心地よさそうに眠る鹿ののぞみちゃん。

同居動物たちに大人気のモフモフクッションです。

 

ボーダーコリー犬と鹿たちが平和に暮らしていることに時々、おどろかれることがあります。

ボーダーコリー犬と鹿に対してのイメージがどのようなものなのかが気になるところです。

 

 

ボーダーコリーと暮らしはじめた頃は、ボーダーコリーは牧羊犬だから運動を好み、その運動は欠かせないと本やネットある情報を信じ、それを実践していました。

 

しかし、犬たちの様子から「はたして言われていることは本当なのだろうか?」と思うようになっていました。

激しい運動や人間主導の運動から犬たちが満足しているように見えず、興奮や体の疲ればかりが目立っていました。

 

その頃、わたしは「犬種による違いって」という記事を読み、わたし自身の認識を改め直すきっかけになりました。

↑の記事には行動の発達についての解説が詳しく書かれてあります!

 

その後、わたし自身も本能に関する書籍を読むことができました。

マーク・S・ブランバーグ著者『本能はどこまで本能か』ではブランバーグ氏の「本能」についての考察に富んでおり、興味深かったです。

非常に深く考え、追及している内容なので、わたしの脳は解説を理解し、読み続けるのに少し大変でしたが(苦笑)、その追及からわかってくる事実に「ほー!すごい」となっていました。

 

 

ボーダーコリーでよく言われている「動くものを追いかける本能を持ち具えている」、とういことですが、車や自転車、バイクを追いかける行動は他犬種や他の犬たちも行っています。

わたしが実家で一緒に暮らしていた柴犬のゆかちゃんも動く車を追いかけたり、タイヤに歯を当てようとしたりしていました。

 

ボーダーコリーなどの牧羊犬は特定の目的にそって、犬のその行動が定着するように人為的交配により作り出されています。

定着するようにと交配されていますが、親が優秀な牧羊犬であってもその子どもたちがそうであるとは限らないのです。

 

これはどういうことなのかをブランバーグ氏は詳しく解説してくれています。

 

たとえば、ボーダーコリーが有用な牧羊犬として作業を行うには、個々の性質と生まれてすぐからの環境により、作業に適した行動が発現しなければならないです。

言い換えれば、生まれてきたボーダーコリーを作業に適した犬に作る、になるのではないかなと思いました。

 

動物は生まれた瞬間から学習が始まっており、その学習から動物たちは行動をし、その行動からまた次の学習をするといった具合に、行動(鳴くことも含む)や経験からの学習は続きます。

 

たとえば、子どもの世話を頻繁に行うマウスの母親とそうでない母親に生まれた子どもを入れ替えたところ、その子どもたちが母親になったときに行う子育ては育ての母マウスと同じ行動でした。

子どもの世話を頻繁に行う性質が遺伝的に子どもに受け継がれるというよりは、自分が経験してきたことの環境による影響が子どもの行動を形成していることがわかります。

 

本能については随分と長く論争が繰り返されてきているようですが、現在では、個々に具え持つ性質と環境の影響どちらも関係し、個々が形成されていくという考えであり、本能という言葉だけでは語りきれないことがよくわかります。

 

そして、上記にある川上さんの記事にあるよう、日本での犬たちの現状をきちんと知る必要があります。

 

犬種特性を語る際、ヨーロッパなどで実際に牧場で仕事を任されている犬たちと、わたしたちがかかわる犬たちとの環境は違いを念頭に置く必要があると思います。

日本では今の生後間もない子犬や子猫が、母親や兄妹と離されせりにかけられたり、個人に買い取られたりします。

母親や兄妹と生まれて間もない頃に引き離されることで、子犬、子猫は学習することが出来ず、本来の犬猫の行動はいびつに発展していきます。

ペットショップでは外界と隔離されたあの狭すぎる空間で犬や猫たちの心身が健全であり、健全に発達するとは言えず、小さい頃に経験したことはその動物の生涯によくない影響を与え、犬猫たちの苦しみは続きます。

犬としての学習ができずにいる状態の犬たちに対して、犬種特性ばかりを強調するのはおかしいと感じます。

 

車追いをするボーダーコリーとボーダーコリー以外の他犬種や他の犬がおり、車追いをしないボーダーコリー、他犬種、他の犬たちがいます。

 

ボーダーコリーだから車を追う、とわたしたちが言っていることは遺伝的というよりかは、環境による影響の方が大きいかと思います。

 

わたしたちが言っている「車追い」は日々のストレス、興奮や恐怖などから車追い行動の現れのこのことがほとんどではないでしょうか。

さまざまな要因があり、その発現のきっかけとなる状況は個々に異なると思います。

 

犬たちを観察していると、ストレスの蓄積により興奮しやすかったり、すでに興奮の回路ができていて追ってしまったり、車に対しての恐怖から吠えたり、むかったり(パニック)など、車との距離が近すぎることで犬自身が正常な判断ができていない状態であると思いました。

よく似た状況下でも犬が落ち着いての自分で状況判断できる状態では、反応、行動が異なっています。

 

以前に、友だちと暮らす同居犬(ボーダーコリ―ではない犬種)が車追いをするので専門家に尋ねたところ、「車を追わせてあげてください。車を追いたいという欲求を満たしてあげてください」と言われたそうです。

わたしは、ひっくりかえりそうなほど、驚きました。

車を追うことで犬はさらなる興奮、パニックに苦しみ、興奮する動きから同居人の手からリードが離れてしまうと犬の身が危険です。

 

友だちの犬さんは苦手な物や怖いと感じるものがあり、外に出ると緊張する犬さんです。

なぜ、その犬さんにこのようなアドバイスをされたのかはわかりませんが、もし、「車を追いたい」=「犬という種の求めているもの」=「本能」と捉えられてのことだとしたら、やはり犬に対して、犬は本能に従い行動する動物である、との決めつけからの誤ったアドバイスになると思いました。

 

たとえ、この犬さんの個々の「車を追いたい」という欲求を満たしてあげたいとのアドバイスであったとしても、「車を追うのはなぜか?」を考えることが抜けています。

そして、車を追いかけさせることで、犬さんにどのような影響を与えるのかも考えられてないです。

 

車追いを続けると、その行動はすぐに定着してしまいます。

一旦定着してしまうと、その行動をしないようにしてあげようと思っても、すぐには難しいです。

犬が動く車や単車などに反応しない距離を保てる(犬が安心できる)散歩コースや生活環境を整え、日々の負担(ストレス)を少なくしてあげることだと思います。

犬が車を追ったり、吠えたりしていときの犬の鼓動の大きさや早さ、呼吸の荒さ、体温、動きなどからも犬自身に負担があることはわかります。

 

近年の観察や研究などから、本能と言う言葉だけで、動物たちや動物の行動を説明するには無理があると思いますし、本能と言う言葉は都合よく使われていることが多いので気をつけたいところです。

 

わたしは本能という言葉はあってないようなもの、だと知りました。

そして、動物たちの行動の起源を探ることの重要性をとても感じました。

 

個々に知識のアップデートを行い、犬や他の動物たちへの理解が深まるといいなと思います。

 

 

ポッチとお願いします。クローバー

にほんブログ村 犬ブログ 犬 問題行動へ
にほんブログ村