今月8日に動物病院で健康診断と除角処置を行ったシカのすぐるちゃん(♂5歳)は、すっかり日常を取り戻しています。

 

後脚のふらつきは少し残っていますが、生活に支障ないほどに回復してきています。脚のふらつきの原因は、長時間同じ体勢による神経麻痺を起こしていた可能性が考えられることのことです。同じ姿勢での車での移動がとても負担になっていたと思います。

 

この麻痺は、馬で見られることがあり、自分の体重で麻痺をしてしまうそうです。回復の過程は個体によって異なり、麻酔から覚醒後、数時間で回復する馬もいれば、回復に6ヶ月かかる個体もいるそうです。

 

すぐるちゃんの場合、処置後2週間ほどでほぼ回復していることから、つらい思いは長くは続かないかもしれないと想像していますが、経過観察が必要です。

 

ところで、日本の動物観が他の国で住む人たちと異なることは、以前から指摘していました。そのことがよくわかるのはアニマルレスキューです。

 

野生動物のレスキューは、この社会では一般的ではありませんが、他の国では日常的に行われています。

 

困っている野生動物がいたら、一般の人たちや消防官、警察官、動物保護施設など動物を救護しています。アメリカなどでは、ハンターも困っているシカを助けることがあったり、シカを殺さない選択をしたりすることがあったり、日本のハンターとの異なる性質が以前から気になっています。

 

他の国で住む人と日本で住む人の動物への認識が違うことは、アニマルレスキュー以外からもわかることではありますが、その違いを生み出しているのは歴史なのだと思います。

 

日本では、他の動物種の個々の存在を尊重する概念は人びとにほぼなく、動物福祉も動物の生きる権利への理解も未発達のままです。

 

以前に交通事故に遭ったシカを保護し、そのシカを助けることができなかった時、火葬場に遺体の焼却をお願いしたところ、「行動する人がいるとは思っていなかった」と言われました。

 

道路でシカが動けなくなっていても、一般の人は行動できず、その場を立ち去るというのです。

 

しかし、わたしたちも一般の人です。行動するかしないかの違いを考えるとさまざまな理由がありますが、一定数の人は行動できればしたいな、と思っているのではないかと思います。

 

困っている動物の姿を見て、気の毒だと思う人がいるのはSNSの発信などからもわかります。

 

しかし、助け方がわからない、自分にはできるかわからないなど思うことから、レスキューに躊躇してしまうこともあるでしょう。

 

そのような時は、「自分(人間)と動物の安全を確保してどうやったら助けることができるか」を全力で考えてみてはどうでしょうか。

 

ひとりでは助けることができなくても、他の人の手助けで可能になることもあるので、困っている動物がいれば、動物病院や信頼する友人などに連絡してみるのもいいと思います。

 

他の国では野生動物保護センターがあるので、そこに連絡すればいいですが、日本には保護センターがほぼないので、自分たちで行動するしか方法はありません。

 

困っている者と出会った時は、助けることを前提に全力で動物たちと向き合いたいとわたしはいつも思っています。

 

懸命な思いでレスキューしても、保護動物の命を維持できない時も多くありますが、行動することに大きく深い意味があるのだと思っています。

 

助けることができなかった時は、レスキュー活動に悩み苦しむ時もあり、自己のためのレスキュー活動にならないよう、動物たちの利益を第一に考える活動を常に意識しています。

 

他の国では、大型動物もサクッとレスキューしているので、わたしたちにもきっとできます。

 

この国の動物観を個々の動物の存在を尊重した思いやりあるものに変えていけることができるといいなと思います。

 

スペインの山火事の被害にあったシカに水をあげる消防官。やさしいですね~。

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