昨日は海外の動物保護活動の頑張りに励まされていたが、河北新報ONLINENEWS「大繁殖のアライグマ、双葉で駆除難航 空き家すみかに子育て」という記事を読んで、人間の行為におどろいていた。

 

住民避難が続く、双葉町でアライグマが繁殖しているそうだ。

 

そのアライグマを県自然保護課の斎藤誠主幹は「避難指示地域はイノシシ被害が注目されがちだが、アライグマ対策も大事、難しいのは承知だが、地域からの絶滅を目指す」と語っている。

 

なんともおそろしいことかと思う。

 

人々の健康などを考えると、汚染地域への帰還は進めるべきではないとわたしは思っている。

 

野生動物に目を向ける前に他に目を向けるところがたくさんあるだろうと思う。

 

以前、福島でイノシシをどんどん殺している記事を読んでいた。

 

野生動物を殺すことから何が生みだされるというのだろうか?

 

人が生活しないない場所で野生動物は「有害」だ!と言い、とても多くの動物たちを殺しているのだ。

 

県自然保護課の斎藤誠主幹は「絶滅を目指す」と言っているが、これほどおそろしい言動に、この国のあり方の危機感が強烈だ。

 

日本は野生動物への敵対意識が非常に強い。それが外来生物であれば、さらに強くなる。

 

これはわたしたちの社会は非常に危険な状態であるということだと思う。

 

ひとたび「殺す」と決まると、容赦がないのだ。無慈悲にどんどんひどい扱いで殺されていく。

 

子どもであれ、子育て中の母親であれ、親子であれ、妊娠中であれ、殺す側からすれば、そんなこと関係がない。

 

殺すことに何も感じないということは、社会がよくない方向(苦痛が生産される社会)に向かっているのではないかと焦る(というか向かっているのだけれど・・・)。

 

ここで行われているこのような行為に対して、批判が非常に少ないので、この社会のあり方がそこからもうかがい知れる。

 

外来動植物に対して、最新の科学的知見は従来の考えではなく、外来、在来区別しないで考えることが言われている。

 

わたしたちが敵対している外来生物は、すべての種ではないが、実は自然生態系の回復に貢献しているのだ。外来生物は今わたしたちが思っているような悪者ではない。

 

先日、奈良公園のナンキンハゼ伐採について質問をした。その返事には質問に対しての回答がなかったため、意見を送ることにした。

 

それがこちら。↓↓↓外来生物をも含む自然環境、生態系について新たな科学的知見を上書きしてほしいと思う。

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2021年6月2日の質問に対して返信いただいた内容によると、「大正11年の名勝指定を受け、当時の景観や植栽樹種を指標にしつつ、公園の生態系や景観を適切に保全するために、整備を行っています」と書かれていました。

 

生態系は流動するものであり、大正11年頃の生態系を現代に求めるのは限りなく不可能なことではないでしょうか。

 

そして、生態系を適切に保全するために整備をするとのことですが、「適切な生態系」とはどのような生態系のことを示すのでしょうか?適切な生態系というのは人間が作り出す、もしくは管理できるものではなく、自然動植物の相互関係が生態系を生みだし形成してゆくものです。生態系というのはわたしたちの考えが及ばないとても複雑なものです。なので、わたしたちがよいと思い込んで行うことが逆に生態系に大打撃を与えることが世界各国でも過去行われてきました。現在は、最新の科学的知見により、今までの生態系保全の考え方の見直しが行われ、以前の考え方は衰え始めています。

 

アメリカのブラウン大学の新しい研究では、外来種が在来種を傷つけることなく新しい家で成功した理由を行っており、侵入種は在来動物と共存できないという概念に異議を唱えています。

 

現在では、自然動植物に在来種、外来種を区別せず、すべての自然動植物自体が健康な生態系維持に欠かせないと報告されています。そして、外来種は生物多様性の不可欠な要素であり、外来種は生物多様性に貢献していることが近年の研究で明らかになっています。

 

現在存在している自然環境を変化させることは、今の生態系に混乱を招き動植物に脅威を与える行為です。なので、乱暴な開発ではなく、現状を維持するということがとても大事になってきます。

 

そして、「ナンキンハゼは中国原産の外来種で、シカが嫌がって食べず、生命力がとても強いので、他の樹種が育たなくなり、生態系が崩れる危険があります」と書かれていました。

 

このことについて、先ほど申し上げたように、自然界では動植物の相互作用というのが必ず存在しています。その地で暮らす動物はその地にある食料となるものを食します。シカにとっては、外来種や在来種は生存に関係のないことです。「中国原産の外来種だから嫌がる」というのは人間の差別的な発想でしかないです。

 

シカをも含め他の生き物たちは棲んでいる場所で適応しており、その地域の環境に合わせて生存維持活動を行っています。

 

実際、奈良公園のシカたちがナンキンハゼをおいしそうに食べている報告があります。どれほどの個体がナンキンハゼを食べているかは不明ですが、その地にある、食べられるものを食べて生き延びるというのは動物行動学的にも周知されていることです。

 

食べ物が無い場合、多くの動物は食べ物がある地を探し移動をしますが、奈良公園という、人間都合でシカに関わる特殊な地では、多くのシカは奈良公園に縛り付けられている状態であり、そうでない状態では食べないものも食べ生存に繋げているのではないでしょうか。

 

そして、ナンキンハゼは生命力が強く、他の種が育たなくなり、生態系が崩れる危険があるとのことですが、このような考え方は先ほどに書いたように、自然環境保護先進国では見直されてきています。生命力が強いとされているナンキンハゼですが、言い換えれば他の種が容易に育生できない場所に根を下ろすことが多いということです。そのナンキンハゼは他の植物が育ちにくい場で育ち荒れた地の生物多様性に貢献している可能性が比較的高いと推測できます。

 

実際に現在の奈良公園の生態系を作り出している中にナンキンハゼがあります。それを伐採することは生物への暮らしに混乱を招き、生物多様性が減少することに繋がります。

 

生態系を崩しているのはナンキンハゼなはなく、わたしたち人間の活動です。

 

今後、自然動植物はより大きな気候変動の影響を受け、生態系が非常に大きく変化してゆく時代に入っています。気候変動が種を本来の行動圏から他の場所へ移動させる時代、大昔の景観や生態系を目標とするのは現代の流れと逆行しているのではないでしょうか?

 

生態系の保全は、生態系への全体的な影響で考えていくことを念頭に置き、地球自然環境や自然動植物の関しての最新の公平な科学的知見を取り入れ、生物の多様性に重視した自然動植物の立場で保全活動を行っていただきますようお願いいたします。

 

主な参考文献

高槻成紀『シカの生態誌』東京大学出版会、2006年。

クリス・D・トマス『なぜわれわれは外来種を受け入れる必要があるのか』原書房、2018年。ケン・トムソン『外来種のウソ・ホントを科学する』築地書館、2017年。

フレッド・ピアス『外来種は本当に悪者か?-新しい野生THE NEW WILD』草思社、2016年。

Brown University「Are invasive species bad? Not always, say researchers」Science Daily、(最終閲覧日:2021年6月23日)。

https://www.sciencedaily.com/releases/2010/05/100517111939.htm

 

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敵対意識は思考停止状態に拍車をかける。その状態では実際のことは見えないし理解もできない。

悪循環に陥らないためにも、わたしたちは公平さを大事にする社会を作っていかなければいけないと思う。

 

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