今朝はわたしが午前3時に目が覚めたので、いつもより少し早めに動き、みんなで早めの朝食を食べた。

山里は朝晩冷え込むが、まだエアコン暖房で間に合っているのでうれしい。

 

犬鹿たちはいつもより早めに活動を始めたので、昼間はよく寝るかと思いきやいつもと変わらず過ごしていたが、わたしは眠くてしかたがなかった(苦笑)。

 

ところで先日、出先で山の頂上にそびえ立つ風力発電を何機か見た。

「風力発電は自然エネルギーで環境によい」と聞くが、わたしはこの風力発電所を見て、どこが環境にやさしいのだろうか?と思った。

 

風力発電設備を整えるためには、それを輸送するための道の確保が必要あり、まず、そのために山の大規模開発がされる。

 

このことで、野生動物たちは移動を余儀なくされるだろ。

 

設備中には重機、行き交うトラック、木々がなぎ倒される音などがひどいだろうと思う。

 

完成後は、騒音・低周波音による健康被害やハードストライク(鳥の衝突)、土地の変化による動植物の生息・生育環境喪失の問題が国内外で顕在化しているという。

 

風力発電施設導入にあたり正確な影響評価が必要だそうだが、2012年に作成された資料には日本では研究事例が不足しており、事前・事後、実地区・対象区の調査も欠落していると書かれていた。

 

他の国、例えばイギリスでは風力発電施設設置後の鳥類の調査が行われ、発電所に距離が近いほど鳥たちの出現頻度が低く、明らかな忌避が示されたという。

 

ノルウェーにおける風力発電施設建設前後13年間の調査によると、「施設周辺におけるオジロワシの繁殖成功率低下が明らかになり、その原因は風車への衝突死による繁殖個体数消失に『撹乱』と『生息地改変』の影響が加わり繁殖地放棄が生じたため」と報告されたということだ。

 

わたしが見た風力発電所近くの住民は、「あの風力発電所ができてからシカたちを人里でよく見かけるようになった」と言っていた。

 

「風力発電が生態系に与える影響を考える」という資料には、「多くの鳥類にとって風力発電施設の影響は、建設工事期間にとどまらず、運用開始後長期間継続することが示唆される。たとえ施設建設による直接消失する生息地が小面積であったとしても、運用後に風車全体および管理者の入り込みが及ぼす視覚・騒音・振動刺激による『撹乱』が生息地の放棄を招き、結果的に『生息環境喪失』へ至ることに注意が必要である」と書かれている。

 

これは鳥類でだけではなく、他の種にも言えることではないだろうか。

 

米ハーバード大学に研究によると、「風力発電所を設置した地域の地表温度は0.54度、米本土全体の地表温度は0.24度上昇する」とのことだ。

 

米科学誌サイエンスに発表された研究によると、サハラ砂漠の一画に集中的に風力発電用タービンを設置した場合、「周辺の気温や降雨量、ひいては植生にまで影響を及ぼす」ということだ。

 

風力発電所による騒音の発生現は機械音と空力音(ブレードの回転に伴って放射される音)に分類され、音圧レベルは空力音が機械音よりはるかに超えているという。

 

人間でも風力発電起動による騒音や低周波音に耐え難いのに、聴覚や感覚が人間より優れている野生生物たちへの影響は大変大きいことは明らかだ。

 

地表温度が上昇することで土壌の微生物や生物の変化が起こり、植生は変化し、風車の振動によりモグラやミミズなどの土壌生物も移動をしてしまうのではないだろうか。

 

騒音や振動、温度の上昇以外に上記の環境変化が伴い中型・大型野生動物たちの生活形態も大きく異なるだろう。

 

陸上・海洋風力発電は、環境に直接負荷を与え、生態系の撹乱を起こし、地表温度まで上昇さ気候変動の原因になっており、風力発電は生態系全体に連鎖的な影響を与えている。

 

他の国では、風力発電設置工事を行う際は、「野生動物の(借りの住まい)生存地の確保を行うように」と書かれあり、すでに開発された土地で設置を行うなども書かれていたので、その点はさすがだなと思った。

 

このようなことを知るたびにいつも思うことがある。

 

他の国は人間活動が野生動植物に与える影響を長年綿密に調査し、そのデータを記録している。そして、人間活動を視野に入れ野生動物たちとかかわっている。

 

わたしたちの社会では、野生動物たちに与えるわたしたちの活動についてほぼ公にされず、いつでもどこでも野生動物たちを悪者にしたり、存在しない者と扱ったりして殺害までしている。

 

シカや他の野生動物たちは、現在わずかに残った生息地までも追われ、人里に脚を運んでいるその苦しみを知って理解してほしいと心から思う。

 

そして、他者に「暴力」をふるうことはやめよう。

 

野生動物たちがわたしたち人間によってどれほど苦しめられているかはこの社会をみれば明らかであり、その苦しみを減らしてこうとする社会こそわたしたち人間にとっても必要な社会であり、希望あるこの先の社会を構築していくのではないだろうか。

 

人間活動によって生活に困窮している野生動物を悪者にしたり、濡れ衣を着せたりしないで、わたしたちの問題はわたしたちがしっかり責任を持ち対象していこう。

 

野生動物たちは被害者です。

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参考文献

 

早矢仕 有子・白木 彩子・長谷川 理 「風力発電が生態系に与える影響を考える:趣旨説明」札幌大学法学部・東京農業大学生物産業学部生物生産学科・エコ・ネットワーク、(最終閲覧日:2021年11月11日)。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/hozen/17/1/17_KJ00008045256/_pdf

 

「風力発電も気候変動の原因に、環境負荷は太陽光発電の約10倍 研究」AFPBB NEWS、(最終閲覧日:2021年11月11日)。

 

中尾 徹「風力発電の環境影響」ウインドウズ オブ Wind(風の窓)、最終閲覧日:2021年11月11日)。

http://jwpa.jp/2011_pdf/90-32mado.pdf

 

Impacts of Wind Energy Facilities on Wildlife and Wildlife Habitat The Wildlife Society、(最終閲覧日:2021年11月11日)。

https://wildlife.org/wp-content/uploads/2014/05/Wind07-2.pdf

 

Impacts of Wind Energy Development on Wildlife The wildlife Society、(最終閲覧日:2021年11月11日)。

http://wildlife.org/wp-content/uploads/2014/12/TWS_Impacts-of-Wind-Energy-Development-on-Wildlife_Dec-2014.pdf