埼玉再発見その㉒ ~関東最古の大社、鷲宮神社~

 

久喜市にある鷲宮神社は、出雲族のはじまりに関係する関東最古の大社といわれています。その創建は、神代の時代といわれています。神代の時代とは、日本初代の天皇陛下である神武天皇が、橿原宮にて御即位される前までの時代を指します。――つまり紀元前660年より前の時代ということになります。

 

この神代の時代に創建した神社は、鷲宮神社ではなく、大己貴命を祀る神崎神社という神社です。その後、天穂日宮を祀るため、別宮を創建したのが、現在の鷲宮神社のはじまりです。

 

それから、1世紀~2世紀頃に日本武尊が神崎神社を訪れた際には、鷲宮神社に武夷鳥宮を祀りました。現在の鷲宮神社の祭神が揃われたのはこの時代ということになります。

 

さて、鷲宮神社が現在ある歴史上の書物に初めて登場するのは、1251年のことになります。その書物の名は、「吾妻鏡」――鎌倉時代に成立した鎌倉幕府に関する歴史書です。

 

一方で、鷲宮神社は927年にまとめられた全国の神社一覧である延喜式神名帳には載っておらず、また、日本書紀や古事記にもその名は載っておりません。このことから、関東最古の大社であることを疑問視する声もあるようです。

 

それでも、この「伝説」が事実である可能性も大いに残されています。なんと、鷲宮神社の境内には、6000年前の縄文時代前期の住居跡が見つかっているのです。加えて、縄文時代の土器や土偶の一部が発見されています。つまりこの地が太古から儀式や祭を行う神聖な地であった可能性もあるのです。

 

この遺跡は、鷲宮神社境内遺跡(堀之内遺跡)と言われ、縄文時代前期だけでなく、縄文時代後期、古墳時代の住居跡や土器類が発見されています。鷲宮神社境内の発掘調査は、1962年と1984年のことであり、その後の調査は行われていないようです。現代の技術を駆使して、鷲宮神社の由緒や伝説が解明されることを期待したいです。

 

令和5年1月9日訪問

鷲宮神社

 

鷲宮神社の新しい鳥居
平成30年8月11日に倒壊した鳥居は、令和3年12月3日に再建された。 

 

鷲宮神社の拝殿 

 

手前の神殿は、鷲宮神社のはじまりといえる神崎神社の本殿。奥の神殿が鷲宮神社の本殿。元は、神崎神社が本宮で鷲宮神社が別宮であったが、現在は鷲宮神社が本宮で神崎神社が別宮となっている。