今日も気持ちよく空は快晴です。

多少風が強いようですが、寒くはありません。

もう春というより夏のような空を教室から見上げております。

+22歳+

『22歳・・・』


私と6歳しか変わらない、目の前の男性はその身を軍隊の制服に包み、眼鏡をかけた顔は日に焼け、表情も普通の人とは違う、精悍とでも表現すればいいのでしょうか。

とても自分と6年しか歳が変わらないとは思えませんでした。


ビックリしている私たちを見て、兵隊の方は笑いながら、『あの人も私と同じ歳です』と、近くにいらしたもう一人の兵隊の方を指差しました。


その指差された人も、とても逞しい様子でいらしたので、22歳には見えず、密かに私などは『上官の方なのではないか…』と思っておりました。

その人は日本語は話せない方でしたが、『アンニョンハシムニカ』と挨拶をしてくださいました。

その人も先ほどの方も、大学を卒業されてすぐ入隊されたそうです。

『訓練はやっぱり辛いですか?』

クラスメートの女が質問をしています。私は会話には加わらず、少し離れたところで色々と歩き回ることにしました。


何個も望遠鏡が置いてあり、その望遠鏡は北朝鮮の方角に向いてあります。

私は望遠鏡が設置されている壁際から少し下を覗き込みました。

うっそうと茂る草や蔦が、人間の手が全く加えられていないことを証明するかのようでした。

DMZは確かに、未だ韓国と北朝鮮の緊張関係を表していると思います。

しかし逆にそこは新たな生命を育む場所になりつつあるという事も、事実だと私は思いました。


そして私は望遠鏡を覗き込みました。

展望台の中にいるときよりも鮮明に北朝鮮の都市の様子が目の中に飛び込んできて、私はなぜかどきりとしました。

北朝鮮の国旗がハッキリと見えます。

都市の様子も建物が見え、さすがに人は分かりませんでしたがとても近くに感じることが出来ました。


そして、これは私の勘違いなのかもしれませんが、あえて書かせていただきます。


私が望遠鏡で覗き込み、国旗を確認した所、国旗が立ってあるそばに大きな建造物が立っていました。

その大きな建造物は、銅像のような、人の形をしているように私には見えたのです。

なかなか視界がはっきりとせず、なんとか確認しようと思いましたが、残念ながらぼんやりとしか見えませんでしたが、もしその建造物が銅像だとすると…。

そう考えたときに私は北朝鮮のトップであり、私達からするとその国の象徴ともいえる金正日氏の事を思い浮かべました。


未だにその建造物が私の見間違いだったのかはハッキリとは分からずじまいです。

しかしもし仮にその銅像が金正日氏の銅像でしたならば、私は金正日氏の力の大きさを改めて認識せざるを得ませんでした。


望遠鏡から見えた、韓国ではないまた違う別の国。

僅かな時間と僅かな範囲しか見ることが出来ませんでしたが、私の心に深くなにか重いものを残していました。