シカが野菜を食べると死亡する？

シカたちを保護して6年目になりますが、保護当初から気になっていた硝酸態窒素について再度検索していました。

保護当時に獣医師から草食動物の硝酸塩中毒の話を聞いていたので、我が家ではシカたちに葉ものの野菜はほとんど与えていませんが、硝酸態窒素は自然界で存在しているため、シカたちに与える自然界の野草をカットするときにも注意を払っています。

わたしたちの住んでいる地域で生息する野生のシカたちは、植物の葉の先をだけ食べているので、野草をカットするときは、わたしたちも植物の先端をカットしてそれを保護シカたちに与えています。

硝酸塩は葉より茎に多く含まれており、植物は地面より少なくとも15センチ以上根元を残し刈り取るのがよいそうです。

日本では1960年第から牛の急性中毒が続発したそうで、その時は飼料作物の施肥に注意することで発生が制御されたそうです。

しかし、1990年代になり、輸入飼料の一部で硝酸塩含量の多いものがあり問題が再燃したそうです。

硝酸態窒素は植物の育生に必要な成分で、空気や土壌に含まれていますが、土壌に残留しにくいため人間が農作物を育てる時にスリラーを施肥するなどしています。

その量などにより葉ものの野菜などに硝酸態窒素が多く残留することがあるそうです。

施肥のタイミングや量、天候、収穫時期などが関係し、硝酸態窒素が残留する野菜が市場に出回ることがあるとのことです。

牛が硝酸塩中毒を起こして死亡することもあるので、それをシカの「駆除」にも使えないかと人間は考え、硝酸塩入りの食べ物でシカを殺害するという、とんでもなく酷いことが行なわれてきました。

シカを「駆除」する目的で自然界に撒かれた餌ですが、（この毒餌により死亡したシカはいますが）毒餌へのシカたちの食いつきは悪かったそうです。

硝酸塩は自然界でも存在するので、硝酸塩の毒餌を撒いても自然環境に悪影響は少ないなどと言われていますが、硝酸塩による地下水汚染など問題となっていますよね。

草食動物の硝酸塩中毒には、急性と慢性があるそうで、慢性である場合個体は流産など繁殖障害を起こすと言われています。

しかし、急性中毒を引き起こさない程度の量（硝酸態窒素）による流産や慢性中毒、増体などの懸念に対する確証となる研究成果は今のとこと得られていないということです（注：参考資料がいつに書かれたものか不明）。

草食動物の硝酸塩中毒から、作物に人工的な働きかけは生物にも環境にもよろしくないなと思いました。

土壌の生物環境があれば植物は育ちますし、施肥しないことで植物は病気などに強くなると言われています（農作物に大量の肥料を与えることで植物に虫がつきやすくなるにはよく知られていることですよね）。

もし、シカに野菜を与えるなら、硝酸態窒素の残留が少ない、もしくは残留していないものがいいかもしれませんね。そして、シカに与える野菜の部分や量にも気をつけるとより安全かと思います（例えば、ニンジンであれば先端部分だけをシカに与えて、下の部分はあげないとか大量に与えないなど）。

葉ものの野菜（自然栽培）については、我が家のシカたちは少量をとてもたまーに食べますが、今のところ、それで便がゆるくなったり、体調を崩したりしていません。

SNSで「シカが野菜を食べると死亡する」とか「野菜を食べるとシカは体調を壊す」とか見かけたことがありますが、今のところ、実際にそのようなことがあったという話は聞いたことがありませんし（わたしが知らないだけかも知れませんが）、鹿苑でもシカに野菜を与えている話を聞いたことがある（今はどうかわかりません）ので、硝酸態窒素も含め、農薬や除草剤などの残留値に注意した植物を適量シカたちにあげるとまだ安全かなと思いました。