風が強く体感気温低めの中、犬たちは張りきって散歩に出かけたが、犬のひよりちゃん(♀8歳)が途中からソワソワし始めたので、「今日は早めに帰らない?」と聞いてみた。ひよりちゃんは「もう少し歩く」と言い、歩きはじめたがソワソワが増してきたので、帰宅ルート提案しながら最短距離で帰宅した。

 

風が強い日は、ソワソワして落ち着かない散歩になることもあり、こういう日は散歩を早めに切り上げる提案をしている。わたしがひよりちゃんに道の提案をしなくても、ひよりちゃん自身、散歩を早めに切り上げる日もある。

 

先日、北海道新聞で「クマ出没・駆除 市民で防ぐ 自然保護団体『熊森協会』道支部が発足『追い払い犬』育成へ」という記事を読んだので、この件につき熊森協会に問い合わせをして、担当者と話をした。

 

ベアドックを採用するにあたり数々の問題があるのでそれを熊森協会に伝えたのだが、「じゃぁ、岡田さん、熊も犬も傷つけない方法を教えてください!」と言われたので、犬を使うという安易な方法ではなく根本的解決策を考えてほしと言い、他の国で野生動物との問題策として採用されている緩衝地帯の話を伝えた。

 

このブログで「追い払い犬」の問題点を何度が取り上げているが再度まとめたいと思う。

 

【問題点を大きく言うと以下のようになる】

犬に身体的・精神的苦痛を与え、QOLを著しく低下させる

●野生動物を傷つける。身体的・精神的苦痛(ストレス)を与え生活をより厳しいものとする(また犬も傷つく場合がある)

●人的被害やペットなどへの被害が発生する

●犬を利用することで根本的解決策に焦点が当たりにくくなり、問題解決から遠のく

 

熊を追い払う犬を養成している施設があり、熊森協会はその施設と情報共有なども含め協力していく意向であることを担当者が言っていた。

 

その施設について調べると、家畜化された犬と野生のオオカミを交配させたウルフドック(オオカミ犬とも言う)を熊を追い払う犬として訓練しており、この施設の人は捕殺肯定をしていた。その施設と熊森協会は協力するとい意向に驚いた(捕殺される熊を極限まで減らしたいという考えが同じであるということから)。

・現状は、熊森でベアドックを使って被害対策を行っておらず、今後も現れないだろうということだが、検討はされているということだ(ちょっとこの熊森協会の返答はよくわからない・汗)。

 

熊森協会に追い払い犬の養成方法を伝えると、「犬に苦痛を与える方法で養成しているか直接聞いたらいいですよ!」と言われたので、その施設のサイトやFbなどで調べることにした。

 

調べると、犬に対し服従訓練を行う書き込みがあり、未だにアルファシンドロームという語を使用していた。アルファシンドロームは現在、死語になっているので久々にみた(汗)。

 

犬に対し、現在も服従訓練(強制訓練とも言う)を行っていることやアルファシンドロームを語っていることから、施設の犬に対する知識度が伺える(犬に対する知識のアップデートが行われていないし、動物福祉意識の欠如も伺える)。

 

服従訓練は犬に多大な苦痛や恐怖を与えることから、批判がとても大きい。

 

数年前NHKで服従訓練の「しつけ」の放送がされた。その時は、多くの人たちの批判が巻き起こり、獣医師関係機関が声明文を出していたのを記憶している。

 

服従訓練は犬の心も身体をも壊す。犬に人間との主従関係をわからすために、犬に苦痛を与える器具を使用されることは珍しくない。

 

その器具について、友人が記事にしていたので興味のある方は読んでほしい。

 

●記事↓↓↓

 

犬が痛みを伴う器具の使用については、ドイツが新動物福祉法で使用を禁止した。

 

日本でも、犬が痛みを伴う器具の使用・販売を禁止するようにとの声があるが、まだまだ少ないのではと思うので、みんなでがんばって大きな声にしよう!

 

犬や猫たちに対しての福祉意識や虐待防止意識が高まってきている今日、動物に対して苦痛を与える行為は隠されていることが多い。

 

訓練所で犬が死んだという話を何件も聞いているし、実際に犬に痛みを与える器具の使用も知っている。さらに、その器具をわたしも進められたことがある。

 

熊森協会担当者は、ウルフドックを繁殖させている施設の人と犬について「人と犬の信頼関係を感じた!」「犬を大変かわいがっている」と言っていたが、服従訓練(主従関係であること)を行っていることをしっかり理解しなくてはいけない。

 

このようなことに非常に厄介だと思うのが、ロンダリングだ。

 

犬が人間の命令を聞く、犬が飼い主に従順である=信頼関係ではないということは、ブログで何度も書いてきている。

 

信頼関係とは、犬を信頼し犬を尊重し対等にかかわることで築き上げられる(犬に痛みや苦痛などを与えたり、犬を人間の命令に従わせたりして犬を人間の支配下に置くのは信頼関係ではない)。

 

服従訓練を行っている時点で、主従関係となることから犬と人間の信頼関係が構築することはまずない。

 

野生動物を追うように訓練された犬は、長期的な慢性的ストレスを抱えるため、冷静な判断ができず、興奮しやすく攻撃的にもなりやすい。さらに犬は他の問題も抱える(精神の崩壊や体調不良など)。

