今日は犬と鹿たちのお世話を同居人Kにお願いして、わたしは鹿の研究者、立澤史郎氏(北海道大学文学研究院助教)の講演を聞きに行ってきた。

 

鹿を長年研究している立澤氏の講演を聞き鹿のついて学びたいという知人も会場に来るはずだったが、講演が始っても来ないので「どうしたのかな?」と思っていたら、あってはいけないトラブルに知人は巻き込まれていた。ここで詳細は書けないが、わたし自身大変おどろく出来事であり、「このようなことが起こる現状では日本の自然環境や野生動物は守れない」と思った。

 

立澤氏の講演では、野生動物の問題は人間社会の影響抜きでは考えられないことや、奥山の開発が野生動物に多大な影響を与えていることなどが語られた。

 

奥山は野生動物が生活して存続していくための非常に大事な場所である。

 

その場所が開発されたことにより、野生動物は過去に見ないような行動を行うようになった。

 

野生動物が通常しない行動をするのは野生動物たちにとって環境が「異常」ということだ。

 

立澤氏は奥山が開発されたため鹿たちが街に姿を現すようになったと語り、奥山の回復の必要性を語られていた。

 

コアエリア(奥山)→バファー・ゾーン(緩衝地帯)→トランジション・エリア(移行地帯)と分け、トランジション・エリアで人間は活動をするということだ。

 

野生動物と人間との間に乗じる問題解消には、緩衝地帯は非常に重要だとわたしも思っている。

 

農業「被害」については、鹿が作物を食べるまえに防除することが鉄則であることも立澤氏は語られていた。このことも、わたしは重要視している点で、鹿や猪が作物を食べる前に農作物や苗木などを適切な方法で防除する必要がある。

 

作物などを鹿たちが食べると鹿たちはそれを学習するので、再び田畑などに鹿たちは訪れる。そうならないようにまずは、田畑や苗木に防除柵を設置をしてから作物などを植え付ける。

 

立澤氏は、自然環境が鹿の個体数を調節する話もしてくれた。鹿の生息地の食糧生産性が低いと出生産が下がり死亡率が上がる。この作用で個体数が一定の数に保たれる(環境収容力)。

 

立澤氏の話で興味深かったのはグルーミングが上手なオスがメスに好かれるという話だ。

 

鹿たちは顔や体にダニなどつく。グルーミングがうまいと吸血虫を取りはらうこともできるという。

 

グルーミングが上手だとグルーミングを受けている相手は心地よく感じ、グルーミング上手なオスは好かれやすいだろうとわたしは思っている。

 

他に興味深かったのは鹿の社会にはルールが存在し、鹿たちは相手を傷つけない活動を行っているということだ。

 

オス鹿には角があるが、その角は相手を傷つけるためにあるのではなく、角を見せ合うためにあるということだ。

 

時に繁殖期などにはオス同士、角を使い力比べをするが、相手がバランスを崩した時点でその力比べは終了する。

 

オス鹿たちは相手が傷つかないためにも、やりすぎない力比べをしているのだ。

 

なんと平和的な種だろうかと思う。

 

最後に気になったことがあった。

 

それは鹿の栄養状態に関する話だ。

 

鹿の栄養状態が悪くなると尾鏡(びきょう:白いお尻の毛)の位置が下がり、腰骨が浮き出るという。

 

この状態が我が家の鹿のすぐるちゃん(♂5歳)の状態なので、すぐるちゃんはやはり栄養がうまく吸収されていないのではないかと思った。

 

すぐるちゃんは秋に高度医療提供病院で健康診断を受ける予定だが、その時に栄養状態など健康に関わる全てのことがわかるのを期待している。

 

立澤氏の鹿の観察記録をもっと聞きたかったが時間が決まっていたため、ほんの一部しか聞くことができなかったので残念だった。

 

今後、話を聞くことができる機会があればうれしい。

 

鹿や他の野生動物たち、自然環境の研究が進み鹿たちの濡れ衣がはがれる日を願い、科学を重視した活動を行っていきたい。

 

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