昨日は奈良県議会議員と奈良のシカ(国の天然記念物)のことでお話をしました。

 

帰宅後、とても疲れて早く寝ることにしましたが、3時頃激しい頭痛で目が覚めました。

 

痛み止めを飲んで再び寝ましたが、朝になっても頭痛はスッキリせず、少しつらいです。

 

議員さんには奈良のシカを「駆除」しても、農業被害はなくならないことなどを説明し、田畑の防除の方へ税金を使用してほしいと要望をしました。柵の設置で困っている農家の方がおられたら、わたしたちが設置作業に行きますと伝えました。

 

4月10日の定例会見で奈良県知事は奈良のシカの遺伝子のことをおっしゃっていましたが、わたしたち県民や市民は、奈良のシカの遺伝子の独自性を大切に思っているのではありません。

 

奈良県民として、奈良のシカの遺伝子などどうでもよく、個々のシカたちを大事に思っているのです。

 

昨日は、奈良の鹿愛護会の獣医師(丸子さん)が市にある要望書を提出し、記者会見が開かれてました。

 

経緯は、ひなた・なら法律事務所のFBの文面をご覧下さい下矢印

 

「また奈良の鹿🦌の危機のお話。

昨年、奈良の愛護会による特別柵におけるシカの飼育環境が不適切であった旨の報告がされたのは、緩衝地区(C地区)で捕獲されたシカのお話であり、先月、「奈良のシカ保護管理計画検討委員会」において、捕獲されたシカをこれまで特別柵で保護する運用を駆除(殺処分)する方向で議論を進められているのも、緩衝地区(C地区)で捕獲されたシカのお話です。

 

緩衝地区(C地区)には、農地もあるからシカによる被害も配慮しなければならないという側面があります。

 

しかし、今回は、農地がない重点保護地区(A地区)、すなわち春日大社、興福寺、東大寺、奈良公園のある地域において、交通事故の被害にあったために保護されたシカの話です。

 

シカは2本以上の肢を骨折すると、自力で立ち上がろうとしても、これまでシカの治療に用いてきた市販のプラスチックの副木では骨折したシカの体重を支え切れずに折れてしまいます。シカはいつも座った状態でいると、エサを食べなくなり、いわゆる「床ずれ」ができて感染症を発症し死亡するリスクが高くなるのです。

 

そこで奈良の鹿愛護会の獣医師は、コウノトリの義肢の作製装具士の助力を得て2本肢を骨折した鹿の体重を支えることができる装具の作製を試み、1頭のシカが自力歩行が可能な状態にまでなったそうです。

 

しかも、その装具を作製する会社はクラウドファンディングを利用することにより、奈良の鹿愛護会に装具を無償で提供することを提案してくださったのです。願ってもない提案ですね。

 

ところが、獣医師は奈良の鹿愛護会から装具の作製を停止し、「奈良のシカ保護管理計画検討委員会」のワーキンググループ(WG)で説明して承認を受けるように指示を受けたそうです。同委員会は、鹿苑の特別柵のあり方等の「中・長期的な対応」を検討する場であり、そのWGは、「鹿苑の特別柵における管理やそのあり方と主に緩衝地区(C地区)における農業被害防止について検討すること」が設置目的でした。特別保護地区(A地区)のシカの取り扱いはそもそも検討事項にならないのではないかとの疑問を抱きながらも、獣医師は説明をしました。

 

しかし、残念ながら、獣医師の説明の甲斐なく、装具の作製の話は中断されたままの状態になっています。

 

そもそも特別保護地区(A地区)のシカの治療については、獣医師の意見を尊重して奈良の鹿愛護会の中で判断して進めればよいはずです。

 

獣医師はその後も、奈良の鹿愛護会に訴えたが聴きいれてもらえず、やむを得ず奈良市保健所に要望書を出したというのが本件です。

 

奈良の鹿愛護会の獣医師でありながら、このような行動を起こすのは彼女の熱意・シカに対する愛情の賜物なのでしょう。

 

