朝方から雨が降り、足元がしびれる寒さだったので、今日は犬たちとわたしは室内でゆったりすごしていた。

 

鹿たちは寒い中、庭に出てそれぞれの時間をすごしていたが、鹿ののぞみちゃん(♀推定4歳)は雨で濡れないテント下で休んでいた。

 

鹿のすぐるちゃん(♂4歳)は、テント下に入らず、雨にあたる場所で、身体の毛膨らませ休んでいた。テント下はのぞみちゃんに譲っているやさしいすぐるちゃん。

 

すぐるちゃんは、身体が雨で濡れすぎると室内へ入ってきて、わたしに「身体、拭いてください」と言いにきていた。

 

身体を拭かれることが苦手な犬や他の個々動物たちもいるが、すぐるちゃんはそうではないようだ。

 

ところで、わたしたシカやその他の野生動物に言われていることの誤解を解いていきたいと思っているが、どこからどのように進めていくのがよいのかを考え中だ。

 

どこにいても「害獣」とレッテルを張られた動物種たちは、悪魔化され、人びとから嫌われる存在となっていることから、「シカとの共存」には聞く耳を持ってくれないことが多い。

 

シカや「外来種」を含め、他の野生動物種たちは、この地球環境に不可欠な存在なのだが、それが伝わらない現実がある。

 

このブログを読んでくださっている方は、動物や自然環境との共生などに関心をお持ちの方だと思うが、中にはこのブログを不快に思う人も読んでくれているかもしれない。

 

不快に思っている方も、シカや他の動物が直面していることから、この社会で起こっている諸問題を一緒に考えてみてほしいと思っている。

 

前書きが長くなってしまったが、今日は「シカは生態学的問題のスケープゴート」であることの話をしたい。

 

米国人道協会(HSUS)の記事にシカの人口問題が書かれている。その中に「ある地域に対して何頭のシカが多すぎるかという概念は、主観的なものである。シカの密度は過去にみない高水準にあるが、それ自体にあまり意味がない」と書かれている。

 

つまり、シカが何頭いようと、生物学的に大きな問題の本質ではないということだ。

 

森林の劣化をシカの「せい」にするのは簡単であるが、森林はさまざまな影響を受けており、そのすべてをシカのせいにしないことが重要であると語られている。

 

森林は、酸性雨、虫、病気、森林の分断、汚染物質、土壌の質の低下、動物の採食、移住種、気候や天候、開発など様々な影響を受けている。

 

わたしたちは、過去に見た自然環境を望むかもしれないが、それを基準に物事を進めることを問わなくてはいけない。

 

自然環境は流動的であり、過去や現在の環境が永遠と継続することは、現在の状況から考えにくい。

 

生態系保全には「あるべき姿」という自然環境を基に進められているが、そもそも、そのあるべき姿が健康な自然環境であるかはわからない(綿密な研究で明らかになりわかることがある)。

 

日本では、シカが生態系を破壊するとし、シカを非常によくない生き物であるかのように言われているが、エール大学森林学部の研究で、シカが森林に与える影響を調査した結果、「シカの密度はコネチカット州西部の樹木再生の減少や植物多様性野損失の主要因でないことが判明した」。

 

そして、シカ狩りが「ヘビやサンショウウオ、両生類、多くの無脊椎動物に意図しない悪影響を及ぼす可能性があることを示す調査もある」。

 

さらに、シカの採食は鳥類の営巣地を変化させるが、直接影響を与えているのは、越冬地の破壊や広範囲の農薬散布、汚染落葉樹林の破壊と開発、ガラス窓、猫による死亡、異常気象、ウィルスなどであり、シカが森林郡に与える影響は、こうした要因の一つに過ぎずないということだ。

 

シカの活動は人間の活動に比べ、非常にささいな活動であることから、人間活動が他の様々な種に悪影響を与えて、生態系を破壊していることは確かで、その活動が自然生態系的問題の主原因である。

 

シカの採食は目に見えやすいことから、シカが票的にされ、政治利用されている。

 

シカをゴーストケープにする社会構造が非常に問題である。

 

なぜなら、「事実はどうでもよい」という発想の基、生態系回復活動などが現在行われているからだ(それに加え、このようなことを「普通」になっている社会には問題がある)。

 

非科学的な活動は、本質から目をそらし、人びとの感情を逆立てし、争いや暴力を生みだすことが多い。

 

わたしたちは、非常に複雑な生態系を科学を通じ、少しでも知る努力をしなくてはいけない。

 

シカを生態学的問題のスケープゴートにするのはやめ、現実をしっかり見て、綿密な科学的根拠を基に考察する社会を構築していかなければいけないと思っている。

 

参考文献

Are deer responsible for biodiversity loss snd forest-growth failures?

Deer are scapegoats for larger ecological problems The Humane Society 、(最終閲覧日:2022年1月11日)。

 

 

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●鹿たちを保護してからしばらくブログを書いてきて、多くのことを学んできました。もちろん、これからも野生動物や自然環境、社会と動物の関係性について学んでいきたいと考えています。

 

人間活動が拡大していく中で、野生動物とのかかわりについてこらから特に課題となってくることから、わたしが鹿たちを保護・レスュキーしたことから経験し学んだことを、少しでも多くの方たちと共有をしたいと思っています。

 

そして、みなさんの意見を聞いたり、動物に関してのお話をしたりしたいと思っていますので、質問や意見などありましたらコメント欄やアメブロメッセージ欄、もしくは下記のお問い合わせフォームに気軽にメッセージを届けてくださるとうれしいです。

 

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WDI代表 岡田友子