宇治にちょっと惹かれる理由は平等院ではなく、興聖寺という寺である。曹洞宗の寺院で道元によって創建された。もともとは深草にあったが、比叡山から弾圧を受けて廃絶し、江戸時代になって宇治に再興された。なぜ弾圧を受けたかと言えば、道元は比叡山で学んだが、その後、宋に渡り帰国してから禅を広め、人気になって一大勢力になったからである。
しかし、興味はもっと下世話なところにある。
総門を潜り琴坂を登っていくと龍宮門がある。
受付は無人で自動券売機が設置されている。参拝券のほか、駐車場の駐車券も御朱印の授与券もこちらで購入する。
駐車場にも管理人がいるわけではないので、誤魔化そうとすれば簡単に誤魔化せるわけだが、それは己の心のみ知ることであって、それができるような人はわざわざ禅寺に来るわけもなく、といったところだろうか。
コロナ禍ゆえに手水は花で満たしているので、目で楽しんでくださいとwebには書いてあった。
参拝受付の奥は立入禁止だが庫裏である。
時計は外してあるが、この場面の背景と同じであることがわかる。「京都人の密かな楽しみ 月夜の告白」のロケ地なのである。
興聖寺は庭園も有名だ。
左は雪の琴坂。そしてこのように屏風などの室内も含めて撮影を許してくれている。たまにしか行けない者としては、このようにブログでとは言わないが個人的な記録であれば(保存に影響がないとか条件をクリアしている物については)ある程度撮影を許してもらえると、とてもありがたいと思う。
記憶はそんなに長持ちしない。
禅室。もちろん体験もできるようだ。
興聖寺より宇治駅に近い場所には、恵心僧都ゆかりの寺がある。ここもまた、弁慶的には興味のある場所である。
恵心院
もともとは龍泉寺という寺であったが、恵心僧都により再興され、恵心院となった。(比叡山横川にあるのは恵心堂である。)
恵心院は花の寺として知られている。
6月だと紫陽花が咲いているだろう。だが、宇治で紫陽花といったら三室戸寺がはるかに有名だし、年々拡張をしているという紫陽花園はまさに別格の素晴らしさなのだという。
恵心僧都は源氏物語で入水した浮舟を助けた横川の僧都のモデルと云われている。
さて、朝霧橋を渡り、橘島を経て平等院の参道へと向かいながら、夏越の祓いなのに水無月を食べてないなと思い出したりするのかもしれない。夏越の祓いはまたの名を水無月の祓いと言う。