突然ですが、北方領土問題の自主制作映画「北の空」をYouTubeにて期間限定で上映します。

 

上映を決定した理由は、先日11日の丸山穂高議員が国後島にて、元国後島島民であった大塚小彌太さんに対しておこなった以下の発言にあります。

 

丸山議員:「戦争でこの島を取り戻すのは賛成ですか?反対ですか?」

大塚さん:「戦争で?」

丸山議員:「ロシアが混乱している時に取り返すのはOKですか?」

大塚さん:「戦争なんて言葉は使いたくないです。使いたくない」

丸山議員:「でも取り返せないですよね?」

大塚さん:「いや、戦争はすべきではない」

丸山議員:「戦争しないとどうしようもなくないですか?」

大塚さん:「いや、戦争は必要ないです」

 

<中略>

 

丸山議員:「何をどうしたいんですか」

大塚さん:「え?」

丸山議員:「何をどうしますか」

大塚さん:「何をですか」

丸山議員:「うん。どうすれば」

大塚さん:「どうすれば、って何をですか」

丸山議員:「うん」

大塚さん:「いや、何をどうすればいいって言って……」

丸山議員:「この島を。この島を」

大塚さん:「それを私に聞かれても困ります。……率直に言うと、返してもらったら一番いい」

丸山議員:「戦争なく」

大塚さん:「戦争なく。はい。戦争はすべきではないと思います。これは個人的な意見です」

丸山議員:「なるほどね」

大塚さん:「はい」

丸山議員:「???」

大塚さん:「早く平和条約を結んで、解決してほしいです」

 

本当は何故、このような発言に至ったのか、前後の脈絡をとても知りたいです。ただ、前後の繋がりがどうであるにせよ、この発言を国会議員がしてしまったこと、そして、元島民の方に対して行ったことは、極めて問題なことです。

 

この発言を聴いたとき、この先の北方領土問題を憂慮すると同時に、映画「北の空」の世界に通じる望ましくない道が開けてしまったと思いました。

 

映画「北の空」は、端的にあらすじを申し上げますと、北方領土に住んだことのある日本人がほぼいなくなった時代で、時の政権が国際社会の世論を味方につけられる状況で北方領土の武力奪還に踏み切ってしまうお話です。北方領土問題の直接の当事者の方がいなくなった世界で、「北方領土問題」を時の政権が自らの都合の良いように取り扱った結果、起きた凄惨な争いを描くものです。

 

今回の丸山議員の発言も、北方領土問題の本質を考えず、自らが都合の良いように「北方領土問題」を取り扱った結果、起きたことです。

 

北方領土問題の本質を考えれば、「戦争でこの島を取り返すことに賛成ですか?反対ですか?」なんて、訊かないですし、訊けません。島民の方は、先の惨憺たる戦争に巻き込まれた結果、故郷の島を失ったのです。

 

そんな戦争を今度は、こちら側が仕掛けて今住んでいる人々を戦慄させる。

そんなことを、戦争を体験されてきた方が許すでしょうか? 安易に「戦争で取り返す」という発想や発言をしてしまうことに、戦後生まれの危なさを感じずにはいられません。「戦争」を知らないことほど、恐ろしいものはないと思います。

 

加えて、今回の丸山議員の発言に対して支持するコメントがWebやブログ、SNS上で多いことも衝撃かつ残念でなりません。正直、恐ろしいです。冗談抜きに日本の未来を憂います。

 

「北方領土問題」の本質が見失われれば、「北方領土問題」がいいように扱われるようになってしまうでしょう。それは一歩間違えば、「北の空」で描かれているような最悪な事態となりうる可能性もはらんでいます。

 

そうならない為にも、日露間で議論を加速させ、いち早く「ことばの力」で問題を解決しなければなりません。

 

日本とロシアが友好的な関係を築き上げるためにも、北方領土問題の平和的解決は避けては通れない道です。

 

その途上で、今回の丸山議員の発言はあまりにも酷すぎます。元島民の方々や、いま北方領土に住んでいる方々、日本やロシアのことを少しでも想う心があれば、こんな発言はできません。

 

今、僕がもし、丸山穂高議員と話すことができるのならば、一言伝えたいです。

 

――映画「北の空」を見て欲しい、と。

http://movie-of-northsky.wixsite.com/kitanosora

 

……日本とロシアの友好を祈ります。

Я молюсь за дружбу между Японией и Россией.

 

 

追記:丸山穂高議員に映画「北の空」のURLを送り、見て頂きたい旨を伝えました。