で無慈悲で冷酷で異様だと感じます。
この社会では、人間と暮らしているイヌがひとりでいるだけでも騒がれていることから、野生動物となるとそれがさらに酷いです。
野生動物と出会って、過剰反応する人が非常に多く、それが動物を苦しめたり、動物に刺激を与えたりして、事故に繋がることもあります。
生態学、動物保全生態学の専門家である高槻成紀氏は、今に生きるわたしたちが動物たちに対する見方が昔と変わってきていると指摘しています。
その理由のひとつとして都市生活をあげています。
都市生活でも昔は、台所にネズミやハエ、ゴキブリなどいろいろな生き物がいるのは当たり前でしたが、現在はそれらの生き物を「駆除」するグッズが販売されるようになり、抗菌グッズまで売られるようになりました。
高槻氏は、生き物が家にいても有害でなければいてもかまわないはずで、そのような説明は科学的根拠に基づくべきであろうと述べています(高槻成紀著『人間の偏見
動物の言い分』)。
たとえば、ネズミやゴキブリなど「ばい菌」を持っているという、情報が社会に広くい浸透しています。しかし、ネズミやゴキブリは人間に甚大な影響を与える存在なのでしょうか?ゴキブリが家にいるからといって、直ちに皆、菌などに感染するのでしょうか?
ゴキブリのことをよく調べると、「害」はほとんどないことがわかります。ゴキブリはサルモネラ菌を持っていて、ゴキブリによって食中毒を起こすとよく言われますが、サルモネラ菌はタマゴの殻などにも付着しています。ゴキブリが菌を持っているのではなく、排水溝などを移動しゴキブリの身体に菌が付着します。菌は様々な動物に付着しており、犬も例外ではありません。
高槻氏は、現代人が他の生物の姿が見る機会が少なくなったことも、現在人の動物に対する見方が変化しているひとつではないかと述べています。
他の生態学者の方は、「野生動物をよく見かける地域に住んでいる人たちは、シカたちの姿を見ると『シカいたね』とその光景が普通になっており、その逆の地域に住む人たちは、シカの姿を見るなり大騒ぎする」と語っていました。
現代でも、他の種と出会うことはありますが、他の種に対する寛容さがなくなっているため、排除という思考になっているのだと思います。
それを支えるのが、他の種に対する偏見です。
他の種のことをよく知らないため、生き物の勝手な「○○像」を脳内で作りだされていることが多いです。
その勝手な思い込みが、他の種に対する危機感を膨張させたり、排除思考を強めたりしていると思います。
日常的に他の生き物と出会っていない人は、たまに出会うとおどろくかもしれませんが、他の種に関心を持ち、出会った生き物のことを詳しく調べてみるといいのではないでしょうか。
勝手な思い込みによる偏見が薄れるかもしれません。そうなると、他の種への恐怖心なども薄れると思います。
他の種と出会っても過剰にならず、生き物たちに恐怖や痛み、不快を与えず、静かに見守り、必要であれば、人間と他の生き物の安全を確保した上で、距離を取る対策をするといいと思います。
他の種への寛容な心を持ち、わたしたちと同じ感覚的存在である動物たちの生活や生命を大切にする社会になることを願っています。
今日の保護シカたちは、晴れ間を楽しんでいました。
目を閉じて草を食べていた保護シカすぐるちゃん(♂7歳)。
午後はお部屋でお休みタイム
ねむねむの保護シカのぞみちゃん(手前♀推定6歳)。
「目、開けてられへん」とのぞみちゃん。
奥にいるすぐるちゃんは本気寝。
動物たちに対して持つ偏見に気づくことが、誰かを苦しめない第一歩ではないかと思います。
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