生物多様性保全のなあぜなあぜ?

 

 

①地球の自然生態系は人間にはわからないことだらけなのに、生物の「駆除」が行なわれるのは、なあぜなあぜ?

 

②研究者は「外来種」や「害獣」は「生物多様性を乱す」と言うけれど、生物多様性を大規模で甚大に乱す人間活動に触れないのは、なあぜなあぜ?

 

③「外来種」や「害獣」は「悪」と決めつけているのは。なあぜなあぜ?

 

④「外来種」や「害獣」の「駆除」に市民を巻き込むのはなあぜなあぜ?

 

 

 

NHK福島WEW特集に「福島県の観光ポスターに外来生物が!?」という記事がありました(外来生物:園芸スイセン)。

 

●記事はこちらです↓↓↓

 

 

記事冒頭にこのようなことが書かれています

 

「本来は生息していない場所に、人間が持ち込んで広がってしまった『外来生物』。もともと生息していた在来の生き物を駆逐し、生物多様性を脅かす存在だとして、近年の環境保全意識の高まりから注目されるようになっています。国や県が規制して対策に取り組み、注意を呼びかけていますが、福島県をPRするポスターに大きく写り込んでいることがわかりました~」。

 

つっこみ所満載なのですが、最初から「外来生物を『悪』」とする悪意ある記事だと思いました。

 

簡単に意見すると、地球自然環境で生息する生物の生活域を「本来」と言ってしまうのは、(人間の関与なしの)種の移動による進化を否定することになり、地球生態について勉強不足だなと思いました(長いタイムスケールで種は移動する)。

 

そして、「外来生物」が在来種を駆逐し、生物多様性を脅かす存在だと言うことですが、現時点ではそれらは明らかになっておらず、外来生物が在来種を駆逐することなど世界的に見てもほぼありません。

 

 

福島県の観光ポスターに採用された写真を撮影した方は、園芸スイセンを外来種だとは思っていなかったというのですから、外来生物はそれほど人びとの暮らしにや自然環境に馴染んでいるのです。その種を自然環境から排除する必要はあるのでしょうか。

 

福島大学 黒沢高秀教授はこのように述べています。

 

「園芸スイレンは、南湖の風景における歴史的価値はほぼないと考えられますので、史跡名勝を守る上でも早急に対策を取る必要があると考えられます」。

 

「外来生物だと考えなければきれいな花が咲いて、景観的には好ましいように見えるかもしれません。ただ、このまま放置すれば10年後、20年後はもっと広がり、いまの景観は失われていく」。

 

あの……。これって、生物多様性に関係ありますか?日本古来の景観を保存したいというのは思想ですよね。

 

外来生物を研究する国立環境研究所の五箇公一さんはこのように述べています。

 

「おそらくこの植物を見て、悪い外来生物ですよっていう説明を受けてもわからない人はいっぱいいる」。

 

「あまり興味がない人にも関心を広げる必要がある。これは環境関係の人間だけでなくて、分野横断で~ろんな人を交えてアイデアをもらって、何らかの戦略立ててかないとダメなんだろうと思います」。

 

「生物多様性っていうのは、生き物がかわいそうだから守ろうというものじゃないんです。生物多様性がないと水も空気も食べ物も、われわれは手にすることができない、つまり人間社会を持続させるためなんです。~目立った種は滅んでいるけど、代わりに害虫は増えているしコロナだって出てくるしで、バイオマス(生物の量)自体は変わらず、変化した環境に別の種が適応して増えるわけで、それ自体が人間の生存をおびやかすものばかりなのが現状。人間社会の持続のため、生物多様性を乱す外来生物はきちんと管理なり駆除なりしなければならない、というのがこの問題の本質なんです」。

 

あの……。外来生物を「悪い」と決めつけているのはなぜですか?何をもってどのようなことからそう言えるのでしょうか?外来生物が生態系に与える影響などはほとんどわかっていないでしょう。というか、外来生物は人間が荒廃させた自然環境の生態系を回復させていることが明らかになってきていますが。

 

生物の専門家から「害虫」との言葉が出てきたことにおどろいています。生物全てが地球の生態系構築を担う存在であるため、そのような言葉が出るのは人間を中心と考えているからではないでしょうか?

 

最後に記者の言葉があります。

 

「今のわたしたちの生活を守るために、生物多様性を保つ必要があるという観点、ふだんの暮らしの中ではなかなか持てないかもしれません。変化はわたしたちが気づくより遅く、しかし気づいたときには深刻化しているケースが多いという外来生物の問題。そのリスクをきちんと認識し、現状を知ることが、わたしたちの将来の豊かな生活につながる。これからはわたしも意識して、カメラのファインダー越しに広がる美しい風景を見つめていこうと思いました」。

 

あの……。これは論点すり替えですかね?

 

繰り返しになりますが、外来生物による生態系への影響はよくわかっていません。それをふまえ「深刻化しているケースが多い」と言えることではありません。

 

わたしたちの豊かな生活には自然環境保護が必要であり、わたしたちの現在の生活スタイルを変えなければいけません。そのことには触れず非在来種の「駆逐」で、わたしたちの豊かな生活が手に入るというのはおかしいです。

 

生物多様性保全(生態系保全)は外来生物の問題ではなく、人間の活動や意識の問題です。

 

 

 まとめ

 

 

生物多様性と生態系機能や「サービス」の関係には未解明な点が多く、生物多様性の決定には人間の価値観が関わっているので、生物多様性についてはよく分かっていない現状です。

 

自然環境に生物が多様であれば、生産性が高くなる・侵入種を防げるなど一般的に言われていますが、そんな単純なことではないと実験で明らかになっています。

 

生産性や安定性に関係するのは、どんな種が生態系に入っているかであって、単にたくさん種がいればというものではないのです。

 

つまり「生態系を構成している中身が大事ということ」です(『大学講義のためのプレゼン教材生物多様性の未来に向けて』)。

 

日本古来の景観を維持したいと、人間都合の環境を作ることで、生物多様性が乱されマイナスになることだってあるのではないでしょうか。今よいと思ってやっていることも自然相手だとそうでないことがたくさんあるため、綿密な調査などが必要なのですが、日本固有の景観のイデオロギー高揚の非科学的なことばかりが進み取り上げられています。

 

生物多様性の減少は人間活動が原因なので、人間の活動に注目すべきです。

 

多くの研究者の方たちの発言には困ったものだなと思いますあせる

 

生物を排除する報道がおおくてげんなりします。

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