『地球温暖化は解決できるのか』 パリ協定から未来へ!   

小西雅子 著  2016年7月20日 第1刷発行 岩波ジュニア新書

 

 

本書は地球温暖化に対し世界各国が協力をし、どのようにしてこの問題に取り組んでいけるのか書いてあり、地球温暖化対策をめぐる国際交渉では、問題をそっちのけにした先進国側と発展途上国側の対立や京都議定書やパリ協定の問題点や課題など、さまざまなやりとりが書いてありました。

 

地球温暖化の原因は先進国の経済活動が原因であり、発展途上国側は歴史的に排出して来た先進国の責任はどうなるのかといものです。

 

先進国側は「先進国側だけに削減義務が課せられるのは不公平だ」といいだし、今後の経済に不利益になると対立していました。

 

わたしは先進国がきちんと削減義務をおこなうべきだと感じました。

 

そして最も問題なのが、国際条約のジレンマ、「強い条約ほどいいが、強いと参加国が減ってしまう」ということです。

 

地球温暖化の問題は世界共通の問題であり、今すぐに世界各国が協力をして対策していかないといけないにもかかわらず、議論で生じる対立が地球温暖化対策を遅らせており、その問題にわたしたちはどうすべきかを問う内容でした。

 

公平感を持って温暖化対策に取り組むには?とありましたが、ヒトとヒトとのやり取りなので簡単ではないと感じました。

 

本書では地球温暖化の原因をエネルギーに焦点をあて、エネルギー利用をどのように減らしていくか、持続可能なエネルギーについてなどが書かれてありました。

 

わたしたちの社会での地球温暖化対策の変化は、2009年にデンマーク・コペーハーゲンで開催されたCOP15で、民主党政権は2020年に25%(1990年比)という削減目標を公表しており、国際交渉を前へ進めようとする推進役のリーダー国として、影響力を発揮していたそうです。

 

しかし現政権へ交代すると、25%削減目標の撤回を正式に国連へ表明し、新たな2020年目標として3.8%削減(2005年比)を発表しました。

 

あまりにも目標レベルが下がったため、国際社会を大変失望させたそうです。

 

 

先進国は発展途上国でも大規模自然破壊をおこない、化学薬品で土壌を汚染し、そこに住む動物や人を搾取しています。

 

そして、自分の利益が減るからと言い、地球温暖化対策に積極的に努めようとしないのは正直、おどろきました。

この先のことを考えていないという感覚にわたしは不安にもなりました。

 

わたしはスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(16歳)の言葉を思い出しました。

彼女は今の地球を「家が火事である」と表現していました。

 

19世紀までの1000年間の気温変動が約0.2℃上昇だったのが、過去130年に地球の平均気温は0.85℃上昇しています。

 

日本の場合、北緯30度くらいとやや高い緯度にあり、世界平均よりも気温は上がっており、過去100年で平均気温が約、1.3℃上昇しました(東京都が宮崎県の気候になるような変化)。

 

1万年以上もかかって変化するものが、現在はたった100年間で平均気温を1℃も上昇させています。

 

これはおおくの生物が順応していけない急激な環境の変化です。

 

まさに「家が火事だ」と感じます。

 

わたしたちに残されている選択は、温暖化をどのレベルで「抑えるか」という選択肢だけしかありません。

 

つまり、温暖化は防止できないということです。

 

抑える対策をとらないでいると、地球の平均気温は100年後、4℃程度上昇し、抑える事が出来ると、温度上昇を2℃未満に抑えることが可能だと科学の報告書で示されています。

 

4℃の上昇をまねくのか、2℃未満で抑えることができている未来であるのかは、今いるわたしたちの行いで決まるということです。

 

わたしが小学校高学年(30年以上前)に教師が言っていた環境問題、「自然環境破壊や動物生産で地球は気候変動がおこる」ということが、改善されず、産業は拡大し、エネルギーの問題も含め、今以上に大変な事態を招くことが現実になろうとしているのだと感じました。

 

著者はこの問題にどう向き合っていくかをこのように伝えてくれています。

 

「世界には実に多様な考え方を持つ人々がいます。日本にずっと暮らしていると、時に快適さが当たり前となって、世界の多様性を理解するのが非常に困難になることがあります。(中略)多様性を理解するには、世界に飛び出すことが一番です。今はグローバル化された時代ですから、日本にずっといたとしても、世界とのかかわりは避けて通れません。(中略)むしろ積極的に世界と関わっていく方が将来性があると思います!世界に飛び出したならば、きっと皆さんが当たり前と思って意識もしなかったことがたくさんあることに気づかされるでしょう」(174-175ページ)。

 

 

「ぜひ日本を飛び出して世界を体験してみてください!そのパスポートはなんといっても英語力とコミュニケーションを力です。(中略)世界の窓を開いて、多様な世界を肌で感じさせてくれる場を提供してくれます。日本だけの価値観ならば、もはや行き詰まったと思うことがあっても、世界にはいろんな考えがあり、いくらでも道が開けるからです。(中略)

英語は必ずしも流暢である必要はなく、伝わる英語であればいいのです。英語の勉強の途上でもどんどん世界とコミュニケーションしてください。目からうろこが落ちるような経験を幾度もあなたにもたらしてくれると思います」(176ページ)。

 

 

世界基準を知ったり、世界の人々が考えていることを知ったりすることで、新たな思考が育つということだと思いました。

世界には自由で豊富な考えがあり、それをどのように形にしていくか、人々が行動していると思います。

 

このような環境では当然、よい案がおおく出てくると思いますし、発想がすばらしいのではないかと思います。。

 

わたしたちの社会では温暖化対策を根本から考え直す必要性に迫られており、省エネルギーの余地はたくさんあると著者の小西さんは言っています。

 

 

わたしたちは温暖化を加速させている加害者です。

それをきちんと認識して、今わたしたち個々にできることをしていけたらいいなと思います。

わたしたちにできることはおおくあるので少しずつでも実践していきたいです。

 

まずはエネルギーを使う量を減らすことからでもいいと思います。

 

自分ひとりが気をつけていても何も変わらないと、よく聞きますが、わたしはそうは感じません。

温暖化を抑えたい、地球を守っていきたいという、ひとりひとりの行動がおおきくなり社会のありかたにおおきな変化をもたらすと感じています。

 

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