今日は風がおさまり雨も止み、日中は晴れ間が出ていたので比較的すごしやすく、犬たちも散歩後は庭で休んでいた。どんな日もあるが、天気がよいとやはり気分もよくなるのはわたしだけではないようで、犬鹿たちも天気がよいと活動量が増え、庭の探検をしている姿をよく見る。

 

先日、熊森協会東京支部がツイッターで、2頭のオスジカの角にロープが絡まった記事をアップしていた。

シカの角に漁網が絡まり、離れられなくなった2頭のシカは、救いの手を差し伸べられず、半月ほど後に変わり果てた姿で発見されたという。どれほど苦しかっただろうかと思う・・・。

 

北海道新聞記事にはこのシカたちの救護について、「『麻酔銃の使用は申請が必要で、発見し申請してもすぐには使えない。また、体の大きな雄シカに近づくことは難しいでしょう』」と書かれていて、「だから助けられない」というものだ。

 

しかし、「助けるにはどうすればいいの?」と考えるべきではないだろうか。

 

麻酔銃使用を申請してすぐに使用できるように手続きのシステムを変更し、動物とかかわるスキルを持った人が数人いれば助けることができる。

 

日本では「野生動物(や他の属性の動物)を危険だ(何するかわからない)」という偏見が強い傾向にある。

 

野生動物については実際、「危険だ」ということが社会で長期にわたり繰り返し発信されていることから、人びとの認識がそうなるのは納得がいく。

 

「危険だ」と思っていると当然、救護の弊害となる。

 

危険だと思う認識は、なかなか払拭できないと思うが、動物たちのことを学ぶと少しは「危険ではないよね」「大丈夫よね」と思えるのではないだろうかと思う。

 

たとえば、野生動物を含む動物たちは、他の動物の察知能力に優れている。そのため、相手が自分に危害を加えるかそうでないかを瞬時に判断できる。このことから、救護される動物は人間が行おうとしていることの状況を判断し、救護活動に協力してくれることが非常に多い。野生動物であってもこれは同じだ。このようなことを知れば、野生動物たちへの恐怖は少し和らぐのではないだろうか?

 

以前、角がネットに絡まったオスジカの救護をしたが、その時、シカさんは救護作業に協力してくれた(ジッとしてくれていた)。もちろん、最初は恐怖対象であるわたしたち人間が近づいてくるので恐怖からパニックになり、身体を力強く動かしていたが、わたしたちが救護しようとしていることを理解してからは作業がスムーズに進んだ。

 

アメリカやカナダなどの他国でも、人工物に角や脚、時にはオスシカ同士の角が絡まり、身動きできないことが頻繁に起こっている。しかし、発見されると救いの手が差し伸べられる。

 

シカが子どもであれ、身体が大きく立派な美しい角が生えているオスジカであれ、麻酔をしないで救護される場合もある。

 

なぜ、それが可能なのか?

 

それは、救護する人間がシカのことを(過度に)危険な生き物として見ていないことや、動物に対しての観察力・想像力・状況判断能力があるからである。

 

わたしたちもそうだが、犬を含め動物とかかわる際は相手の様子を慎重に観察し、動物を怖がらせずわたしたちはどう動けばいいのかを考え、相手に合わせて行動やその他の事をする。

 

たとえば、相手が音に敏感に反応するなら、声を出さずジェスチャーで人間同士やり取りをしたり、音を出さないように静かにゆっくりと作業を進めたりする。

 

海外のレスキュー動画を見ても、救護に向かった人間は動物の行動や様子に合わせて動き、双方の安全を確保しながら落ち着いて作業をしている。

 

シカの角にロープが絡まったとき、救護に向かった人たちは必ずロープを全て取り外すことにはいつも感心する。そのためにはロープを切る順番なども考えなくていけないからだ。ロープを切る場所や順番を誤れば、角にロープが残ったままシカが立ち去って行く。残ったロープがさらに問題を引き起こす可能性があるので、全て取り除くのがベストだ。

 

先ほど見つけた、シカの角にロープが絡まり身動きできない2頭のシカには麻酔(もしくは鎮静剤)が行われていた。投薬方法もシカに限りなく負担の無いよう、サッと行われていた。

 

●シカの様子を観察しながら適切に動く救護者たち。

↓↓↓

 

 

これが日本の場合だと、原始的な方法が採用されている。錯誤捕獲のカモシカをくくり罠から解放する際の麻酔方法はカモシカに非常に恐怖を与えるものなのだ。

 

「カモシカの身体に棒状の物を使用し、それをカモシカの身体に突き刺し麻酔をする」という方法だ。

 

これは、動物に対する人間の恐怖を示すものであり、また、カモシカを非常に苦しめる方法である。棒を突き刺されるカモシカは恐怖から逃げようともがき身体を激しく動かすので、くくり罠にかかった脚の傷がどんどんと深くなり、最悪、脚が引きちぎられるという事態になる。

 

このやりかたは、カモシカの身体的だけでなく、精神的苦痛をも軽視しているあらわれである。

 

話しがそれてしまったが、救護するならまずは動物たちのことをよく知り、動物との間にある溝を浅くしてみよう。「怖く感じる」ということは簡単にはなくならないと思うが、少しづつでも動物たちに歩み寄り動物たちとの距離を縮めてみてはどうだろうか。

 

そうして動物たちの距離が近くなったことにはきっと、今までに感じたことのない動物たちに対するすばらしい感情が芽生えていることだろうと思う。

 

動物たちはわたしたちが思っている以上に状況をよく把握し判断する。わたしたちが動物に友好的あり、礼儀正しくかかわることで動物たちはそれを理解してくれることがほとんどだ。

 

わたしや同居人Kは動物たちのことを信頼している。

 

もし、動物たちがわたしたちにケガを負わせることがあったら、それは、わたしたちの接し方が正しくなかったということだ(何かの要因が重なり事故(ケガ)が起こる場合もある)。

 

動物たちの様子や行動をよく観察し、わたしたちが動きを調節することでお互いの安全を保ちながら作業できるのは確かだ。

 

このことは、今まで出会い救護してきたシカやその他の動物たちが証明してくれているし、数々の動物レスキュー動画からもわかる。

 

繰り返しになるが、動物たちの動きや様子を観察して、わたしたちが動物に合わせて行動などを変え、作業をすることがとても大事なことなのだ。

 

最初から「助けるのは無理だろう」と決めつけず、「助ける方法」をみんなで考えよう。

 

それと同時に、野生動物たちが人工物で苦しむことのないよ、人工物の処理方法のルールやなどもうけ、自然環境にゴミを放置しないよう環境を整えていけるといいなと思う。

 

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