ようやく雨が止んだので、イヌのひよりちゃん(♀10歳)はとても元気よくお散歩に出かけました。

 

歩く姿が「たっのしい~♪」と語っていて、そのひよりちゃんの姿を見てはニマニマしていました。

 

ところで、毎朝新聞をチェックしている知人が毎日新聞の記事をラインで届けてくれました。

 

 

朝日新聞机記者の記事ですが、春日大社さんの発言も書いてくれていたり、他の委員の意見も書いてくれたりしています。

 

朝日新聞DIGITALでは新聞記事の内容と同じ内容が書かれていますがタイトルが「奈良の鹿、駆除拡大は『遺伝子守るため』研究結果踏まえ委員長が見解』となっています。

 

朝日新聞DIGITALの記事はこちらです下矢印

 

 

奈良のシカ(国の天然記念物)を取り巻く一連の流れを見ると、「作られたシナリオ」に思えてなりません。

 

推測で全てを語ることはできませんが、奈良のシカと人間との歴史、数年の動きなどを見ると、このシナリオが行政や農家、研究者の方たちにとってうまくまとまる感じなのかなと思いました。

 

検討委員会の委員長村上氏は、検討委員会で「奈良公園のシカ独自の遺伝子」を非常に強調していました。

 

机さんの記事にも書いてあるように、村上氏は奈良のシカについて持論を展開していましたが、その持論がとてもおかしいです。

 

村上氏は「外から個体が入り、遺伝子攪乱が起きている、神鹿を保護しなければいけない」と言っています。

 

「神鹿を保護」と聞くと、「あ、保護(手厚く生命などを保障してくれるの)」だと思うかもしれませんが、決してそうではなく、「駆除」を含め、シカを人間の都合よく管理しようという考え方です。

 

奈良の鹿の遺伝子の独自性を維持しようとするのは、完全に人間側の勝手ですし、A.B.C.D地区と分けて考えているのも人間の都合です。

 

この件について、知人とXで話をしましたが、知人は「独自の遺伝子を守るためにシカを殺す」のが本当であれば、「遺伝子汚染理論の暴走」と述べていました。

 

遺伝子の撹乱は在来種と非在来種の交雑問題になっていて、そのことによって、もともとその地域にいた種の遺伝子を変化させたり、地域ごとに育んできた生き物の歴史がなくなってしまうということなどが問題とされています(全て人間側の問題)。

 

交雑によって、生態系に悪影響を与えるとも言われているようですが、そのような検討は十分に行なわれていません。

 

そもそも、遺伝子の交雑によって、今のわたしたち人間も存在しているのです。

 

遺伝子の交雑によって、遺伝子は多様になり、消滅する種、新たに誕生する種とで複雑な自然環境が作られています。

 

人新世では、人間が種を自然界ではない速さで移動させるので、交雑は起こりやすく「新しい個体群、系統、種が急速に形成される時代に生きています」(258ページ)。

 

クリス・D・トマス『なぜわれわれは外来種を受け入れる必要があるのか』には、「『種』はいまだに遺伝子を交換している」(中略)そうやって生命の樹は成長するのだ」と書かれています。つまり、ダーウィンの進化論です。

 

「動物や植物というものは雑種起源なのだ」(251ページ)。

 

「人種差別の思想を助長する人は、自分自身の体にも過去の人類の複数の遺伝子を多くのさまざまな人類以前の種の遺伝子が含まれているという現実についてよく考えるべきである」(251ページ)。

 

このことからも、動物たちの遺伝子の「独自性」を選別して、維持しようとする考えが、いかにおかしなことであるのがわかると思います。

 

他の国では、雑種形成の重要性について理解されるようになっています。

 

クリス・D・トマスは遺伝子の交雑についてこのように述べています。

 

「新しい種を雑草や害虫として割り引いて考える人もいるかもしれないが、それは人間の考えを反映したのものであって、新しい種類の生命の本来の属性ではない。あらゆる種類の生命はそれぞれ個別の歴史があって存在るすようになり、手に入る自然を利用するだけのことである。人間に迷惑を掛けて繁栄するものがいたとしても、それは人間の問題であって、彼らの問題ではない」(259ページ)。

 

奈良公園のシカたちであれば、野生でありながら人間が長年シカたちに介入することで、奈良のシカは独自の遺遺伝子を持つようになりました。

 

歴史的に見ると、奈良公園周辺のシカたちの個体数が乱獲などにより絶滅(または激減)し、奈良公園のシカたちが千年以上孤立化していたということです。そのために、独自の遺伝子を持つようになったとのこと。

 

これに関して知人はXで、「これ、人工的生殖隔離で、一種の家畜化ですね。 それが今度は周辺の鹿が増え、それらと自然に交雑するようになったというのが現状」と述べています。

 

奈良のシカたちの歴史があり、それぞれの個々の生涯を通して、その独自性が作られてきたわけです。

 

隔離されていたため、独自の遺伝子を持つようになったとしても、その環境を今の時代に当てはめるのはどうなのでしょうか?

 

今は、今の生態系や生物の移動があるので、その自然の動きに沿った(野生動物を含めた)自然保護をすべきではないのでしょうか。

 

もし、この先、奈良のシカたちの遺伝子に変化があったとしても、それは自然の摂理なので問題はありませんよね。

 

それを問題としたり、独自の遺伝子を維持しようとしたりする専門家の方たちなどのお考え方がおかしいのだとわたしは思います。

 

*追記

 

知人が奈良のシカの遺伝子について、「独自の遺伝的特徴は自然物ではなく、人工物であり、文化財として守りたいわけね」とXでポストしていました。なるほど!と思いました。

 

他の方からも、奈良のシカの天然記念物指定は、他の天然記念物指定の種と違い人工的に感じたとコメントしてくださっていて、みなさん、とてもよく考察されているなと思いました!わたしも、もっと、知識を得て考える力を養わなければ!と思いました。

 

シカたちの生活や健康、命を奪おうとしないでください!

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