野生動物のPTSDについての研究記事を読んでから、考えることがいくつかあった。

 

野生動物のPTSDでの報告では、恐怖を経験した個体のストレスホルモンが子どもに伝わり、子どもの行動や生理機能に影響を与えると書かれていた。

 

ストレスホルモンが子どもに伝わるとともに、恐怖は遺伝子に記憶され、子どもにその恐怖は引き継ぐのだろうか?と思ったので調べてみると「特定の匂いを恐れるように訓練された雄の実験用マウスは、精子内のあるメカニズムを介して、その匂いに関連して受けた衝撃を後に生まれる雄の子孫に伝えることができるとする研究論文」について書かれた記事を見つけた。

 

AFPBB News記事、[雄の子孫に危険を「警告」する遺伝メカニズム、マウスで発見」に、ディアス氏と論文共著者のケリー・レスラー(Kerry Ressler)氏のチームはマウスの足に電気ショックを与え、サクラの花の匂いを恐れるようにして、そのマウスの子孫がサクラの花の匂いに反応するかを調べたそうだ。

 

子孫は母親の胎内にはおらず、桜の匂いを一度も嗅いだことがないそうだか、 「子孫マウスは、訓練を受けていないマウスの子孫に比べ、サクラの花の匂いに対して約2倍強い反応を示した。一方で、別の匂いには同様の反応を示さなかった」ということだ。

 

(サクラの花の匂いを恐れる)「子孫マウスの『M71』においてDNAの塩基配列には何も変化はなかった。ただし、この遺伝子には後成遺伝的な痕跡があった。ディアス氏によれば、この痕跡が遺伝子の振る舞いを変化させ、子孫の代になって『さらに発現する』原因となる可能性があるという。

 またこの後成遺伝的な痕跡が今度は、訓練を受けた雄マウスやその雄の子孫の脳に物理的変化を生じさせ、脳の嗅覚部位にある嗅覚糸球体が大きくなっていた。『これは鼻の中で、より多くのM71神経細胞が、さらに多くの軸索(神経突起)を伸ばすようになるからだ』とディアス氏は説明する」と書かれている。

 

 レスラー氏は「このような情報継承は、子孫たちが将来の環境で遭遇する可能性が高い特定の環境特性の重要性について、親が子孫に『知らせる』ための有効な手段の一つと思われる」と述べている。

 

これはすごく興味深いことで、生物の存続にはこの情報継承はとても重要なことだと思う。

 

恐怖を感じると、自分の体験からも、その恐怖が前身で記憶される感覚になる。それが自分の身体にどう残りどのような影響があるのだろうか?と思っていた。

 

トラウマ経験は生涯本人を苦しめる。野生動物のPTSDでは、トラウマが行動や生理機能に持続的に影響を与えると書かれていた。野生動物がPTSDを発症すると個体数が減ることから、錯誤捕獲で放獣されたクマやカモシカがいたとしても、その個体がその以前と同じ生活を送ることはできず苦しむだろう。

 

錯誤捕獲は放獣としたところで、種の存続に直接結びつくかは疑問だ。

 

罠にかかると(特にくくり罠)、無傷ということはほとんどないのではと思う。

 

罠にかかり、脚を失った者が繁殖行動や子育てできる確率は少ないのではと。

 

わたしは、STS(Secondary Traumatic Stress:二次心的外傷ストレス)だが、それでも、食欲低下、意気消沈、不眠、動悸、震えに冷えなどさまざまな症状がある。

 

恐怖はその経験した本人の生活を一変させてしまうことからも、わたしたちは誰かに恐怖を与えることはやめなければいけない。

 

与えるなら恐怖や痛み、苦しみではなく、思いやりややさしさ、配慮から生じる安心がいい。

 

我が家の鹿のすぐるちゃん(♂4歳)とのぞみちゃん(♀推定3歳)も大変怖い経験をしている。PTSDを発症していると見られる行動があることから、ふたりともつらいと想像するが、毎日懸命に頑張って暮らしている。

 

ケアという視点を常に意識し、絶対的な安心を感じてもらえるように努めたい。

 

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