昨日の記事で「外来種」に触れましたが、今日も非在来種の話をしようと思います。

 

日本でも他の国でも、非在来種は問題ある種として認識されてきました。

 

しかし、近年他の国では、その見解に異を唱える研究者や研究報告があり、シュプリンガー ネイチャーに興味深い論文がありました。

 

●論文はこちらです下矢印少し文章の長い論文ですが、ぜひ読んでほしいなと思います。

 

 

 

論文を書いたミーラ・アイオナ・イングリスは、「『侵略的種』(「外来種」)という用語を捨て、代わりに、特定の時間と場所で害を及ぼしていると思われる種を表すために『潜在的問題種』(potential problem species)という用語を使用すべきであると主張」しています。

 

生物に対して「外来種」とレッテルを貼ることは人間以外の動物だけでなく、人間にとっても有害であるということです。

 

「外来種」について語られる際は、「侵略者」などの語も同時に使用され、人びとは、「外来種」に危機感を抱いたり、問題を起こす種であると認識し、致死的な力で対抗しようとするそうです。

 

人びとの意識をそうさせているのは、メディアや政治などです。

 

「『侵略者』、『外国人』、『エイリアン』などの言葉は、異質な感覚を生み出すために頻繁に使用され、外来動物の迫害が正当であるかのように思われます。これは、人間の移民に対する中傷をめぐる物語と類似しています (Staszak 2008 )。この種の言語が(この種の用語で表現される人間と非人間の両方に対する)一般の認識に影響を与えると想定するのは合理的です。したがって、現代の野生動物に関する政治におけるこのような言葉遣いは誤解を招くものであり、道徳的に不適切である。」

 

「『外来種』に関する議論は、実際には人間によって引き起こされたり悪化したりする問題を他の生物のスケープゴートにするため、政治的ツールとしてあまりにも頻繁に使用されています。」

 

「移民が地元の人々の仕事を奪ったとして非難されるのと同じように、外来種も在来の動植物を競合させているとして非難されている。最悪の場合、このような議論はあからさまに外国人排斥的なトーンを帯びます。」

(翻訳機能使用)

 

「外来種」という用語の使用をやめるべき理由として、2つの理由があり、1つは、「外来種」を悪者扱いすることが道徳的に間違っているということです。「外来種」とレッテルを貼られることで、生物たちは不当に殺されることになるからです。

 

2つ目の問題は、科学的、哲学的観点からも、外来種について語られていることが支離滅裂であるということです。

 

この2つの問題が、非常に複雑な生態系のプロセスを過度に単純化しているということです。

 

侵入生物学の祖であるチャールズ S. エルトンは、2つの世界大戦を経験し、ベトナムと冷戦の時代にThe Ecology of Invasions by Animals and Plants を執筆していました。「残念ながら、外来種についてのこの好戦的で軍国主義的な書き方が、エルトンの遺産の重要な部分であることが判明」し、エルトンは、戦中の出来事を他の種にも当てはめ、他の土地からやってくる種を「侵略的」としたのです。

 

「外来種悪者説」はイデオロギーなのですが、現在もその考えが優勢です。

 

「動物や植物を悪意ある征服者として描くことは、いくつかの非常に重要な点を見逃していつことになります」と、イングリスは述べています。

 

実際に、在来種を絶滅に追いやった種は世界的に2種ほどしかおらず、その他の非在来種は、在来種の生存に貢献していたり、多様性に貢献していたりしているとのことです。

 

しかも、種の絶滅は「外来種」の存在が問題ではなく、人間が自然環境を破壊汚染していることが主な要因であることが多いとのことです。

 

現在、地球の環境は急速に変化しており、その環境変化に適応するには、非在来種の存在が必要になってきています。

 

地球の生態系に「凍結した瞬間」はなく、環境は毎日変化し続けています。

 

人間もまた移動を繰り返し繁栄してきた種です。

 

人間の移動は問題とせず、なぜ、人間以外の種の移動だけを問題とするのでしょうか?

 

非在来種は今日の世界に存在する生態系を構築する上で重要な存在であり、それをわれわれ人間は受け入れる必要があるということです。

 

在来種と非在来種の区別の問題は、

 

1・科学的に問題がある

2・非倫理的である

3・人間が引き起こした問題を「外来種」をスケープゴートにするために使用されている

 

「すべての生き物には存在すべき時間と場所があるという凍った瞬間の考えはナンセンスであり、もし私たちがこの神話を追求することに固執するなら、私たちは仲間の生き物を真に保護するのではなく、破壊し続けるだけになるでしょう。」

 

非在来種に関する情報を更新していこう!

 

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