 

その状態で、犬が実際に野生動物を追うと興奮が興奮を高め、自制心を失うことが多発している。猟犬などによる人的被害やペットなどへの被害が全国的に起きているのは当然のことと言える。

 

野生動物を追い払う、もしくは殺傷するよう訓練された犬が実際、野生動物を追っている時、犬の自我を取り戻すために電気ショックを与えると聞いたことがある。それだけ、犬は興奮し混乱しているのだ。この状態を犬に苦痛を与えていないと言うならばなんというだろう。

 

さらに、モンキードッグやガンドックなどの界隈は猟友会と繋がっており、モンキードック養成については行政から補助金が出る構造になっている(行政と業者の癒着)。

 

記事には「ベアドッグには国天然記念物の北海道犬を採用して『犬の血統維持とヒグマ保護』を両立させたい考えで、当面は先進地視察や勉強会を重ね、養成所設立の時期など計画を具体化させていく」。と書かれていることから、危うい方へ向いていることを危惧する(このことについては話が長くなるので今回記事に書かずにおく)。

 

熊森協会がベアドックを育成するということは、このような(権力の構造)権力に取り込まれたということではないだろうか・・・。それを目の当たりにしているという感じである・・・。

 

根本的解決ではなく、犬や熊、他の野生動物たちを傷つける安易な方法を採用しようとしている熊森協会に声を届けたが、「協力しなくてはいけないところは協力しなくてはいけないかな」ということなので、これ以上わたしからは何も言えることはない。

 

熊森協会はベアドック全道展開を目指すということだが、熊の行動域を犬の利用で制限することの問題もある。

 

犬に追い立てられた野生動物たちは、一時的に移動をしたり、その場に脚を運ばなくなったりするかもしれないが、全道で行うことで野生動物は限られた自然環境に閉じ込められることになる。そうなると環境収容力の働きもあり餓死などで死亡する個体も出てくるのではいだろうか。熊を捕殺されたくない(個体数を減らしたくないという)熊森協会の思いと逆のことが起こりうる可能性もある。

 

ちなみに、ベアドックについては、「カレリアンベアドック」という実猟犬がいる。導入されたプログラムを通じて、米国、カナダ、日本での人間と熊の対立を減らすために使用されてきたということだ。

 

この、カレリアンベアドッグという犬は、非常に慎重な扱いでなければならないという。熊をも殺す実猟犬であることから、カレリアンベアドッグの使用場所は限定されるだろう。日本には全く向いていないが、日本でカレリアンベアドックを使用して熊の追い払いをしている団体があった。その団体が行う熊の追い払いは、犬をリードに繋いだまま熊を追い立て吠えるというものだった。犬をリードに繋いでいることから、犬と熊が闘うことは回避できると思うが、追い立てられ犬に吠えられた熊は恐怖など多大なストレスを受けることになる。カレリアンベアドックを使用した追い払い犬について、動画などを見ると訓練は強制訓練ではなく、おやつを使用した方法を採用しており、犬は落ち着いていた。一方、ウルフドックをベアドックとして使用している施設の犬は興奮しており毛並みも悪く慢性的ストレス状態に置かれている様子に見えた。

 

どちらにしても、犬を利用して行われることや、熊・犬共にストレスを与え危険が及ぶベアドック採用にはわたしは反対だ。

 

野生動物を保護する団体が、野生動物に害を与える対策の採用を検討しているという現実に落ち込むが、熊森協会に動物福祉の観点がないということだろうと思う。そのことは熊森協会が飼育している熊のとよさんの飼育環境からもわかる。

 

熊森協会との話は続きがあるので明日書こうと思う。

 

人間中心的考えではなく、動物たちの目線、立場になり本質に目を向けたわたしたちの取り組みが求められているのではないだろうか。

 

わたしたち人間は、野生動物たちの生息地にどんどん足を踏み入れることで、野生動物と人間との問題をさらに生みだしている。

 

わたしたちが熊の家(生息地)に住みだしたことやリゾートなどで利用していることを理解しなければならないのではないだろうか。

 

現状でも野生動物たちは非常に苦しい生活を送っている。その野生動物たちをこれ以上苦しめることは行わないでほしい。本質に目を向け平和的解決策を考えられるわたしたちになろうよっと思う。

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●鹿たちを保護してからしばらくブログを書いてきて、多くのことを学んできました。もちろん、これからも野生動物や自然環境、社会と動物の関係性について学んでいきたいと考えています。

 

人間活動が拡大していく中で、野生動物とのかかわりについてこらから特に課題となってくることから、わたしが鹿たちを保護・レスュキーしたことから経験し学んだことを、少しでも多くの方たちと共有をしたいと思っています。

 

そして、みなさんの意見を聞いたり、動物に関してのお話をしたりしたいと思っていますので、質問や意見などありましたらコメント欄やアメブロメッセージ欄、もしくは下記のお問い合わせフォームに気軽にメッセージを届けてくださるとうれしいです。

 

・お問い合わせフォームはこちら→https://ws.formzu.net/fgen/S41599574/

 

みなさん一緒に野生動物たちの現状や犬やその他の人間と関わる動物たちの課題について考えていきましょう!

 

WDI代表 岡田友子