最近、地味に低空飛行なわたしで、頭はずっとモヤモヤしています。

 

他の国では、自然環境意識の高まりや、人間以外の動物たちを尊重する動きがありますが、この社会は一向にその兆しが見えません。

 

ところで、今日はヨーロッパに生息するアカシカが捕食動物よりも人間の影響を強く受けているという記事を見ました。

 

フライブルク大学の野生動物生態学者らが主導する国際研究で、特定地域のアカシカの個体数に影響を与える要因が調査されました。

 

その結果、

 

「ヨーロッパの動物の個体数密度は主に人間の狩猟と土地利用の影響を受けており、オオカミ、オオヤマネコ、ヒグマなどの大型捕食者の影響を受けていないことを示すことができた。」

 

ということです。

 

エコシステムが整った環境では、大型肉食動物が草食動物などの個体数を制御する重要な要因と考えられてきましたが、研究の結果はそうでないことを示しました。

 

研究者らは、ヨーロッパの28カ国、492以上の調査地でアカシカの個体数密度のデータ尾を収集し、生産地の生産性や大型肉食動物の存在、人間活動、気候変動、地域の保護状況など、さまざまな角度から影響を分析。

 

データの評価によって、大型肉食動物の存在よりも人間の狩猟がアカシカの密度を減少させていたことが示されました。

 

一方で、人間による土地の利用がアカシカ密度の増加につながっているそうです。

 

大型肉食動物の影響でアカシカの個体数の減少が見られたのは、オオカミ、オオヤマネコ、クマの3種の捕食者が1つの地域に同時にいるときのみにみられたそうです。

 

今回の研究では、オオカミのような大型肉食動物の復活だけではアカシカの個体数に大きな影響を与えられないことがわかりました。人間のアカシカの生息地や個々の動物たちへの介入を通して間接的、直接的に多大な影響を与えているのです。

 

今後は、捕食者の存在がアカシカの行動に与える影響の調査が課題であるということなので、その調査結果を楽しみにしていたいです。

 

●研究について書かれ記事はこちらです↓↓↓

 

 

この研究結果を読み、保全生態学者などが考える「健全な」自然環境自体の想定が「本来の自然」ではないのでは?と思いました。

 

*わたしが用いる「本来の自然」とは、環境と自然動植物のお互いの関係性で作られる自然環境と定義します。

 

日本でもシカの個体数が増えた理由としてオオカミ不在説がありますが、ヨーロッパの研究結果を当てはめると、オオカミがシカ個体数へあまり影響を与えていないなら、その前提とする自然環境観もおかしいということになりませんかね。

 

今日は詳しく話しませんが、生物多様性という概念も思想であり、生物種が多様であればあるほどと「よい」という考えは少し違うようです。生物種が多様であると生産性が高くなるというのは必ずしもそうではなく、生物種が多様であるエリアで生産性が低下したという研究報告もあります。それだけ、自然の生態系はとても繊細で複雑なのだと思います。

 

生態学や保全生態学が目指す「本来の自然」というのも、それぞれの研究者によってその定義は異なると思いますが、流動する自然環境にたいして、「絶対的に○○だ」と決めつけて、その自然環境を目指すことに大きな落とし穴があるように思えてなりません。

 

保全生態学のある研究者は、「自然環境について、われわれはあまりに知らないことが多すぎる」と述べており、そのことからも、現在行なわれている、生態系保全の対策など間違っている可能性もあります。

 

よかれと思って行なってきた対策が実はそうでなかった、ということが自然環境にたいして今までもあり、今もまさにその状況にあるかもしれません(野生動物の「駆除」や個体数調整など)。

 

 

他の国の研究者たちは、土地利用も含めた人間活動や気候変動の調査もきちんと行なっているので、さすがだな!!と思いました。

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