埼玉再発見その⑳ ~埼玉唯一のロープウェイ、宝登山にあり~

 

身近にありそうでない乗り物、ロープウェイ。

 

ロープウェイに乗れる場所は埼玉県には1か所、そして意外にも東京都には1か所もありません。

 

遡れば、少し前の昔、埼玉にはロープウェイに乗れる場所は2か所ありました。

 

一つは、今回紹介する長瀞町にある宝登山ロープウェイ。そしてもう一つは、秩父市にある神の世界、三峯神社へ向かう三峰ロープウェイです。このうち、三峰ロープウェイについては、2006年5月の金属疲労判明による運休を最後にそのまま廃止されてしまいました。老朽化に加え恒常的な赤字路線であったことが廃止の理由です。三峯神社への車道が開通し、自家用車で三峯神社に行けるようになったことが赤字の原因らしく、このとき、既に廃線の運命は決まっていたのかもしれません。

 

自身は子ども時代によくドライブや登山などで秩父に連れていってもらいました。もちろん、三峯神社にも行きました。しかしながら、車で行けるからという理由で三峰ロープウェイには乗らずじまい。当時は国道140号から麓の大輪駅とロープウェイは見れたと思うので、在りし日の姿をこの目で見ていたかもしれません。一度は乗ってみたかったです。

 

さて、現在埼玉県唯一のロープウェイである「宝登山ロープウェイ」は、麓の寳登山神社から宝登山頂上や寳登山神社の奥宮を結ぶロープウェイとなっています。

 

寳登山神社は、秩父神社や三峯神社とならぶ秩父三社の一つであり、今から1911年前の西暦111年に創建された歴史ある神社です。寳登山神社のご拝殿も三峯神社と同じく、色鮮やかな彫刻と装飾が素晴らしい荘厳な佇まいをしており、目を奪われること間違いなしです! 本殿の横には、宝登山登山の際にヤマトタケルノミコト(日本武尊)が禊をおこなわれた泉も拝見することができます。そして、ヤマトタケルノミコトが宝登山を登られ、ご神霊を祀られた場所が、宝登山山頂付近にある寳登山神社奥宮となります。

 

寳登山神社の奥宮や宝登山山頂へは、登山するか宝登山ロープウェイに乗っていくかの二択です。自家用車では行けません。三峯神社のように自家用車では行けないからこそ、今もなお、宝登山ロープウェイはあるのです。

 

そんな埼玉県唯一のロープウェイではありますが、山は山。宝登山山頂へは、登りは歩きで行きました。長瀞アルプスハイキングのコースになっているだけあり、登山者もちらほらみかけます。登山者も宝登山ロープウェイにとっては、ライバルかもしれません笑。

 

山頂へのコースにはモミジの群落もあり、今の季節ゆえ、紅葉も楽しめました。山頂へは、麓の寳登山神社から約45分くらいで登頂できます。497.1mと低山ではありますが、ヤマトタケルノミコトも登られただけあり、眺望は素晴らしいです。武甲山、両神山といった名峰に加え、埼玉県最高峰の三宝山も望むことができます!

 

そして、山頂の一角には寳登山神社奥宮があります。広い山頂に立つ奥宮は、立派で厳かな雰囲気が立ち込めていました。

 

帰路は、宝登山ロープウェイ。片道490円を払い、改札の時間まで昭和感が漂う改札の前で並びます。平日の夕方でしたが、思った以上に並んでいて驚きました。

 

改札をくぐると、昭和レトロで幼稚園バスのような見た目のゴンドラがお出迎え。

 

――「ばんび号」です。もう一つは「もんきー号」だそうで、名前から昭和感満載です。加えて、ゴンドラの乗客も満載でした。やはり埼玉県唯一のロープウェイというだけあります。ロープウェイが東京にはないと考えれば、誇らしくさえ思えます。

 

満員だからか思った以上にロープウェイは速いスピードで下っていきます。古さに加え、見た目とのギャップが合わさりなかなかスリリングな乗り物です。ものの5分くらいで寳登山神社がある麓の駅につきました。麓の駅も昭和そのもので、世界観を昭和レトロにまとめればより映えそうです。埼玉唯一のロープウェイとして、これからも宝登山に在り続けて欲しいですね。

寳登山神社拝殿 

 

寳登山神社の本殿とヤマトタケルノミコトが禊を行われた泉

 

宝登山山道 

 

宝登山山頂 497.1m 

 

宝登山山頂からの眺め 

 

寳登山神社奥宮

 

宝登山ロープウェイ 宝登山頂駅 

 

宝登山頂駅からの眺め 

 

宝登山ロープウェイ「ばんび号」 

 

宝登山麓駅ホームとばんび号