今日も大気が不安定で残念な天気だった。わたしは正午前に歯科医院の予約を入れていたので、犬鹿たちにお留守番を頼んで出発した。COVID-19の発生を受け歯の定期健診には行かずにいたが、数年前に治療したとこがほんの少しかけたので、ほっといて悪化するのを恐れ病院に予約をした。完全予約制で歯科医はマスクにプラスチックのフェイスマスクとメガネのフル装備と対策をされていたのでちょっとホッとした。

 

鹿たちを保護するようになってから野生動物と人間の関係性を考えているが、日本と他国の野生動物やその他の動物種について調べていると、その違いにおどろく。

 

日本は動物に対して否定的で嫌悪感を持っている人がかなり多い。このことは、日常で出会う人たちの会話からもわかるし、SNSや報道、その他の情報からもわかる。

 

野生動物や外来生物と言われる種に対する報道などが、「害がある」や「危険」という内容の物が多く、それが生物に対し嫌悪感を抱くひとつのきっかけになっているかもしれないが、そこから偏見や差別が増し、反感や敵視がどんどんひどくなっているように思う。

 

しかし、その情報がそのまま受け取られ負の感情が出てくるのはなぜなのだろうか?

 

なぜ、生物を嫌うのか?を調べていると、虫に対してのおもしろい研究結果報告があった。

 

なぜ現代人には虫嫌いが多いのか? ―進化心理学に基づいた新仮説の提案と検証―」では、東京大学大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構の深野祐也助教らが日本全国13000人を対象としたオンライン実験とアンケート調査したそうだ。その結果は「①虫を見る場所が室内に移ったこと、②虫の種類を区別できなくなったことが、虫嫌いの強さと嫌う種数を増やす原因であることが分かりました」。ということだ。

 

現在人の虫嫌いは世界中でも見られることだそうで、このことが生物多様性保全が進まない一因と考えられているのだそうだ。

 

現代人の虫嫌いの研究結果は深野祐也助教らが立てた仮説を支持する結果だった。

↓ ↓ ↓

①「同じ虫の画像であっても、室内を背景にした画像を提示された回答者の方が、屋外を背景にした画像を提示された回答者よりも、強い嫌悪感を持つことがわかりました(図2)。これらは、都市化によって、野外よりも室内で虫を見る機会が増え、その結果虫に対する嫌悪感が高まる経路1を支持する結果です」。

 

・経路1→ 「嫌悪という感情が、病原体回避行動を生み出すための心理的適応であるという『嫌悪感の病原体回避理論』に基づいています。この理論では、嫌悪の強さは、対象の感染症のリスクに応じて変化すると予想されます。深野助教らは、都市化によって野外の虫が減る一方で、居住環境(室内)で虫を見る機会が増えると考えました。そして、食事や睡眠・休息を行う居住環境に侵入してきた生物は感染症リスクが高いため、侵入してきた生物を、野外にいる生物よりも嫌悪する傾向があるだろうと予想しました。つまり、都市化によって、野外よりも室内で虫を見る機会が増え、その結果虫に対する嫌悪感が高まるという経路です」。

 

②「虫の識別能力が高い人は、嫌悪を感じる虫(ゴキブリなど)と感じない虫(テントウムシなど)がはっきり分かれていたのに対して、虫の識別能力が低い人は、テントウムシにも高い嫌悪感を持つ傾向を持つことがわかりました(図3右)。これは、都市化によって虫の識別能力が低下することで、多くの虫を嫌悪するようになるという経路2を支持する結果です」。

 

・経路2→エラーマネジメント理論に基づき、「偽陽性(本当は危険ではないのに危険と判断してしまう)と偽陰性(本当は危険なのに危険でないと判断してしまう)のコストが、進化の歴史の中で非対称的であった場合、コストのかからない誤りをする方に判断が偏る傾向が進化すると予測しています。病原体に対する反応を考えた場合、偽陽性のコスト(=感染症のリスクはないのに対象を避けてしまう)よりも、偽陰性のコスト(=感染症のリスクが高いのに対象を避けずに感染してしまう)の方が圧倒的に高いので、少しでも感染症のリスクがあるものを避ける傾向があると考えられます。そして不確実性が大きければ大きいほど、この偏りが大きくなるだろうと予想されます。自然が失われがちな都市部の住民では、自然に対する知識が失われ、虫の種類を区別できなくなっているかもしれません。この状況では、エラーマネジメント理論によって、本来ならば避ける必要のない多くの虫まで嫌悪を感じている可能性があります。これが、都市化によって嫌悪を誘発する虫の種類が多くなると考えた理由です」。

 

この結果を見ると、都市化が進み生物を見る機会が少なくなり、種の個体を識別できず虫嫌いに繋がっているのがわかる。

 

研究結果は「①野外もしくは野外を感じさせる条件で虫をみること、②虫の知識を増やし、種類を区別できるようになること、が虫嫌いを緩和できる可能性を示しました今後、これらの可能性を実験的に検証する必要があります。また、この研究は、人間と生物多様性の関係を理解し、より良い関係を構築する上で、進化の観点が有効であることを示しました」とまとめられている。

 

この研究は虫に対してだが、他の種でも似たような反応ではないのかな?と思う。

 

大型野生動物については特に、街に住む人たちはかかわる機会がほとんどないで、個々種の生態など詳しく知る機会も少なく、個々の種がどのような種であり存在なのかという認識があいまいなもの(よくわからない存在=よくわからないからより嫌悪感が育つ)になっているのではないだろうか?

 

種を識別してその種についての知識を得ることで、地球自然環境における種の役割などや生活を知ることができ、個々の種を尊重することが育つのではないだろうかと思う。

 

ヨーロッパやカナダ、オーストラリアなどで自然環境教育を行われているのを見る。その中に、野外で野生動物の観察など日本よりも活発で、野生動物と人間の距離(認識の距離)が近く、オーストラリアでもカナダ、台湾などでも日常に野生動物たちがいるので、道端で出会ったり、庭にいたりすることからも野生動物たちが身近であることがわかる。

 

種を認識して身近な存在であるからこそ、大事に思うだろうし、野生動物たちの領域を尊重するといった考えも生まれてくるのではないだろうか。

 

わたしたちはそれぞれの種についてよく知り、注意すべき点を抑え、平和的な関わり方を学ばなければいけない。

 

クマやシカ、イノシシ、外来生物と言われている者たちは、危害性など悪く言われているが、それぞれの種が自然環境を豊かにすることに貢献しているのだ。

 

わたしたちに対して起こりうるネガティブな所だけにフォーカスしないで、もっと広く種を知り、深い知識を身に付けよう。

 

そうすることは、わたしたちにとってもとても大きな利益につながると思う。たとえば、野生生物の相互関係を知りそれらを守ることは、わたしたちにとっても必要な生存地を豊かにすることもつながる。

 

多種多様な生物が織りなす世界をわたしたちはもっと大事にしなくてはいけない。

 

これから、現代人が種を超えた広い世界で生きていけるように生物や環境の教育が充実していくといいなと心から思う。

 

幼い頃のひよりちゃん。

「わたしは『犬』!ぬいぐるみじゃないよー。種の違う人間と親しくもなれるけど、嫌なことしてくる人間からは逃げるよー」

 

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