今期最大の寒波というだけあり、わたしたちが住む地域でも日中マイナスの気温になっていてイヌたちは室内でまぁるくなって寝ています。シカたちは庭で休んでいます。

 

先日、長野県小諸市の産業振興部 農林課 林務係の竹下毅さんに錯誤捕獲された動物の放獣の方法の要望を電話で行いました(竹下さんへの要望は今回で2回目です)。

 

竹下さんは鳥獣担当の方で、錯誤捕獲した動物を放獣する作業を行っています。くくり罠にかかったカモシカを竹下さんらが放獣する動画を見たことがあり、その方法が罠にかかった動物の精神と身体をないがしろにするものだったので、わたしはひどく動揺したのです。

 

放獣のためにカモシカなどに麻酔をしますが、麻酔投与の方法は、長い棒の先に麻酔薬をつけたもので、棒をカモシカに向けて突き刺すというものです。

 

当然カモシカは恐怖で逃げようと身体を大きく動かします。そのため、くくり罠にかかった脚はちぎれたり、切れたりします。

 

罠にかかった動物を罠から解放するために第一に行うことは、罠にかかった動物の身体の安全確保です。

 

具体的に述べると、カモシカであれば改良した吹き矢を使うか、厚めの毛布でカモシカの全身を覆い、カモシカの動きを静止させて麻酔を打つなどです。

 

人間の安全を考慮し、竹下さんは棒で麻酔を突き刺す方法を採用したのかもしれませんが、動物の安全を確保した方法であれば、人間の安全も確保できるものなのです。人間の安全だけを考えていると相手が傷つくのは当然ですよね。

 

我が家は動物を救護する時、動物の身の安全確保を第一としています。その結果、わたしたちの身の安全も確保されます。相手の立場に立ってよく考えることが肝要です。

 

放獣には麻酔銃を使用するときもあるそうで、麻酔銃の威力などの話もして、場合によっては動物の内臓等を損傷させることがあるので、麻酔方法は吹き矢に変更してほしいと要望しました。

 

くくり罠にかかった動物の傷について聞くと、ひどい傷を負うこともしばしばあるということです。治療されているのか問うと、「野生動物に手をださないのが原則」と竹下さんは言い、罠で傷を負った動物は救護しない姿勢を示しました。この考え方はこの国の考えです。

 

政府は個々の動物たちの存在を切り捨て、生物多様性の保全という観点から個体群を見るようになったのです(=個体数管理を行う)。

 

個々の存在を重んじて救護するは「愛護」で、負傷した野生動物は自然の摂理と捉え救護しない考えを「保護」と言うそうです。

 

話はそれますが、「愛護」という概念は、人によって千差万別なもので、客観的なものとは言えません。人によって捉え方がさまざまにある「愛護」は、法律などの用語に使用するのはわたしは適切ではないと考えています。他の国のように「動物福祉法」「動物虐待禁止法」など、法律の目的とする用語を使用のがわかりやすくていいと思っています。

 

話を戻すと、国は自然環境(生物多様性・生態系保全)の管理(=保護)という名目で野生動物の個体数管理を行い、無数の動物を殺傷しています。

 

最大の圧力をかけて、野生動物への介入をしているにもかかわらず、野生動物への介入は原則しないというのはどういうことでしょうか?

 

人為的に傷ついた動物も「そのままに」を行政は強硬に主張していますが、言い換えると「放置」です。

 

人間が動物を傷つけておきながら、治療や保護をしないで放獣(放置)とはあまりにも身勝手で無責任な考えです。

 

罠は無差別に動物を殺傷します。それを知った上で罠を使用している人間の罪です。

 

「駆除」政策に没頭するあまり、わたしたちは社会の弱者に対する気遣いや共感、思いやり、責任など欠落しているとしか思えません。

 

研究者は生態系保全を持ち出して、最大の問題としてシカを取りあげて個体数管理を勧めていますが、最大の問題は人間活動でしょう。

 

生態系の破壊、種の絶滅を回避したいのなら、わたしたち人間の活動を自然環境やそこに棲む動物たちに配慮あるものにしなくてはいけません。

 

政府や行政の方針によって、野生動物は「助けなくてもいい」「助けるのは悪」というマインドが醸成されます。

 

人びとに野生動物を救護させない方向をあらわにしているこの国は至極冷淡です。

 

人間はかかわる動物に対して、動物の利益を考え実行するという責任を持つべきではないでしょうか。

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