当事務所は、シカを護りたいという真っすぐで勇気ある獣医師をサポートさせていただきました。

記者会見を終え、ひと段落とはいえ、まだまだ続きそうです。」

  

ひなた・なら法律事務所

    弁護士 寺川 拓

 

 

会見では、この内容の他に奈良のシカたちの「駆除」エリア拡大についても獣医師は触れており、「駆除」をしても農業被害はなくならないと語ってくれています(朝日新聞記事)。

 

この会見に対して、奈良の鹿愛護会事務局長は、「獣医師の言っていることが全てただしいわけではない」と述べ、第三者の吟味は必要ということでした。

 

●報道はこちら下矢印

 

 

 

この報道を見て、シカの保護活動をするわたしが率直に思ったことは、治療できるにもかかわらず、迅速な処置をなぜ行おうとしないのか?ということです。

 

シカを専門とする獣医師(丸子獣医師)が、治療に必要であると判断したことは、その判断に従い、シカたちが適切に治療できる環境をみんなで準備すべきではないでしょうか。

 

また、第三者に意見を聞くということは、治療が遅れるだけでなく、シカの治療はできないということにもなりかねません。

 

なぜなら、日本の野生動物や動物の関係者や専門家と言われる人、その他の関係者の方たちの認識は「そもそも野生動物には治療はいらないんじゃないか」というものだからです。

 

他の報道では、現在行っているシカへの処置で充分との発言がありました。しかし、現在行っているシカへの処置は最低限であり、充分とは言えません。

 

他の国では獣医療はどんどん発展しており、それを目指さないのは日本を獣医療後進国にしてしまいます。現在、日本の野生動物への医療は他の国に比べて大変遅れています。

 

野生動物を救おうとする獣医師がいる中、治療に消極的、否定的な多数の人たちによって、治療が必要な患者の治療ができなくなってしまうこともあるのです。

 

シカたちの治療について、丸子獣医師は必要最低限の処置しか行っておらず、本当なら、もっと先進的な処置をしようと思えばできるのです。しかし、その最低限の処置をもできなくなってしまうシカの保護環境は健全な環境とは言えないと思います。

 

そして、わたしが懸念するのは、日本の野生動物や動物たちの専門家と言われている人たちの認識です。

 

今や野生動物の救護活動は世界各国で当然に行われているにも関わらず、「野生動物には~」と野生動物の救護活動を否定するのは本当におかしなことです。

 

このような専門家の方たちの発言から、野生動物を取り巻く日本の認識や意識が、他の国から非常に大きな遅れをとっていることがよくわかります。

 

野生動物には救護は必要ないという専門家の方の考えに対し、奈良の鹿愛護会事務局長の言葉を借りて「専門家の考えていることは全てただしいわけでなない」ですと声を大にして言いたいです。

 

 

獣医師の中には、ロードキルに遭った野生動物の姿に胸が痛み、野生動物を助けると決めて獣医師になった方がいます。

 

しかし、野生動物に対する日本の認識や意識の低さによって、野生動物救護の機会がほぼなく、イヌやネコたちの診察・治療をされている獣医師さんもいます。

 

個々の動物たちに目を向けない限り、種や個々の動物たちを救うことはできません。

 

丸子獣医師は、とても勇気ある行動でシカたちが直面する状況を少しでも改善しようとされています。

 

野生動物たちのために声を上げる獣医師の方は少数の中の少数なので、他の獣医師の方たちも声を上げてほしいなと思いました。

 

わたしが一番思うのは、動物たちと関わる人間は、動物たちの利益を第一に考え行動してほしいということです。

 

イヌとシカたちと暮らしているわたしももちろんそうです。

 

動物たちは常に弱い立場にあり、人間に翻弄されつらい思いをしています。

 

その動物たちに共感できる人間こそがこの社会には必要なのだと思いました。

 

奈良のシカたちや日本の野生動物たち、その他の動物たちを守っていくためにも、おかしなことには「おかしい」と大きな力に対して声を上げていこう。

 

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