広島県の宮島で発見された、おそらく子宮脱・直腸脱である♀鹿さんですが、治療を受けられずに苦しんでいます。
今日も鹿さんの治療を求めて関係施設に電話したり、調べ事をしたりしていました。
野生動物の救護は家畜である犬や猫の救護とは異なるところがあり、野生動物の救護では救護動物への配慮が特にかかせません。
犬や猫たちでこの方法が大丈夫だからといって、それを野生動物にそのまま適応すると予期せぬ事態をもたらすことがあるかもしれず、そうなると救護動物を苦しめてしまうことになります。
車での移動もそのひとつです。
車での鹿の輸送であれば、鹿と人間の身の安全の確保と鹿にかかるストレス要因を可能な限り取り除く対策が必要です。
治療を必要とする宮島の鹿さんの処置が済んだ後、麻酔をしたまま鹿を我が家まで送って、我が家で回復のサポートをしてくれないかと聞かれましたが、麻酔の覚醒を確認せず、獣医師の元から治療を受けた動物を離すのは危険です。
また移動に7時間以上かかる場所へ輸送するのは、衰弱している鹿にとって非常に大きなダメージを与えます。健康な家畜であれば、身体への負担はあるものの長時間の車移動は可能なこともありますが、傷病鳥獣の7時間以上の車移動は現実的ではないとわたしは思っています(獣医師もそのように言っていました)。大型野生動物を輸送する専用の車両があれば、数時間の移動は可能でしょうが一般車では非常に厳しいです(一般車両の内装を改装した車だとそうでない車より安全に動物を輸送することができます)。
野生動物は犬や猫とは違い、匂いや音、光、振動、環境の変化に敏感に反応するため、それらへの配慮が必要ですし、その他、いろいろなことに対して気をつけなければいけないことがあります。
そのため、野生動物の治療は、野生動物を救護した場所から近い病院で行なうのがベストです。もし近くでない場合は、より近い病院を探して行くしかありませんが、まずは近くで診察してくれる病院を探してみることが大事だと思います(もしくは獣医師に現場来てもらい処置をするやその他)。
現在、鹿を診察・治療してくれる獣医師はほとんどいませんが、日本の今後の獣医療の発展に向け、鹿やその他の野生動物を治療する獣医師さんが増えてくれることを願っています。
そして、行政は積極的に傷病鳥獣の救護に取り組み、思いやある社会構築に向けて尽力してほしいです。
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