平岡昭利『アホウドリを追った日本人―一攫千金の夢と南洋進出』を読み、その内容が現在行われていることとリンクすることにおどろいています。

1875年に小笠原諸島を回収、翌76年内務省の所管とし、諸外国に対して再領有を通達、日本に編入したことから始まった、アホウドリの撲殺事業。1887年から何百万羽というアホウドリを撲殺し(他の鳥を含めると何千万羽)、羽毛をはぎ取っていたそうです。

・1933年になり、鳥嶋での捕獲が禁止され、1958年には天然記念物や国際保護鳥に指定。

 

アホウドリは無人島に生息していたため、人間を知らず、人間を怖がることがなかったので、簡単に撲殺でき、多すぎる個々の存在が犠牲になっています。

 

本書を読み、人間の欲深さやひどさなどをより知るとともに、海外の影響がなければ、アホウドリを絶滅させていたのではないかと思うと、アホウドリ撲殺事業は歯止めがかからなくなるものであったのだと・・・。

 

アホウドリの捕獲が禁止になってもその行為は止まらず、捕獲範囲を南に広げ密猟を行っていたのです。

 

本書でどれだけ残虐なことをしてきたのかを知ることができますが、現在も同じことが行われていることにおそろしいと感じます。

 

本書にアホウドリ撲殺事業についてこのように書かれています。

「生活のため、その鳥を捕獲しに、はて忘却したい事実であり、伝承されることはなかった」。

「まさにこれらの出稼ぎ労働者は、いわば忘れられた『棄民』といえ、また日本人による大量のアホウドリ『撲殺』という事実も、日本人自身が記憶に残したくない事実であった』(5ページ)。

 

この内容は、いま行われているシカやイノシシ(の殺害、ジビエなど)に言えることです。

 

社会に格差が広がり、貧困が増すと、動物利用に向かう人が多いということです。

 

実際、狩猟をしている人が「(殺害)している方がいい」と言っていましたし、犬を繁殖して子犬を売ると簡単に儲かるなど聞きました。

 

本書にも書かれているように、簡単な方法で利益を得ることができる、というのがそれを語っていると思います。

 

現在のシカやイノシシ、アライグマなど「害獣」と言われている動物の殺害は、儲けるために行う場合と生態系の保全を考えて行う場合、そして、残虐な行為自体を行いたいという場合などがあると思います。

・最新の生態系保全の科学的知見は外来種や個体数が多く見える生きものの殺害は生態系を悪化させ逆効果であると言われています。

 

シカやイノシシ(その他の動物)については、政府が「害獣」というレッテルを貼り事実関係なく、人々に他者の殺害を仕向けているという、信じがたいことが起きています。

・個体数や農作物被害などはその調査方法は信憑性に欠けるもので、数字に疑問が残ります。

 

アホウドリの撲殺事業について、ハワイ税関長は「羽毛をはぎ取った鳥を放置し、残酷きわまりない」(131ページ)。と警告をいていました。

 

他国は残酷性と生態系を考え、アホウドリやその他のトリを守る動きになっていましたが、その状況でもトリの撲殺をやめることなく行い続けたのです。

 

このことも現在とよく似ています。いま世界では、種問わず野生動物を守る動きになっているに対し、わたしたちの社会では保護施設もなく守る気すらなく、どんどん殺し撲滅する動きになっていています。そのことから、その種の絶滅を意識していることがうかがい知れますし、残虐性や生態系のことなど何も考えていないことがわかります。

 

そして、アホウドリ撲殺事業の労働者についてですが、食料もろくにない島に「置き去り」にされており、餓死状態でハワイ税関員に救助されています(他の島でも置き去りにされています)。

 

多方面からもこの事業がどれだけ悲惨なものであったか・・・。

 

社会の格差が広がり貧困が増すと、ここでもあっちでも動物利用が始まり、その行為はどんどんエスカレートしていきます。

 

格差の広がりや動物利用に歯止めをかけるのはここに住んでいるわたしたちひとりひとりです。

 

ひとりひとりが社会に参加し、わたしたちの社会も置き去りにされる者がいない社会へと変えていけるといいなと思います。

 

同じことを繰り返さない社会へを作るのもわたしたちひとりひとり。

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