今日はとても重要でとても興味深い研究発表が書かれた記事を読んだ。

 

・記事はコチラ→https://www.smithsonianmag.com/science-nature/do-wild-animals-get-ptsd-180978448/

 

野生動物のPTSDについての報告で、トラウマ体験をすると攻撃になることと、恐怖が個体数を減らすということが書かれている。

 

犬でもトラウマ体験をすると、攻撃的になるというのはある。昨日、脱走中のオオカミ犬が捕獲されたニュース動画が流れていたが、オオカミ犬さんはとんでもなく酷い扱いを受けて捕獲されている。

 

捕獲されたオオカミ犬の態勢や目などを見ていると、多大な恐怖を感じていることがはっきりとわかる。このオオカミ犬さんはPTSDを発症するのではないかと思う。本当に気の毒で胸が痛む。わたしたちと同じ痛みや感情ある者に対し、このような酷い扱いを容認している社会のあり方を問わなくてはいけないと思う。

 

野生動物のPTSDの記事には「多くの生物は、心的外傷を受けた後、行動や生理機能に持続的な変化を示します」と書かれている。

 

内容全てが非常に興味深いので、全部翻訳したのを書きたいが、長くなるので一部だけ書きたい。

 

「研修者たちは驚くべき結論に達しました。ウサギの数がピーク時から減少するのは、捕食者がウサギを食べ過ぎたからではない。別の要因もあるのです。捕食者に囲まれて生活することによる慢性的なストレスが、母ウサギの食事の量を減らし、子どもを産む数を減らしているのです。何度も肉食動物に追われる生活のトラウマは、トラウマを抱えた人の脳に見られるような脳内化学物質の変化を起こします。これらの変化により、捕食者がいなくなった後も、ノウサギは正常なレベルで繁殖することができません」。

 

ウェスタンオンタリ大学に所属するザネットとクリンチは「恐怖の生態学」と呼ばれる研究を行っており、彼らは、捕食者への恐怖が、他の野生の哺乳類や鳴禽類の出産や子育ての回数を減らす原因になることを発見した。

 

「恐怖を感じたハリネズミやスズメの子どもは、ストレスを感じたカマドウマの子どもと同様に、おとなになるまで生き延びることができず、繁殖に成功する可能性も低いのです」。

 

トロント大学の個体群生態学者であるブーンストラは、個体数の増加期と減少期に捕獲したノウサギの糞を検査したところ、母ウサギのストレスホルモンであるコルチゾール濃度が、捕食者の密度に応じて変化していることを発見した。捕食者が最も多く見られる時にストレスホルモンはピークに達したという。

 

そして、このことから「ストレスを強く感じた母親は、産む子どもの数が少なくなり、小さくなることがわかった。さらに、ストレスホルモンの濃度が母親から娘へと伝わり、捕食者がいなくなり、ノウサギが食べられる植物が豊富になった後も、ノウサギの繁殖率は低下した。ブーンストラ氏の調査から捕食者がほぼいなくなった後、3年から5年の間、ノウサギの個体数が少ないのは、このためである」と書かれている。

 

とても興味深い。

 

シカについても恐怖が出産率を低下させ、恐怖だけで動物の頭数を減ることが書かれている。なので、人間が森に入るだけで、野生動物に恐怖を与え個体数に変化をもたらすのではと。だからといって、むやみやたらと人間が森に入り野生動物たちに恐怖を与えてはいけない。

 

「心に傷を負ったゾウ」の話では、密猟や合法的な殺処分などで、目の前で母親や家族が虐殺されているのを目撃するゾウが多く、悲しいことに今、生き残っているゾウのほとんどがそうであるということだ。

 

アフリカゾウを研究している行動生態学者のグレーム・シャノンは「トラウマを経験したゾウでは、『成長してからの発達や行動に急激な変化が見られる』と指摘する」。そして、「ゾウは恐ろしい経験をした後、何年も経ってからも警戒態勢が続き、攻撃性が高まるという」。

 

シャノンが南アフリカの動物保護区でゾウの群れを追跡している際、一頭のブガという像がシャノンたちが乗った車両を足止めし、ひっくり返したそうだが、このブガの行動は、6年前に捕獲され移されたときのトラウマが関係しいるのではないかとシャノンは語っている。

 

「恐怖や怪我、喪失に対する人間の反応も、同じように進化した反応の一部であると考えられます。マウスや人間、さらにはすべての哺乳類や鳥類、魚類、一部の無脊椎動物の脳には、共通の基本構造があり、恐怖や喜びに対する反応も共通していることが、膨大な証拠によって示されている。恐怖を伝える脳の回路は偏桃体にあり、前脳が膨らんだヒト科の動物が誕生するずっと前に進化した構造である」。

 

このことからも、わたしたち人間と他の動物には連続性があり、基本的には同じということはわかる。

 

種が異なることで、種による容姿の違いや習性の違いがあるけれど、わたしたちが生きて生存を可能にしているよう、個々の動物種、個々にはわたしたちと同様に働く構造があり、生きている。

 

進化の連続性をはきちがえないようにしたい。

 

PTSD を発症すると本当につらい。野生動物を始め、他の動物種たちに人間が意図的に不必要な恐怖を与えないようにしたい(誤って恐怖を与えることはあると思う)。

 

この記事から、長年の疑問を知るきっかけになったので、そのことを明後日記事にしたい。そして、野生動物たちのPTSDから考えられることを書きたい。

 

明日は用があり、少し忙しくなるのでブログをお休みしますね。

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